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転生生活 29 森の異変

 課外学習三日目、班の編成が行われた。

 二日目は何の問題もなく魔法の練習に打ち込めたが、そこまではまず魔法を実地で使うことに慣れることが目的だったようだ。

 結界の前で説明をする


「基本的に信じれる者を近くにおいておこうというのが人として当然ですが、しかし、時には信頼をおける人物以外の人物と戦線を維持する必要がある時が出てきます。

 その時のために今からこちらが言う班編成で森に入ります」


 そう言って、アメリア先生は生徒の名前を挙げて班を編成していく。


「ではこの班編成で森に入ってもらいます。

 問題行動が多い班は強制的に終了しますので気をつけるように」


 最後にアメリア先生は明らかにこちらの班を見て言ったのである。

 それもそのはず、僕の班にはあのムストが入っていたからだ。

 何故に?

 問題を起こすのは基本的に向こうからなので、向こうが問題を起こさない限り大丈夫なんだけど、なにか嫌な予感しかしない。


「おい! ピカピカ野郎、足引っ張んじゃねえぞ!」

「はいはい」

「くっ、覚えとけよ」


 何を? と聞こうとしたが、聞くと余計にややこしくなりそうなのでスルーした。


「では、各班先生の指示にしっかり従うように」


 アメリア先生はそう言うと森に入っていく。

 僕たちの班の担当なので僕たちもアメリア先生に付いて行く。



----------



 波乱の予感を感じつつも森の魔物討伐兼魔法の練習は着実に上手くいっていた。

 魔物ひょうてきの取り合いがたまに起きたが決定的に衝突につながることはなかった。


「おい! 俺の獲物を取るなよ!」

「こら! そこ、倒してしまったのなら仕方ないのだから次に行きなさい!」

「……ちっ、はい」


 先生がいてくれているおかげというのが多分にあるのだが、まあ、今のところ問題はない。

 そう、今のところだ。

 どうも、ムストが何かを画策しているような感じだ。

 流石に竜クラスのアメリア先生が居る間は何も出来ないと思うがどうも嫌な予感がする。

 嫌な予感がしつつも特に何も起きていない現状ではこれと言ってできることは無いので魔物狩りに精を出すのだった。


 班の中での連携こそ無かったが、それでもそれなりに魔物を仕留めれた。

 ムストのやつも同じくらい魔物を仕留めていたが向こうはヘロヘロだった。

 まあ、数を仕留めるのは僕のほうが得意だし当然か。


「くそっ」


 トムスが悪態を付くのも無理はないムストにしてみれば自分は疲れているのに敵視している僕が平気な顔をしているのは業腹だろう。

 けれど、こればっかりは仕方がない相性の問題だろう。

 そんな感じで僕は余裕を持って魔物を雷の矢で仕留めていると森を揺るがすような雄叫びが森の奥から聞こえてきた。


 その咆哮が聞こえると同時に圧倒的な威圧感を感じた。

 グループの生徒の中にはパニックを起こしている子もいた。


「この咆哮はまずいね。

 今日の狩りは中断!

 一旦森の外に出るよ!

 ほら! グズグズしてないで走りな!」


 アメリア先生は叫ぶと生徒たちは走り出す。

 もちろん僕も先生に従って走り出す。

 何故咆哮が聞こえてきたかや咆哮を放った正体は分からないが、しかし、先生が焦る程度のやつであることは間違いなさそうである。


 無事森から抜け出して結界の外に出ると他のグループの生徒もいた。

 騒然とする中、おっさんと結界番が話をしている。

 おっさんはウグリス・アルスラード先生だ。


「……が出た!」

「バカな時期が外れている!」

「あの咆哮は間違いない」

「今までそんなことなかったのに」

「とにかく、学校と領主に連絡をつけてくれ」

「わかった」


 そう言うと結界番は何やら懐から二つ石ころを取り出し呪文を唱えた。

『鳥となり伝えよ危急の伝令』


 すると石ころはそれぞれ鳥の姿を形どる。


「緊急事態、氷雪の魔獣が目を覚ましました! 至急対策をお願いします!」


 結界番がそう言うと鳥になった石ころが飛び立った。


「これで、伝令は大丈夫です」

「そうか」


 ウグリス先生ホッとしたように生徒たちを見回す。


「揃ってるかい」


 そうウグリス先生に尋ねたのはアメリア先生だ。


「これから点呼をとります」

「そうかい、ところでコレミアはどこに行ったんだい?」

「生徒が一人見当たらないと言って探しに森に入りました」

「……はあ、なんだってまた」


 まさか、ムストか? っていや、ムストは俺のグループにいたよな?

 とか考えて回りを見渡すが、ムストのやつの姿がなかった。

 いや、そんなはず無いよな。

 そこまでバカじゃないよな。

 いや、あんなバカ貴族のことなんてどうだっていいのだが、同級生が死ぬかもしれないということは少しばかりヒヤヒヤさせられる。

 メチャクチャなやつだけど死んでほしいとまでは、……いや、そう言えばあいつエリイも傷つけかけたんだったっけ、死んで欲しいか?

 いや、しかし……。


 などと考えていると名前を呼ばれる。


「フレア」

「え?」

「フレアはいるか!?」

「は、はい!」

「さっさと返事をしなさい!」

「はい!」


 ちょっと怒られてしまった。

 しかし、ピリピリしてるな

 無理もないか、生徒が危険な行動をとっているんだ他に森に入った可能性があるやつを調べないといけない。


 そして、点呼の結果ムストだけがいないことが判明した。

 コレミア先生が追いかけたのはムストで間違いないだろうが、どう思って魔の森に一人で入っていったのか。

 その日はひとまずグリス先生に連れられて魔法学校に戻ることになった。

拙作をご覧頂きありがとうございます。

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