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転生生活 26 ま

間とも言う

 その日はいつも以上に魔法制御に打ち込んだ。

 オリジナル魔法の制作にも力を入れた。

 僕のかわいいエリイを狙ったやつをボコるために。

 エリイは自分が襲われたことは分かっている。

 その為か、僕がいつも以上に魔法訓練を頑張っているか知っているようで常に僕に付いてくるようになった。

 まあ、そうでなくとも女子寮に迎えに行くので僕とエリイは今まで以上に一緒に行動するようになった。

 ただし、なぜか知らないがイブさんも一緒に行動するようになった。


「ハハッ、モテモテだな、おい、色男さん?」


 もちろん、護衛であるフェイムさん……さんはいらないな、フェイムも一緒だ。


「十歳児に向かってなんてこと言うんだ!」

「くくっ、そういうところが十歳児じゃねえっての。 まあ心配しなくとも次は確実に潰す。 まあそのためにもエリイくんに力をつけていてもらったほうがいい」


 悪戯っぽい笑顔を見せ、しかし、次の瞬間には鋭い目つきでエリイを見る。


「実は、闇クラスの子達全員襲撃を受けていたようだ。

 幸いというか誰一人殺されも攫われもしていない。

 まあ、けが人ぐらいは出たけどな」

「そんなこと一生徒に話してもいいんですか?」

「普通はダメだな、しかし、フォーミュと繋がっている君たちだから話しておく」

「なぜそこにフォーミュさんが出てくるの?」

「どうも、今回の襲撃は、魔法学校を狙いにしている部分がある。

 そして、この学校には結界が仕掛けられている。

 その内容は言えないが、まあ、フォーミュの関係したものなら想像できるモノだ」

「だからなぜフォーミュさん?」

「これ以上は言えないが、まあ、察しろ」


 もし、フェイムの言うことが本当なら、フォーミュさん、本当に何者なの?

 あ、元王宮魔術師だったか。

 まあ、フォーミュさんのことは置いといて、


「しかし、あいつらの狙いってなんだったんだろう?」


 ふとそんな疑問が浮かんだ。


「闇の適正魔法士、あるいはその卵と答えたいが聞きたいことはそうじゃないだろ?」

「ああ、襲撃は計画的に行われたわけだろう?」

「ちょっと、待て、なんで計画的だと思った?」

「え? 簡単だろ? ピンポイントで闇の適正持ちの生徒を狙ってる時点で計画的じゃないか」

「あ、ああ、そうだな。 お前、ホントは中に賢者でも入ってんじゃないか?」

「賢者が入ってるって言われたのは初めてだけど、……じゃなくて、計画的なのに結局計画は失敗したんだろうか?」


 僕の言葉にフェイムの顔が険しくなる。


「何が、言いたい?」

「だから、計画が既に成功しているんじゃないの?」


 フェイムは目を閉じて顔を上げて考え込む


「魔法学校に潜入していた奴らは結局見つからなかったんだろ?」


 目を閉じたままフェイムは頷いた。


「前の話でフェイムが誰かと話した時に結界がどうたら言ってたし、まず、その結界とやらを素通りしてしまうような奴らっていうのは確かだろう?」


 目を開けてこちらの発言の続きを待つように黙って僕を見る。


「どんな結界かは知らないけど素通りできるような準備をしていることは確かで、結界を素通りするまでにこの学校の中に何か狙っている者があるはずだ。

 例えば闇の生徒とか、あるいは「ああ」」


 何を言おうとしたかわかったようで、そしてそれを公言することはまずいらしい。


「なるほど、お前が賢者の生まれ変わりだと言われても納得するしかないな。

 お前が思っているので間違いはない。

 まあ、もちろんその推論にたどり着くことのできるやつは複数いるが、答えにたどり着ける奴はそういない。

 しかし、お前たちは条件を満たしているからな。

 だから、どこまで気づいているか確かめたかったんだが、やはり聞いておいて正解だ」


 やれやれと頭を掻いてため息をつきガクッと項垂れてそしてこちらを睨むような目で見てフェイムは言う。


「いいか、絶対に他言するなよ?

 他言すれば命すら危うくなるほどのことだからな?」


 そう釘を刺してくる。


「言われるまでもない。

 この学校の根幹に関わることだろうから」

「ならいいんだ」


 そうしてフェイムと話していると闇の妖精クラスの前に着く。


「それじゃあ、エリイ……エリイ?」


 エリイの方を見ると頬を膨らませているエリイがいた。

 イブさんはによによしている。


「どうしたんだエリイ?」

「フンッ!」


 そう言ってエリイはクラスに入っていった。

 いや、「フンッ」って何?


「あー、悪いことしたな、そうだな放課後に町にでも二人で繰り出してこい」

「大丈夫なんですか?」

「ああ、一応影から隠れて守る護衛を付けてやるさ。

 なに、不快な思いをさせたお詫びだ。

 エリイ君と君とにね」


 ウインクして教室に入るフェイム。

 ウインクとか普通の人がしたら、キザッぽくなるか痛々しくなるのにフェイムがやると様になるから腹が立つ。


 再び歩き出すと同時にイブさんに質問した。

 少しは悩むかと思ったけど


「イブは放課後どうする?」

「うん、行く!」


 と即座に返事を返してきた。

 ニッコニコの笑顔でピンッと答えられたので、どんだけ行きたいんだと思った。


「じゃあエリイと一緒に行こうか」

「うん、いいよ」


 そうして久しぶりに三人で街に出かけることになった。



----------



「お前って馬鹿なのか?」


 フェイムから呆れたように言われたのが、放課後の闇の妖精クラス前でのことである。

 イブさんが一緒に来たがっていることをエリイに伝えたのを聞いたフェイムがそう発言したのだ。


「馬鹿って生まれて初めて言われたぞ」


 この世界に生まれてからの話だが、


「まあ、今まではエリイしかいなかったからだろうな、しかし、全く男女の機微という物は流石にわからなかったか」


 頭を抱えるフェイムを見て首を傾げる。


「男女の機微って、ははっ、僕はまだ十歳の子供だよ?」

「はあ、恋愛に年齢は関係無いなんてあのクズのセリフは言いたくは無いが、まあ無い訳では無いんだ」


 何か難解な事を言うフェイムの真意をつかめず体ごと傾ける。


「いや、フェイムが言いたいことはよくわからないが、エリイと二人で行くよりイブに案内してもらった方が楽しめると思うだけど」

「……エリイくん的には二人のほうが良かったと思うがな」

「私は別にいいよ」

「エリイくんがそう言うなら」


 渋々と言った感じで引き下がるフェイム。

 ほら! エリイもいいって言ってるじゃん。


「とは言え、エリイくんは襲われたのは間違いないんだ。

 そこのところを忘れないでくれよ」


 念を押すように言ってくる。


「そのぐらいのことはわかってるよ」


 フェイムを睨みつつそう答えたところで


「やっほー! みんな揃ってる―?」


 とイブさんが呑気な調子で声を掛けてきたのだった。

拙作をご覧いただきありがとうございます。

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