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転生生活 25 襲撃後

 エリイが戻るまで魔法の練習をしながら、ムストが放ったあの大きくなった槍とあの槍を簡単に止めたフェイムさんの魔法ことについて考えていた。

 というのも、魔法の巨大化はこっそり試して入るのだが、猛きのワードとは違い未だに習得できていない。

 巨大化のワードは相性が悪いらしい。

 ココらへんのワードの適正とも呼べるものがあるのがなんとももどかしい。

 それに数を増やす魔法との併用は僕には無理だ。

 両手で箸を使って豆をつまむような感じだ。

 今のままでは絶対に無理だ。

 何かコツとか無いのかな?


 なんてことを考えつつひとまず手札を増やすために苦手な巨大化のワードを制御できるよう魔法を撃つ、的はイブさんが最後に出した氷の防壁を使わせてもらっていた。


「しかし、すごいなあの氷の壁、どれだけ魔法を撃ってもびくともしないよ」

「へへっ、そうでしょそうでしょ! 思わず使っちゃったけど私の切り札の一つだからね!」

「防御魔法が切り札?」

「うん、まあ、防御の切り札だよ。 一応は相性の問題とかもあるけど巨人クラスのオリジナル魔法を止めることも出来るんだ」

「うん、なるほど、どの程度すごいか全くわからん」


 僕の言葉に思わず傾くイブさん。

 そして思わずと言った感じでため息をつく。


「まあ、巨人クラス戦いを見たことなかったらそうなるだろうね」

「戦いってあるのか?」

「うん、決闘が結構な頻度で起きるよ」


 意外と物騒だなこの学校。


「まあ、死人が一度も出たことはないし、けが人もいないからね」

「ん? ムストが撃ってきたような魔法が飛び交うんだろ? それで死人だけじゃなくてけが人すら出ないってどういうこと?」

「決闘には特殊な結界を使うから多分その結界のおかげだろうけど、決闘で戦った人が死ぬレベルの魔法を使っても結界がなくなれば傷はなくなるし生き返るからね」

「へえ、そんな便利なものがあるならそりゃ決闘も無くならないか、よし」

『巨大なる雷の槍よ敵を貫け』


 一応さっきからこの呪文を使っているのだがせいぜいが1.5倍ほどの大きさまでしか制御ができない。

 これ以上大きくすると照準がずれたり魔法の構成バランス自体が壊れたりしてしまう。


「しかし、エリイのやつサイン書くのにどんだけ時間を掛けてるんだ?」

「私としてはゆっくりしてもらっていいんだけどね~」

「ん? どういうこと」

「ひっみっつー」


 イブさんの言葉に首をかしげつつひとまずエリイを迎えに行くことにした。



----------



 この学校には教員一人ひとりに準備室と呼ばれる部屋がある。

 先生によってはこの部屋と教室の間しか往復しない引きこもり気味の人もいるくらいだ。

 この準備室はそれぞれの教室のすぐ近くにある。

 そのことも引きこもりを発生させる要因の一つになっているだろう。

 それはともかくとして、エリイは少なくとも闇の妖精クラスかフェイムさんの準備室にいるだろうと思われる。

 闇の妖精クラスの場所は選択授業で土のクラスに向かった時に確認していたため迷わず進めた。


 闇の妖精クラス前に着いてふと焦げ臭い匂いが鼻についた。

 気にしても仕方がないと思い扉を開くと途端に中からガタガタッと音がして一つの人影が二つに別れる。

 慌てたように離れた影が


「誰だ?」


 と問いかける。


「エリイがあまりに遅いから迎えに来たんだよ」


 離れた方の影が大きい、ていうか部屋が暗いので光のワードを使う。

『光よ照らせ』


 するとフェイムさんの上半身が裸だった。


「なっ!」


 と声を上げたのは僕だ。

 嫌な想像が頭をよぎりエリイを見る。

 机に臥せっていた。

 制服はちゃんと着ているのを確認し嘆息する。


「フェイム、セツメイシテクレマセンカ?」


 自分の言葉がおかしくなっているのを感じつつ質問する。

 フェイムは首を傾げ、自分の格好を見て困ったように頭を掻いて


「あー、まず言っておくがやましいことは一つもないぞ?」


 フェイムが発言すると同時に走り出す。

 フェイムをとりあえず殴ろうと振りかぶり拳を叩きつけるが簡単に受け止められた。


「とりあえず人の話を聞けって、まあ、その感情はわかるがこの部屋の状況を見れば何があったかわかるだろう?

 いや、わかるよな? ほんと勘違いされたら困るからな」


 そう言われて、拳の力を入れたまま周りを見渡すと机や椅子が散乱していることに気がついた。

 そして、フェイムの服に目をやるとよく見ると焦げている。



「……ナにがアったんですカ?」


 未だに感情が制御しきれていない。

 よくも半裸でエリイ近づきやがったなこの野郎。


「ひとまず落ち着け、お前の幼馴染には何もしてないし何もさせなかったよ」


 思わせぶりな言い方をしているのが余計に腹立つ!


「サっさと吐ケ!」

「わかった、まずこの教室に襲撃があったと言うのは理解できるな?」


 フェイムを睨めつけながら頷く。

 フェイムがエリイを助けたというのは状況から推測するのは簡単だ。

 だけど、エリイに半裸で近づいているのがユルセナイ。


「ここに来た襲撃者は三人、二人が炎を使い一人が氷を使ってきた」

「そいつラは?」

「エリイくんをかばうので精一杯でね。 取り逃した。

 流石に巨人クラスレベルの魔法師が三人では追い返すことぐらいしかできなかったよ。

 不甲斐なくてすまないな」


 顔をしかめて話すフェイム

 クソッ、魔法を使えるかどうかわからなかったのに自分の身を顧みず付いてきたエリイが狙われることになるなんて。

 怒りを飲み込むべく大きく息を吸い怒り以外をゆっくりと吐き出す。


「こちらこそ取り乱してすみません。

 不利な状況下でエリイを守ってくれたことありがとうございます」


 僕は頭を下げる。

 頭を下げている間、静寂が訪れた。

 てっきり頭を下げたのがまずいことだったのかと思い顔を上げるとフェイムさんの顔は驚愕の表情が張り付いていた。


「あれ? どうしたんですか?」


 僕がそう尋ねるとフェイムさんは見て目をつぶって首を振り


「いや、10歳とは思えない切り替えの早さに驚いてね。 大人びているとか言われないかい?」

「いいえ? 村ではしん……いえ、特にこれといったことは言われてないです」

「しん? もしかして神童とでも呼ばれていたのかい」

「いえ、決して神童などという大層な呼ばれ方はしていません」

「フッ、そうかい。 まあ、いい、当分の間はエリイ君の近くには竜クラスの魔導士を置くことにする」

「勝手に決めちゃっていいんですか?」

「これでも風紀を担当してるからな警備に関しては口を出す権限が与えられているんだ」


 フェイムさんが事情を話しながらポケットからドッジボールぐらいの大きさの球を取り出した。

 その様子はさながら、というよりはそのまんま四次元ポ〇ットだ。

 球が光りだすと球はどこかの部屋を映し出した。

 本棚が一番最初に目に付き、本棚の上に大小様々な杖が掛けられていた。

 どこを映しているかはわからなかったが、何となく前世の記憶からテレビ電話のようなものであると推測できた。


「こちらフェイム襲撃を受けた」


 フェイムさんがそう球に話しかけると球から声がしてきた。


『なんじゃと!? そこはどこじゃ?』

「闇の妖精クラスだ」

『まさか!? 学校内に賊の侵入を許したというのか!?』

「まあ、現に襲われたわけだしな」

『賊は捕まえたんじゃろうな』

「いや、相手が意外と逃げ腰だったから逃げられてしまった」

『お主から逃れるじゃと!?』


 さっきから球の人ずっと驚いているな。

 この位置からは見えないが、どこかで声を聞いたような?


『おかしい、やはり結界には何も掛かっておらん。 賊は校内におる可能性が高い』

「いや、それはないだろう」

『なぜじゃ?』

「どうやったかは知らんが間違いなく外部の人間だ」

『なぜそう思う?』

「ティアマットだ」

『あやつらとは、協定を組んでいる。 あやつらが校内に入った時点でどうなるかは知っておるじゃろうに』

「ああ、だが、刺青が入っていた。 間違いはない」

『ふむ、じゃとするならば、代替わりしたことになる。 しかも協定の更新もせずに、わかった』

「狙われるであろう生徒を固めておきたいのだが、闇の適正持ちが狙われているようだ。

 闇の適正持ちを優先してくれ」

『あいわかった、生徒諸君には担任を通して話をつけておこう』


 球の映像が切れて球を服のポケットに押し込んだ後


「というわけで、当分の間エリイくんの護衛をすることになる。 当然君もエリイくんを守るのだろう?」


 とフェイムさんは挑発するように笑いながら言ったのだった。

拙作をご覧いただきありがとうございます。

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