転生生活 21 魔法習得
魔法制御を覚えたことにより魔法の習得幅が増えた。
授業で覚える魔法は矢、剣、槍、盾、壁のワードの魔法である。
そして、基本的に魔法で放つのは一つで二つ以上になると制御が難しくなるとはいえ、クラスの殆どが最低でも矢を3つ作れるようになっている。
とはいえ同時期に入った子で僕を除いて最高が剣クラスを一本作れるかどうかだ。
因みにではあるが僕が制御できる数は雷の矢が5本、雷の剣が3本、雷の槍が1本それぞれの種類別に同時に発動できるようになった。
雷の槍は威力が高く、未だに二本目の制御ができていない。
入学して二年目のムストのやつはそれぞれ1つずつしか作れないが、1つあたりの大きさを巨大化している。
僕は、基本的なモノに加えてオリジナルの詠唱もいくつか作りあげたところなのでまだ負けないだろうと思っている。
まあ、それでもあいつが突っかかってくるのは変わりないので、新たなる属性を習得次第で僕の立場がなくなる可能性もある。
もちろん、ムストのやつはすでに新しい属性の授業を受けているが、今のところ雷と光以外のワードを使ったところを見たことがない。
「魔法士は基本的に自分の得意とする適正属性魔法以外にも習得する必要があります」
ある日のホームルームのことであるアメリア先生が次に始める授業の説明をする。
今日は光の適正以外の魔法を覚えることになる。
光の適正持ちの相性のいい魔法は光の魔法と僕が使っている雷の魔法だ。
なのでそれ以外、僕は水の魔法を一切使うことが出来ないのでひとまず火か土の魔法になるわけだ。
闇属性は、存在していないように扱われるからなあ。
とりわけ光の適正持ちは習得もほぼできないらしいし。
「自分の得意とする魔法以外にも予備の属性を使えるようにするのは基本です。
なので習得したい属性を選んでください。
選んだ後は、各自担当の魔法先生に割り当てます」
結局、光魔法と火の魔法も被るような気がするから土魔法を選ぶことにした。
「フレア、お前何の魔法にするんだ」
と尋ねてきたのは席が隣になっているクリア・メイスンだ。
金色の髪に青い目を持つ彼は顔の彫りも深く前世の記憶にあるヨーロッパ人そのままの顔作りだ。
まあ、そういった顔の人は少なくないので別段珍しいってほどでもない。
因みにではあるが、この魔法都市は色々な人が集まってくるため顔の種類が統一されていない。
ちらりとではあるが、日本人顔の人もいたのを見たことがある。
まあ、それはさておき。
彼は、光の適正を持ちながら火属性魔法のほうが威力が高いという変わり種だ。
光魔法、雷魔法より火が得意なのは彼が寒い土地出身だからだそうだ。
光魔法より火属性魔法を使う機会が多かったらしい。
「僕は、土魔法にするよ。 クリアはやっぱり火属性?」
「いや、あえて水属性を受けてみる」
「三種類の属性を?」
「ああ」
魔法士において予備の属性を持つのは一般的だ。
よっぽど尖った人でない限りは二種類の属性魔法を操るのである。
単一属性は封じられてしまうこともあるので当然の措置であろうが、極端な話だが、例えば究極の熱量を持つ炎を使える魔法士がいたとする。
普通の魔法士は水中などで炎魔法を使うことなど困難だが、その魔法士は水を蒸発させながら戦うことが出来たりする。
あるいは、逆に魔法を3つ以上使える者がいたとする。
その者は3つの属性の訓練に時間を割かれる代わりに相手が苦手とする魔法で優位に立つことが出来る。
火属性魔法に同じ威力の火属性魔法を当てても意味がなくとも少し弱くとも水魔法を当てたほうが有利に勝負を運ぶことも出来る。
出来ることが多くなるのも利点だろう。
どちらも威力負けすると厳しいが、前者は威力を上げやすく滅多に威力負けをしない。
後者は、臨機応変に対応するため力押し勝負をずらすことが出来る。
一長一短ではあるが、魔法士の理念は力押しではなく状況に即応出来る人材の方が喜ばれる。
力押しの魔法士は戦略兵器的な扱いなので歓迎される場が限定されるのであった。
「大丈夫なのか?」
「ああ、幸い水属性は光属性と親和性が高いからな」
「そうか、いいなあ」
水属性魔法使えたらアレの練習にももってこいなのに。
いや、別に水魔法じゃなくてもできるかもしれないけど、水のほうが形を自在に操れそうだ。
まあ、結局は、魔法を使えれば楽しいからいいや。
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土魔法の使い手アリコス・フェムナンド先生が担当する教室に向かう僕とエリイ。
たまたま同じ教室になったのだ。
「わーい、フレアくんと一緒だあ」
「うん僕も嬉しいよ」
そんな感じで、教室に入ると中はガラガラだった。
教室自体が光の妖精クラスより大きかったというのもあるだろうけど、
居る人数が光の妖精クラスと同じぐらいなのだ。
来る途中で他の教室も覗いてきたので間違いない。
一番人気が炎、二番目が水、三番目が光、四番目が風、五番目が土だった。
闇は人っ子一人いなかった。
闇は適正がないとろくな魔法がないから。
土の人数の少なさにも驚き、
「あれ? 間違えたかな?」
と思わず言ってしまったほどだ。
しかし、黒板に土魔法教室と書かれていたので間違いないだろう。
適当な席に座る。
できるだけ前の方に、エリイは当然のように隣に座った。
「闇の妖精クラスって人数三人くらいだったよね」
ふと、思い出したことをエリイに尋ねる。
「うん、そうだよ。 教室もこんなに広くなかったしね」
「本当に闇って少ないんだな。 しかし、土魔法って人気薄いな」
それは教室の人数が物語っていたので間違いないだろう。
暫く待つと先生が入ってきた。
まんまる太った中年男性で茶色のローブに金の刺繍が入った茶色の制服だ。
正直言ってあまりかっこよく見えないな。
拙作をご覧いただきありがとうございます。
魔法説明編の説明するものを減らすのが大変だ。