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転生生活 18 魔法学校初日

 前世の記憶にある学校は、それはそれはとてもつまらないものだった。

 僕には友だちというものがいなかったというのも拍車を掛けている。

 友だちは作らなかったのであって作れなかったわけではない。

 まあ、前世ことは今の僕には関係ない。

 せっかくの魔法を使える者同士切磋琢磨していきたい。



----------



 昨日の入学式で寮とクラスの部屋割り番号を貰っていた。

 クラスごとと男女でそれぞれ寮が分かれている。

 クラス名は光の妖精、クラス毎に火、水、風、土、闇などがあり学年が上がるごとに精霊、巨人、竜となっている。

 学年とは言ってはみたが実際のところはランクと言ってもいいものだった。

 前世の学校とは全く形体が違うのだった。

 入学者は例外なく妖精からだが、一定の魔法を習得することにより学年を上げることが出来る。

 そして、学生で竜まで到れるものはあまり多くないらしい。

 大体は精霊で止まってしまうらしい。

 別に精霊で止まったからと言っても退学があるわけではない。

 しかし、卒業が早くなるというのだそうだ。

 各学年ごとに妖精は二年、精霊になってから四年、巨人になってから八年、そして竜は好きなだけ魔法学校に留まることが出来る。

 魔法学校は研究機関でもある。

 魔法学校に留まる限り研究費を潤沢に使えることもあり、竜を目指すものは後を立たない。

 しかし、それでも竜まで至れる人物は極稀である。

 巨人まで至れたものでも十分な優遇を受けるレベルなのだからそこで満足してしまうものが多いということもある。

 精霊でも人並み以上の実力を持つのだから当然であるか。


 結局のところ、より強力な魔法を開発した者が上に上がれるという考え方が正しい。

 ただ、与えられたことをやる人物では精霊にすら到れないのである。

 魔法学校で一番多いのは妖精の学年である。

 二年ごとに卒業しなければ妖精の人数は尋常な人数ではなくなっているだろう。


 それはさておき、今日は魔法学校の初日であるため僕は遅刻しないように光の妖精のクラスに向かう。

 エリイとは違う適正なのだ。

 当然、クラスも違う。

 そのことに若干の寂しさを覚えつつも緊張でいつもより強く鳴っている心臓の鼓動を感じつつ光の妖精の教室の前に立つ。

 扉の奥には人が居るようで話し声が扉越しにも聞こえてくる。

 一息深呼吸をしてドアノブを回し中へ入ると、既に中にいた人たちがこちらを見る。

 そして、一拍するとまた各々自分たちの会話に戻っていく。

 教室の中は教壇を中心にオーケストラでも開くかのように扇状になっていた。

 生徒たちの席は奥にいけば行くほど高くなっている。

 空間を無視したような形状であることはすぐに気がついた。

 不自然なまでに建築を無視した構造になっていたからだ。

 この教室が魔法学校の威容の一端だと思うと背筋に寒いものを感じた。

 この学校はどれほどの魔法技術があるのか。

 そして、どれほどその技術を学ぶことが出来るのか。



----------



 教室で待っていると三人の魔法士が入ってくる。

 白いローブを羽織った人は、アメリア・グラッセと名乗った。

『閃光』のアメリアと呼ばれる光の魔導士らしい。

 見た目は30代の長髪美女であるが、実際は60代の老婆らしい。 魔女だな。

 光の竜クラスに所属している魔導士である。

 光の妖精クラスの担当教師だそうだ

 そして、ローブを羽織らずに入ってきた二人の教師

 ウグリス・アルスラードとコレミア・ロウガウストは副担当の教師である。

 二人は光の巨人の卒業生で魔法学校の教師として学校に残ることにしたそうだ。

 ウグリス先生は見た目通り40代の細身の中年でコレミア先生は50代のおばさんである。

 もちろん二人も魔導士である。

 因みに三人共ローブの下は白を基調として銀の刺繍が入った服を着ている。

 三人共同じ服なので制服なのだろうな。


 初日、最初の授業は魔法の制御である。

 アメリア先生が出欠をとり授業が始まる。

 現在、僕が制御できるのは『雷の矢よ敵を射抜け』のみだ。

 他のワードが入ったりした場合も制御ができない。

 というわけで渡りに船なのだった。

 練習用の魔法は『光よ照らせ』である。

 ひとまずこの魔法を適切に使えるようにならないといけない。


「魔法は想像力である。 この魔法都市の基礎を作り上げたエディミアルはそう言い表しています。

 想像ができている魔法はちゃんと発動するがしっかりと想像できていない場合は、思った魔法と違う効果になることが知られています。

 また、呪文による制御も長ければ長いほど制御が難しくなります。

 ひとまず、手のひらに光源を発生させるという風に想像して行ってください」


 講釈を受けながら『光よ照らせ』を発動させる。

 やはりというべきか僕が放つ魔法が教室全体を包んだ。


「うおっと、君はフレアくんか」


 光が教室全体を包んだ時何人かが驚きの声を上げて、先生も驚く。


「君は、そうだな……炎の光というものを想像してみてくれ、ほかのものはさっきと同じ方法で引き続き光を発してみてください」


 炎の光か。

 炎を想像してそれを魔法で再現するように想像する。


『光よ照らせ』


 すると手の上に炎ができた。

 いや、熱くはないので炎ではない、炎のように見える光源だ。


「こ、これは!」


 先生はかなり驚いている。

 また失敗したか。

 先生の反応を見た生徒たちの視線がこちらに向く。


「それは炎の魔法ではないんだよね」

「はい」


 と言っても自分でも信じられない。

 見た目は完全に炎のそれだ。


「素晴らしい、ひとまず君はその調子で色々と形を変えていってください」


 ふと、エリイが影をうさぎの姿に模らせていたことを思い出した。

 うさぎの形を思い浮かべつつ光を出す。

 『光よ照らせ』

 すると光は、うさぎのような形になる。

 なるほど、想像か。

 そう言えば『雷の矢』は使えるけど他の形を取れなかったのは想像をしていなかっただけなのか。

 しかし、『無数』を想像した場合、矢を一つ一つの動きをしっかり想像する必要があると考えるとなるほど制御できないわけだと納得するしか無かった。

 むしろ、フォーミュさんがよく止めなかったな。

 まあ、いいや、これで『猛き』のワードは制御できるだろう。

 しかし、村にいた時はどの魔法士もそのことは教えてくれなかったな。

 いや、それがわかっていなかったら魔法が使えないんだ。

 魔法を使っている段階でわかっていると思われたのかもしれない。


「はい、光を出せる人はフレアくんがしたように炎を光で再現してみてください」


 と言われて他の人達も炎を光で再現していく、どうやら炎を光で再現するのは基礎のようだった。

 しかし、一発で成功した人は数人しかいないし、成功しても殆どの人の炎が繰り返し再生のように不自然な動きが入る。

 なるほど、もしかするとさっき先生が驚いていたのは一発で完全な炎を再現したから驚いていたのかな?


「制御についてはある程度わかったと思いますので、次に入ろうと思います」



----------



 結局その日は、色々な基礎学習だけで終わった。

 そして、配られた一枚の紙、受ける授業を決めるために記入して提出するものだ。

 紙はパピルス紙だ。

 こんなにホイホイ配って大丈夫かと思うが、まあ、大丈夫だから配っているのだろう。

 授業は選択式で、必須科目も存在するが、殆どの人が必須科目以外の授業もとるらしい。

 ふむ、どうしたものか。


「で、どう思うよ。 エリイ」


 後ろを振り向くと僕の影の中に片足を突っ込む(・・・・・・・)エリイの姿があった。

 魔法学校を出て校門前で、エリイを待っていたんだ。

 考え事をしていると後ろからソロリソロリと近づいてくるエリイの姿を、しかしの片隅に捉えたので、何をしようとしているか様子見をしていたのだ。

 エリイは初日の魔法で闇魔法の一つ、影魔法を習得してきたようだ。

 うん、あれだ、まさかの天才である。


「うえっ? う、うんいいと思うよ」


 ここで、言っておかなくてはならないのは、僕とエリイは同い年、つまり十歳である。

 僕には前世の記憶があるので実質十歳ではないが、エリイは正真正銘の十歳の少女である。

 数少ない闇の適正を持ち、そして魔法を使えるということは将来魔導士になる可能性が大きいことは明確であった。

 キョトンとした顔でこちらを見るエリイ、かわいいよエリイ。


「まあ、いいや、それよりその僕の影に足を突っ込んでいるのがエリイの魔法?」

「う、うん、……あっ、もう! せっかく驚かせようとしたのに!」

「へえ、影の中に潜れるとか」

「うん! すごいでしょ!」


 闇魔法は低レベルでも強力な魔法が多いらしい。

 ただし、その低レベルの魔法も適性がないと使えないというのでやはり理不尽というかなんというか。


「今日は、少し街に出かけてから寮に戻るか」

「うん」


 二人で街をウロウロして特に何もせずに寮に戻ったのであった。

拙作をご覧いただきありがとうございます。

魔法学校編です。

あるいは魔法設定説明編か

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