転生生活 未知なる病
皆との会話を楽しみつつも服を着させて貰って横になる。
体のだるさは、相変わらずありついでを言うと魔力がうまく使えないのも難儀だ。
これでは、暇つぶしの魔力制御の練習すらままならない。
「魔力が乱れる病気ね?
取り敢えず可能性がありそうな病気に効く薬を持ってくるわね」
「いいんですか?」
「私のせいでなったようなものだしこの程度は当然よ」
錬金術師ギルドの長が持って来てくれる薬なら効果も期待できそうだ。
しかし、自分の魔力を制御出来ないのは忸怩たる思いだ。
自分の体以上に思い通りに動かせていたこともありやるせないし情けない。
時間が差し迫っている訳でもないので慌てる必要は無いのだが、一刻も早く魔力制御わ取り戻したい。
こうしている間にも魔力制御をしようとするがまるでザルで水を掬うように手応えがほとんど返ってこない。
「私に出来ることは無い?」
「エリイは?」
「二人がいてくれるだけで嬉しいよ」
弱っているときに近くに人がいるのは、とても助かる。
「えー、つまんない」
「……」
「病人につまんないとか……」
愕然とする僕の頭を撫でて、パレアさんがイブを睨む。
「イブリス?」
「う、ごめんなさい」
イブの事だし場を和ませる冗談だと思う。
「ごほん、まあこうして話してくれるだけでいいよ。
気が紛れるからね」
「そう?
それなら何の話をしようか」
「エリイ、新しい魔法覚えた」
「新しい魔法?」
「うん」
『影は影、映る現に水の影明鏡止水になろうとも』
エリイが、詠唱をすると床からもう一人のエリイが生えてきた。
「うう、話題を持って行かれた。
けど分身系の魔法?
珍しいね」
「うん、影分身」
おじさん、おばさん、エリイは忍者にでもなるつもりのようです。
「あら、精度が高い分身魔法ね?」
「うん」
エリイが頷くとその動きに合わせて影の分身も動く。
「動きを合わせる分身魔法ね。
使いどころが難しそうね」
パレアさんは、思案しながら影分身の魔法を見ている。
僕も分身を作り出すことは出来なくは無いが、動かすのは無理だ。
確実に不自然な部分が出てくる。
「水魔法にも似たような魔法あるけどね」
「そうなの?」
「うん、私は使えないけどね!」
そこまで堂々と言われると清々しさを感じるな。
「ふふふ、それじゃ私はお薬を取りに行って来るわね」
「あ、はい、お願いします」
パレアさんは、そう言って立ち上がり扉から出て行く。
扉を閉める直前に何か思い出したようで顔をひょっこり出す。
「ああ、お薬は明日持ってくるわね。
エリイとイブリスもフレアくんの負担になるから程々にね?」
「はーい」
「はい……」
二人の言葉に満足したように頷くと今度こそ立ち去っていった。
「そう言えば二人は、体調大丈夫?」
「「うん」」
「それはよかった」
しかし、そうなると僕だけがこんな病気になったのは、僕が貧弱と言うことなのだろうか?
そもそもこの病気って感染性があるモノだろうか?
あるのなら二人にこうして話しているのは不味いのでは……。
「二人には悪いけど少し一人にさせてくれないか?」
「どうしたの?
しんどくなってきた?」
「そんなところ、頼むよ」
「分かった」
イブは、頷いて
「ほら、エリイ部屋を出るよ」
と、エリイを連れて部屋を出ていく。
ただし、エリイは、部屋を出るまでこちらをじっと見つめたままだった。
もしかしたら見透かされてるかも、幼い頃からずっと一緒にいたからね。
いろんな遊びをしたな、ままごとに鬼ごっこ、冒険者ごっこもやったな。
それにあの遊び、何だったっけ?
あれ? 思い出せない。
ま、いいか。
それより、さっきまで寝てたせいで寝れないのどうしよう。