転生生活 竜種討伐 森の前の村
少し短めです。
到着した村はどことなく僕の故郷の村に似た村だ。
村の人達が、家の中から現れ始めた。
全て男性だ。
小さい男の子が家から飛び出したが母親に抱き上げられて家の中に入っていく。
一旦馬車を止める。
村人に泊めてもらえるよう交渉するつもりだろう。
「ここが竜種の目撃場所に一番近い村よ」
「取り敢えずここを拠点にするわけか」
「一日しかいないでやすから拠点は別に必要ないでやすがね」
パレアさん、ボリス、ウィグラさんの順につぶやいていく。
一人の壮年の男性が、歩み寄ってきて僕たちに話しかけてきた。
「ようこそ、森の前の村へ
私は、この村長のフォロと申します。
このような田舎に何のご用ですかな」
おそらくこの村の代表者なのだろう
しかし、森の前の村とは、安直な村名だ。
「石竜を倒しに来たのよ」
「おお、冒険者の方々でしたか」
勘違いされるのも無理は無い。
最弱と呼ばれる竜とは言え退治出来るのは専門家である冒険者だけだからな。
「そうね。
冒険者ギルドに所属している人もいるわね」
パレアさんの言葉に村長は、訝しげな顔をする。
「その言い方ですと冒険者でない方もいらっしゃるのですか?」
「まあ、そうなるわね」
「大丈夫なのですか?」
「ええ、石竜を倒す為に連れてきた人達だから大丈夫よ」
「そうですか」
口では、納得したように言ってはいるけど心の中では納得できてないことは容易に察することが出来た。
「フォロさんに少し頼みがあるのだけど良いかしら?」
「何ですか?」
「少し泊まれるところがほしいの。
勿論、滞在費は支払うわよ?」
パレアさんの言葉に村長は、目の色を変える。
「それでしたら私の家が良いでしょう。
どうぞこちらへ」
村長の誘導に従いゆっくりと馬車が進む。
「ここが私の家です」
そう言われて着いた場所は、やや大きめの木造家屋だった。
厩もあり馬が数頭いるようで馬の嘶きが時折聞こえる。
「馬車は、厩の近くにお停めください」
「わかりやした」
馬を繰るウィグラさんが返事を返す。
「ここらの村の中では一番の家ですのでここらの村では、一番安らげると思います」
村長は、自慢げに言う。
しかし、魔法学校は言うに及ばず冒険者ギルドや錬金術師ギルド、何よりフォーミュさんの館よりは断然小さいというのは僕の心の中にとどめておこう。
そんな僕にイブが囁いてくる。
「フォーミュさんの館より小さいね」
「思っても言わない」
「そう言うってことは、フレアも思ったよね」
仕方がないだろう比べてしまうのは、人の性だ。
「エリイ達の村の村長の家のより大きい」
「そういえばそうだね」
確かに僕達が村を出た時の村長の家は一回り大きい。
それだけ裕福なのだろうか。
それとも見栄っ張りなのか。
まあ、どちらにせよ6人を泊めるには十分な大きさなのは良いことだと思うことにした。
「さあ、どうぞお上がりくだい」
村長のもてなしで村長の家に入る。
「今日は丁度、熊がとれましてな。
贅沢な夕食になってまして折角なので一緒にどうですか?」
村長の言葉に皆の反応はまちまちで素直に喜んでいるのは僕とエリイそしてウィグラさんぐらいだ。
ボリスも喜んでいるようでそこはかとなく表情が緩んでいる。
パレアさんとイブに至っては、
「熊ですか」
「熊って食べれるものなの?」
といった反応だった。
そして一人だけ青ざめているのが一人。
「あれは、熊じゃなかった。
あれは、熊じゃなかったんだ。
大丈夫、問題ない」
と呟いていた。
何か熊にトラウマでもあるのだろうか?
拙作をご覧いただきありがとうございます。