転生生活 魔法都市エディミアル 錬金術師の倉庫
やや短めです
パレアさんの後に付いて来て着いたのは、重厚な扉の前だった。
「さて、さっさと必要なものを持って行きましょう?」
パレアさんは、懐から一本の鍵を取り出した。
「そうね。
どうせだしあなたたちの装備も整えてしまいましょうか」
パレアさんは、取り出した鍵を見て思い出したように言い、僕とエリイ、イブを見まわし、そして鍵を開けて扉を開いた。
扉を開くと中にはいろいろな物が飾られるように置かれていた。
博物館のように展示されている指輪や首飾りなどもあれば倉庫の一角らしく木箱が積み上げられているところもある。
何より一番目を引いたのは、鎧が一式飾られてあることだった。
とても重厚感があるが、錬金術師が管理しているのは不自然に感じられた。
「凄い」
「だろう?
師匠でもこんなにいろいろな魔法道具は取り揃えてないからな」
僕の独り言を拾って反応してくれたのはクーデルさんだ。
愛剣である銃剣『フリード』を腰に差して僕と同様辺りを見回している。
「とりあえずこれ影の中に入れてくれる?」
パレアさんはそう言って鎧一式を指さす。
「はい」
エリイは、パレアさんに返事をして鎧に恐る恐る近づいて行く。
「やっぱり持って行くのか」
「当然よ。
戦力として申し分ないけど常時起動するには魔力が足りなかったもの。
持って行けるのなら持って行くわ」
クーデルとパレアさんの会話で僕は、その鎧一式が何なのかわかってしまった。
「ん? どうしたフレア?」
「いえ、ちょっと嫌なことを思い出したんで」
「ああ、そう言えばお前ゴーレムに包囲されて捕まったもんな」
あの時はひどい目に遭ったからね。
同情の視線をクーデルに向けられると同時にクーデルも遠い目をする。
クーデルも似たような目にあったことがあるんだろうか?
「よし、それじゃあ、あれも入れちゃいましょうか」
パレアさんが指さした方を見ると箱がいくつかあった。
鎧を影の中に入れたエリイが箱に近づいていく。
「あれの中身は何ですか?」
僕の質問にパレアさんが答える。
「ポーションね。
回復や強化のするものが入ってるわ。
備えは多いほうがいいでしょう?」
パレアさんは、そう言ってからガラスケースを開けたり箱の中をのぞいたりしている。
中のアイテムを取り出したりして集めている。
「あとは、このアイテムをあなたたちに渡しておきますね」
パレアさんは、いくつかの指輪と首飾りそしてローブを持って来た。
そして僕たち子供組に渡していく。
光の指輪と生命の指輪はフレア君に水の指輪と盾の首飾りをイブリスちゃんにそしてエリイちゃんには、魔力の指輪と影渡りのローブね。
それで、アイテムについて説明するわね?」
それぞれ受け取りパレアさんの説明に耳を傾ける。
「フレア君に渡した光の指輪はその名の通り光系統魔法を強化する力があるわ。
生命の指輪は、いざと言うときの保険よ。
出番が無かったらいいわね?
イブリスちゃんに渡した水の指輪は雷の指輪と似たようなもので水系統魔法を強化するわ。
盾の指輪は、いざと言うときも役にたつけど、防御魔法を強化する役割もあるの。
ちょうどいいでしょう?」
パレアさんの言葉に頷くイブ、中々大盤振る舞いだね。
「エリイちゃんには、魔法を強化する魔力の指輪を渡すわね?
本当なら闇の指輪を渡したいのだけど結構貴重なのでごめんなさいね?
影渡りのローブは、影魔法を使うエリイちゃんの魔力消費を軽減できると思うわ」
エリイは、貰ったものを不思議そうに眺めている。
そして僕の方をチラチラと見てくる。
どうしたんだ?
「何か質問は?」
「ありません」
「ないですよ」
「ない……です」
「そう?
なら行きましょうか」
「「「はい」」」
貰ったものを身につけた僕たちは返事をした。
パレアさん付け加えて思い出したように言う。
「ああ、もちろん石竜討伐が終わったら返してもらいますよ」
「え」
「はい」
「は、はい」
いや、それも当然か。
錬金術師ギルドの備品みたいだしね。
拙作をご覧いただきありがとうございます。