転生生活 魔法都市エディミアル 続・作戦会議
続いてしまいました。
それに肝心の作戦がまだ何もないっていう。
作戦会議ェ
窓を盛大に開けて入ってきたイブに全員が、固まっている。
「ふふふ! 私を抜いて勝手に作戦会議を始めるから驚かしてやろうと思ってね」
誰も聞いてないことを説明し始めたイブ。
「それもこれもフレアが私のことを忘れるからいけないんだ。
っとそんなことよりエリイを連れて行ったほうがいい理由だったね」
闖入者に固まっていたクーデルたちも思考が追いついてきたようだ。
「君は、昨日の」
「あら?」
「なんだこの小娘は」
各々、クーデルは安堵しパレアさんは目を輝かせがっしりした男はいぶかしむ様な視線を送った。
ウィグラという癖のある男は、一瞬だけ構えを取っていたが、すぐに元の体勢に戻っていた。
「とりあえず私のことは置いといてください」
「いや、突然突入してきた少女のことを置いておくとか意味がわからないんだが」
クーデルさんのツッコミに思わず頷く一同。
「まあまあ、そんなことよりエリイのことです」
「はあ、説得を聞かないタイプであることは理解したよ。
で、エリイを連れて行ったほうがいい理由は?」
「いくつかあるのですが、一つ目の理由はですね。
なんとエリイは、あのフェイム・アスタロトの愛弟子なんですよ!」
「へえ!」
「そうだったの!?」
「フェイムの? バカな」
「……なるほど、その子がそうでやしたか」
なんだその反応は、あの変態がそんなに……いや、すごいのはわかっているんだけどなんだろう素直に尊敬できない。
ああ、そういえばあいつは僕の敵だった。
愛弟子だって?
っく、しかし、僕はエリイの愛幼馴染だから問題ない。
いや、そうじゃない。
「いや、待て弟子って何?
聞いたことが無いよ?
教え子じゃないの?」
「あれ
そう言えばフレアって徒弟制度って知らないよね?」
「うん」
「あまり使われない制度だから知らなくてもおかしくは無いけど教師役をしている竜クラスの魔導師たちがいい相手を見つけると確保しようとするのはわかる?」
「まあ」
「その確保する方法の制度が徒弟制度、弟子を取るとその生徒に目をつけていた他の魔導師から反感を買うからあまり利用されない制度だけど、今回は、そもそも数が少ない闇魔法士の中でも一番力を持つフェイムさんだから大丈夫っていうのもあるけど、そういう反感を買うことを承知の上で弟子にしたんだよ」
「何だってまた」
「そこまでは私も知らないよ。
ただ、徒弟制度で弟子になった場合よっぽどのことがない限りは一緒にいることになるからね。
よっぽど気に入られたのかな?」
ああ、何となくフェイムがエリイを弟子にしてくれた理由が分かった。
僕との約束を守ってくれているんだろう。
ただなぜ、エリイがフェイムの弟子になったのか。
そう思いながらエリイの顔をみるとイブのほうを睨んでいた。
「さて、他の理由は?」
クーデルさんは、脱線していた話を元に戻す。
「そうだね他には影魔法の使い手で道具なんかを運ぶのが得意だったりするんだ」
そう言ってイブはエリイにウインクする。
しかしエリイは首を傾げるばかりだ。
やばい、エリイの仕草とイブの不憫さに悶えそうだ。
もう一度ウインクするイブが少しかわいそうなのでエリイにイブの思っているであろうことを伝える。
「エリイ、影魔法から道具を何か取り出して、そこそこ大きいものがあったらいいんだけど」
「わかった」
エリイは頷くとひざまずいて自分の影に手を突っ込む。
「へえ」
「……すごいわね」
「なに!?」
「これは」
さっきからリアクションのだけになっている四人はさておきエリイが取り出したのは通学に使うかばんだった。
それでも冒険者として活動していたことがある僕にもその利便さが良くわかった。
「まだ入ってるのか?」
「うん」
「どのくらい?」
「いっぱい」
……相変わらず語彙力が低いけど言いたいことはわかった。
かなり強力な魔法であるのは確かだろう。
エリイが影に入り込めるのは知っていたけどまさか、影を道具入れに出来るとはとんでもないことだな。
「なるほど、エリイちゃんだったね。
その魔法があるなら連れて行ってもいいかな?」
「だめよ」
そう言ったのはまさかのパレアさんだった。
「え……」
絶望したような表情になるエリイ、まさかパレアさんが止めに来るとは僕も予想外だ。
「フレア君一人なら気が回せるけどエリイちゃんもとなると竜種を相手にする以上連れて行けないわ」
「それなら、私が守るから私も連れて行って!」
パレアさんの言葉に挑戦するかのように叫ぶイブ。
「だめ、本当ならフレア君も連れていきたくなかったのに火力不足だってクーデルが判断したから仕方なく賛成したのにこれ以上子供を危険な場所に連れて行くつもりは無いわよ」
「いんや、待ってくだせぇ」
冷徹に拒否するパレアさんを止めたのは、ウィグラと呼ばれた男だった。
「影の収納量を聞いてからでもいいでやしょうか?」
「あなた本気で行っているの?」
無表情のパレアさんに臆せず立ち向かうウィグラさん。
凄いなぁと思わず呟いてしまう。
幸い誰にも聞こえなかったようだけど、しかし、喧嘩をしているようで雰囲気は最悪だ。
エリイも僕の後ろに回り込んできているし。
「へい、クーデルの兄さんもでそうでやしょうがあなたも触媒は多い方がいいでやしょう?」
「ま、まあ、そうだけど」
「それなら話が早い。
そこのお嬢さんは巨人クラスが近いと言われるイブリスってこで間違いないでやす」
「え? そうなの?」
水を向けられたイブは、一瞬戸惑うが、すぐに得意顔になり宣言する。
「私、イブリス=アインギル=イグニス=エルヴォルト=ドラッケンは、巨人クラスに通用するって言われる氷魔法が使えるからね!
防御は得意だよ!」
パレアさんはため息を吐いて真剣な眼差しでイブを見る。
イブも負けじとパレアさんの目を見る。
「負けたわ」
両手を上げるパレアさん。
イブは嬉しそうに喜びの声を上げる。
「ただし、条件があるわ」
「姐さん……」
「心配しなくていいわよウィグラ、条件って言ってもそれほど難しいことじゃないから。
っていうよりも必要なことよ?」
「というと?」
「あなたも知っておきたいでしょう?
その三人の大まかな強さとできることをね?」
「そうでやすね」
「あなたもそこの三人の強さを見れば満足するでしょう?」
「強かったらな」
がっしりした男は顔をしかめつつも頷く。
「それじゃあ、フォーミュ、地下を借りてもいいかしら?」
ここにいないのにそう尋ねるパレアさん。
すると、扉をノックしてそして扉を開いてフォーミュさんが入ってきた。
「はい、いいですよ」
まるで話を聞いてたかのように答えるフォーミュさんに引きつつ、一同は地下へ向かうことになった。
「ああ、それと、イブリスさん」
「はい?」
「窓から飛び込む行為は大変危険ですので以後しないように」
「……はい」
ああ、イブだけはフォーミュさんから説教を食らっていた。
拙作をご覧いただきありがとうございます。
本格的な作戦を組むのはひとまず一同が魔物と戦った後になると思います。
今回は意思統一ということで