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転生生活 魔法都市エディミアル 作戦会議(ブリーフィング)

 クーデルさんとの約束の日。

 学校が終わった後、フォーミュさんの館の地下で新たな魔法を試していた。


「っく、やっぱりだめか」


 腕に走る痺れを感じながらため息をつく。

 どうにかしてクリアが使っていた無詠唱魔法を使えるようにするためにいろいろ試してみたんだけど、どうもうまくいかなかった。

 無詠唱魔法における理屈に関してはなんとなく理解していた。

 詠唱を頭の中で唱える。

 それと同時に魔力を体の外に出すイメージを頭に思い浮かべる。

 詠唱すれば言葉そのものに魔力を乗せることが出来るため簡単にいくのだけど無詠唱はそうもいかない。

 口を閉じながらしゃべるようなそんな矛盾した状態で魔法を使わなければならないのがとても苦になるのだ。


「フレア、クーデル来た」


 エリイが、僕を呼びに来た。


「ありがとう、すぐに行くよ」


 僕は、魔法の制御を止めてエリイに付いていく。

 もう少し魔法制御の質を上げれば無詠唱できたりするんだろうか?



----------



 エリイについていくと客間の前まで来た。

 クーデルは客間に通されていたようだ。

 ノックして扉を開けて入りひとまず挨拶をする。


「お待たせしました」

「そんなに待ってねえよ」


 クーデルは座って、愛剣の『フリード』を膝に乗せていた。

 客間にはクーデルの他に一昨日一緒に来ていたお姉さんとがっしりした体つきの男性、そして体つきは頑丈そうではないが身軽に動きそうな癖のありそうな男が居た。


「ほう、そいつが噂に聞く『魔導書』泥棒か」

「おい、そいつぁ濡れ衣だってぇ言ったでしょうが」

「どっちでもいいがな。

 曰くつきなのは変わりねえ。

 何だってまた曰くつきの子供なんか連れて行くんだ?」

「散々聞きやしたでしょう?

 それを含めてなお連れて行く価値があるって」


 がっしりした男と癖のありそうな男が言い合っている。


「そこまでにしておきなさい」


 すっと通った声が部屋に静寂をもたらした。


「ごめんなさいね?

 これから行く場所が場所だから気が立っているのよ。ね?」


 笑顔で言葉を発するパレアさん。


「は、はい! すみませんでした!」


 部屋に響き渡る低い声に思わず耳をふさいでしまう。


「ボリス?」

「も、申し訳ございません……!」


 パレアさんはため息をついてこちらに視線を向ける。


「何度もごめんなさいね?

 これでも悪い人じゃないってことは信じてあげて?」

「パレア様……!」

「はあ、本当なら連れて行く必要は無いんだけどね?

 うるさい人が居るから大目に見てね?」

「は、はい」

「……パレア様」


 パレア様?

 なんで敬称を付けているんだろうか。

 パレアさんって実は身分が高い人なのだろうか?


「とにかく、話を進めたいからお前たちは静かにしておきなさい」

「はい」

「へい」


 癖のありそうな男の返事はやはり癖があった。



----------



 クーデルは机の上に一冊の本を置き付箋がしてあるページを開く。

 そこには岩のようなもので包まれたトカゲのような姿の生物が描かれていた。

 名前は『石竜ストーンドラゴン


「今回の標的である石竜は、竜種の中でも最も弱いとされる竜種だ。

 それでもブレスこそはかないが、その爪や牙の攻撃を受けると即死は免れないと言われるほど攻撃が重たいことも特徴だ。

 幸いなことに動きが遅いからそう簡単には攻撃を受けないだろうが、意識をそちら二つに向けすぎているとあらぬ方向から尻尾が飛んでくるからそれだけは気をつける必要がある。

 それに 石のように硬い鱗を身に纏い、そんじょそこらの攻撃にはびくともしないって話だ。

 一応、石竜の素材に触れる機会があったためやつの大体の硬さはおおよそ見当が付いている。

 今回、鍵を握るのはフレアだ」


 そうクーデルが言うとみんなの視線がこちらを向く。


「フレアにはやや離れた場所から完全詠唱を石竜に何発もぶち込んでもらう予定だ」

「お、おい、本当にこんなガキがあの一人多重詠唱とか言われる詠唱を使いこなせるのか?」

「それは、俺が保障するさ。

 何度か一緒にギルドの依頼を受けたしな」

「そうか……ヒッ」


 パレアさんは後ろを振り向いて男の方に顔を向けているだけなのだが、男は顔を青くさせる。

 パレアさんの今の顔がどうなっているのか見たいような見たくないような……。

 いや、好奇心は猫を殺すっていうしな。

 触らぬ神に祟りなしだ。


「はあ、とにかく火力に関してはフレアが居れば十分だ。

 その代わり足止めが重要になって来る」

「すいやせん」

「なんだウィグラ」

「フレアの坊ちゃんは連れて行くのはわかりやしたが、そこの娘を連れて行く必要はあるんですかい?」

「……それもそうだな」


 一瞬、クーデルさんは考えてウィグラと呼ばれた癖のある男の言葉に首肯する。


「でしたら」

「それは、大丈夫よ私が保証するわ」


 そう言ったのは、バーンと窓を押し開けて入ってきたイブだった。

拙作をご覧いただきありがとうございます。

作戦会議って書いてブリーフィングと読むのは基本だと思うんだ。

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