転生生活10(裏側)
黒幕が悪巧みをします。
悪い子が出てきますが、制御のためにも人数が少ないです。
なんだかそれほど怖くないです。
フレアが魔法都市に到着する少し前、とある洋館でガラスが割れる音が響き渡る。
「クソッ! また失敗か! 何のために高額な報酬を出して魔法士を雇ったのかわからんではないか!」
背中にたくさんの首がある竜の刺青を入れた上半身裸の男性が険しい顔をしている。
どうやらその男性が、部下の目の前でワイングラスを叩き割ったようで、男の足元には割れたワイングラスが転がっておりそしてそのガラス片が飛び散っていた。
「どうやら、今回は、『黄昏の姫巫女』という冒険者グループが関わっているようです」
部下の男は黒いローブを纏い床に服従の姿勢で報告を続ける。
その顔は仮面を被ったように無表情だった。
「だから嫌いなんだ! 変人フォーミュめ、『黄昏の姫巫女』をどうやって動かした! 政治的に関わる仕事は一切してこなかったあの冒険者共を!」
『黄昏の姫巫女』は冒険者ギルドに所属しているトップクラスの冒険者グループである。
冒険者ギルドは独自の力を持っており、貴族の力を持ってしてもそうやすやすと動かすことが出来ない。
はずなのだが、フォーミュという最近貴族になった老人は謎の繋がりが多い為、どういう繋がりかわからないが、とんでもない人物を動かしたりすることがある。
「それともう一つご報告があります」
黒装束の男は主の答えが出ない自問自答を止めるように言う。
「組織の幹部はこれを扱うことに賛成多数となりました」
そういうと黒装束は懐から小瓶を取り出し、そしてそれを刺青の男に渡す。
刺青の男は怒りでしかめた顔を緩ませる。
「ほう、そうかそうか、それは重畳いい傾向だ」
「早速、組織内で広めるとのことです」
「くくく、組織の方向性とうまくかみ合っているからなこの薬は」
男性は、組織の中で一番権力を手に入れる自分を想像し悦に浸る
「引き続きこの薬を仕入れ続けろ」
「はっ!」
指示を出された黒装束の男は立ち上がって、『我、闇より出でて闇夜に帰る』と唱える。
すると黒装束の男性は黒い靄に包まれた。
黒い靄がなくなった時には黒装束の男性の姿はなくなっていた。
残った男性は、背中のいくつも首が有る竜の刺青を隠すようにシャツを着てタキシード姿になった。
「さて、この魔法薬さえあれば俺の成功は約束されたようなものだ」
男性は、自分の成功を信じて疑わなかった。
真っ赤なその薬を覗きながら満足そうに笑うのであった。
拙作をご覧頂きありがとうございます。
遂に敵(と呼べる代物)の登場なのですが、悪を描くのは難しいですね。
次回はいよいよ動き出す・・・前の準備期間ですよろしくおねがいします。