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カルラーン公国

書いていて、早く戦争始まらなかなーなんて思ってしまいます。もっと展開を早くしていきたいものです。


ではどうぞ宜しくお願い致します。

見渡す限りの青い空を真也はただぼうっと眺める。肌を撫でる風は春のそよ風のように心地良い。まさに絶好のお昼寝タイムである。


眼下を見下ろせばそこには大きな街が広がっている。市場からの喧騒が上空からでも聞こえて来るが、真也にとっては良い子守唄にしかならない。


真也は今フィリアスの背の上で仰向けになって寝転んでいる。


最初は彼女の背に乗ることに対して億劫だった彼は、今ではバカバカしかったと大きなアクビを掻いていた。


フィリアスは羽や翼が無いにも関わらず、その大きな図体で優雅に飛んでいる。


彼女は飛行魔術を修得しており、足下に展開している大きな魔法陣の上に佇んでいる。その飛行は全く揺れることはなく、必死にどこかをつかんでいなくてもさほど問題はなかった。おまけにある程度の風圧も防いでくれている。


ついうたた寝を繰り返していた真也はイリアから声を掛けられる。


「シンヤさま。カルラーンに到着するまでまだ時間があります。ですので、わたくしのひざを枕代りにお休み下さい」


微笑んで正座をして見せるイリアの天使萌えに真也は喉をゴクリと鳴らす。が、ここは紳士を装いクールに断る。


「いや別にいいって。正座とかしんどいだろ。イリアも疲れてそうだしお前も寝たらどうだ?」


断られた事に分かりやすく表情を暗くするイリアであったが、続きの言葉に彼女はパアッと花が咲いたかのような輝きを取り戻した。


「そっ!それはこのわたくしに添い寝をしろという事ですね!分かりました……不束者ではございますが、シンヤさまがご満足頂けるよう頑張らせて頂きます!」


「ただの添い寝にいちいち変な事考えるなよ!てか、んなことは頼んでねえわ!」


鼻息が荒くなったイリアに突っ込みを入れる真也であったが、彼女は数秒間キョトンと首を傾げ、そして理解した途端一気に顔を紅潮させた。


「し、シンヤさま。あの、もしや……いわゆるあんな事やこんな事をする夜伽ならぬ昼伽をお考えでございましたか……?」


「なに……?」


ようやく真也はそこで己の勘違いに気がついた。セクハラも良いところである。


「い、いやー……俺っちなんか誤解してたみてえだなー(笑)」


実に最低な逃げ方である。


その後結局、真也とイリアは気まずい空気のままカルラーン公国領の城門前まで到着してしまった。


フィリアスの姿を視認した付近の兵士達が槍を手に慌てて構える。


その兵士の中では一番落ち着き払っていた青年らしき人物が、地上に降り立った真也達に一歩にじり寄る。


「名家の方々とお見受け致します。私は門兵隊の隊長ウルムと申します……魔獣を引き連れて押しかけるとは何事ですか!」


語気を強くして尋ねられた真也は「どうすんだ?あいつらすげえケンカ腰なんだけど」とイリアを見やる。イリアは「大丈夫です」と言ってスッと前に歩み出る。そして一歩下がる兵士達。


まあ彼らからすれば、いきなり馬鹿でかい魔獣が来たものだから警戒してしまうのは当然の事と言って良いだろう。なにも知らない人間がフィリアスの外見を見ると闘志をむき出しにしている様にしか見えない。


それに魔界の国家は日本の戦国時代と似通っていて、大半は魔王の勢力に従う小国の集まりである。あくまで魔王は一勢力の頭というだけで全てが直轄領であるわけではない。彼らが魔王に対して頼り無し (自国の危機を助けてくれない等)とみなしたのならば、離反して他の勢力に乗り換えたり、独立して魔王を名乗る事も日常茶飯事である。


戦争はかなりの少人数で行う場合もある。彼らは勢力内の同盟国からの奇襲 (勢力内の闘争は魔王ですら簡単に手を出せないでいる)を想定しているのであろう。


イリアは懐から巻紙を取り出すとそれを広げて彼らに見せつけた。


「わたくしはアルシエラ閣下の使者として参りました。こちらの仮面を被ったお方は新しく公国閣下となられるシンヤ様で御座います。礼を尽くされるのが最もであると存じますが……?」


ここでアルシエラの名が出て来たのは、彼女がこのカルラーン領を間接的に治めていたからである。数年前から領主候補が現れず。国主の席が空席になっていたのだ。


それ故にこのカルラーンを狙う国は多く、兵士は常に警戒している。


「なに、この方が?」


訝しげに眉根を寄せるウルムであったが、槍を下げてイリアの持っている巻紙を手に取ると、内容を注意深く確認した。


「む……確かに。これはイリア陛下とアルシエラ閣下が現在お使いになっている捺印でありますが……この様な事案ついては我々には連絡が来ておりませんので対処し兼ねます。しばしお時間をーー」


ウルムが部下に伝令を送ろうとしたその時。城門から一人の女性がこちらへやって来ると、彼女はシンヤの手前で片膝をついた。


「ーーシンヤ様でございますね。兵達が無礼をはたらいてしまい申し訳ございませんでした。私はカルラーン城の城主、ライカ・ホルスマンでございます。閣下をお迎えに参りました。……使者殿も任務ご苦労であった。中で休まれると良い」


女性にしては背が高く真也よりほんの少し小さい彼女は、艶のある長い黒髪を後ろで束ねてポニーテールに結っている。顔立ちはしっかりとしており男装が似合いそうなかなりの麗人である。


彼女の立ち居振る舞いを目を見張って見ていた真也はイリアからの謎に恐い視線で我に返る。


「お、おう!助かるぜ」


「お気遣い感謝致します」


「では、どうぞ中へ」


真也とイリアはライカの案内で門の向こうへと入って行った。


城門をくぐるとそこには一頭のドラゴンが小役人に手綱で引かれて待機していた。


このドラゴンの名前はロドリックドラゴンという。全長は馬よりほんの少し大きく魔界では馬とそう変わらない扱いを受けている。


カルラーン城主のライカがそのドラゴンに跨がる。


「城までは距離があります。空路を使いましょう」


「おう、そうだな。その方が楽そうだ」


ライカの先導に従って真也とイリアはフィリアスに乗って再び空へ舞い上がる。


しばらくするとライカがフィリアスの横に付けて表情のあまり変わらない顔で口を開いた。


「飛行中に失礼致します。お久しぶりで御座います陛下。少しばかり疲労がうかがえます。あまり無理をなさらぬよう」


イリアに向かって軽く会釈する彼女を見て真也がイリアに尋ねる。


「なんだ。あいつとは顔見知りだったのか?」


「ええ、もちろんです。わたくしの正体があの者達にばれない様に彼女は気を遣ったのですよ」


「ああ、なるほど。確かに、女王がこんな風に出歩いていたら色々問題かもしれんな」


真也は納得するとライカに話しかける。


「長い付き合いになりそうだな。これからよろしく頼むぜ」


「ご期待に応えられますよう尽力致す所存。このライカ・ホルスマン、これより閣下に忠誠を誓いまする」


ラフな挨拶に対して武士を思わせる様な堅苦しい言葉で返される真也。相変わらずこの様な態度に慣れない彼は頭の後ろをぽりぽりと掻いた。


そうこうするうちに、一際大きな城が真也の目にもはっきりと分かるほどの距離までやって来る。


カルラーン城の周りには広大な規模の城下町が広がっていた。


「おおっ!小国つってもやっぱでっけえなあ!俺マジでヤバイって!」


真也は興奮しながら、これから自分の住まいとなる城内に降り立つのであったーー





今後とも、ご愛読のほど宜しくお願い致します!

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