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腹黒ですか?いいえ、ヤンデレかもしれませんっ!!

まだ頑張っている作者でございます。


では宜しくお願い致します。

アルシエラが数名の衛生兵に担架で運ばれて行くのを真也達は見届ける。彼ら衛生兵は皆、赤十字の様なマークの腕章を左の腕に付けている。料理もそうであったが、結構地球と似かよっているところがある。


イリアが安堵の為かため息をつく。


「特に大きな怪我がなくて良かったです」


「ああ、マジで良かったわ」


「もう冷や冷やでしたぁ」


と、 真也とルリーナも頷いて同意を示す。


真也は「ガルガル」唸っているフィリアスに視線を移す。


さっきまで身体中が帯電している姿だったフィリアスは、戦闘が終わると同時にまとっていた電気を消していた。そのおかげで身体のシマシマ模様が見えるようになっている。


フィリアスが真也の視線に気がつくと、彼はのっしりとこちらに歩み寄って来た。ルリーナが身を縮めて真也の背に隠れる。


それを見たイリアがルリーナにやんわりと微笑んだ。


「大丈夫ですルリーナ。彼女・・は少し大きな猫ですよ」


「んんっ?彼女?」


他にも突っ込みたい所はあったものの、真也は「彼女」というワードにひっかかった。


「あれ?鬣があるライオンってオスじゃなかったっけ?」と、真也はフィリアスの立派な灰銀色の鬣に注目する。しかしその疑問はルリーナがこの場にいる為、イリアには確認出来ない。


「では急ぎカルラーンへ参りましょう」


イリアが闘技場の出口へと身体を向ける。その動きを真也が止めた。


「あ、おい。こいつはどうすんだ?まさか連れて行くってのか?」


「そうですね……連れて行きましょうか。馬車を用意させましたけど、彼女の方が移動がスムーズですから」


「マジか……上に乗るって事だよな」


喉を鳴らして思わずフィリアスを見上げてしまう真也であった。



それから程なく経ち、一行は城内の庭園にやって来た。広い庭には色とりどりの花が咲いている。ここはイリア専用のプライベートな空間である。


真也はもちろんのこと、ルリーナもこの場所は来るのが初めてだったらしい。両者共に風景をぼうっと眺める。


イリアは二人の反応に気を良くしているのか、なにやら嬉しげに指示を出す。


「ルリーナ。わたくしはシンヤ殿と先に向かいます。二人で話すべき事もありますから、貴女は後から馬車で来なさい」


ほんの一瞬だけ返事が遅れたルリーナはびくっと肩を跳ねさせた。


「あっ……は、はいっ!分かりましたっ。で、では後ほど……」


そう言い残したルリーナは、お座りで待機中のフィリアスの脇をビクビクしながら通って庭園を後にする。イリアは彼女の姿を最後まで見送った。とーー


「ーー魔王さまっ!!」


「ーーうおっ!?って!ど、どうしたんだイリアっ?」


突然真也に抱きついて来たイリアを彼は驚きながらも尻餅をついて抱きとめる。


「やっと二人っきりになれましたね!」


「えっ?あ、ああ、そうだな?」


どうやらイリアの中では、フィリアスは人数に入っていないらしい。彼女は嬉々とした表情で真也の手を取る。


「魔王さまをここへお連れすることがわたくしの長年の夢でした。折角ですから一緒に散策致しませんか?」


イリアの綺麗な金髪がふわりと風でなびいて思わず見惚れてしまう真也。彼はそれがバレないように「ああ、そうしよう」と、慌てて立ち上がった。


二人で庭園を歩きながら真也がぎこちなく口を開く。イリアと腕を組んでいる為、ずっと彼女の柔らかい胸が彼の腕を刺激しているのだ。


「と、ところでさ、何個か聞きてえことがあんだけど、良いか?」


「はいっ。なんでしょうか?」


イリアは上機嫌で顔を見上げる。真也はその顔を見まいと視線を花に向ける。


「なんで俺とアルシエラを戦わせたんだ?てっきり俺はあいつに半殺しにされるもんだと思ってたんだけど?」


真也の問いに彼女は笑みを崩さずに答える。


「魔王さまが勝つことを知っていたからですよ。魔王さまがあんな小娘に負ける訳がありません。第一わたくしの魔王さまを執拗に悪くいうので、少し罰を与えてやったのです。あのくらいで済んで彼女はもっと魔王さまに感謝するべきなのですよ……フフフッ」


え……イリアさん?あなたのその笑顔、なんだかすご〜く怖いんですけどー!もしかして腹黒なんですかー?いえ、ヤンデレなんですかー?


「へ、へえ……そ、そうなんだー。あ……じゃあさー、シュテルプリヒって知ってるかー?」


イリアの笑顔に引きつる真也であったが、彼女は真也の言葉にわずかに身体を固まらせた。


「驚きました……あの方に会われていたのですか?」


「え?あ、ああ?そうだけど……なんかヤバかったのか?」


なにかマズイ事でも聞いてしまったのであろうかと、真也は言葉を濁した。


しかし、それはイリアが目を輝かせたことで杞憂であると分かる。


「魔王さまはやはり素晴らしいお方ですっ!あのお方は、魔王さまのお始祖さま、つまりは初代大魔王サタンなんですよっ!」


「初代サタン?って、ええっ!?なんでそんなすげえヤツが使い魔なんかにっ!?」


驚きを隠せない真也にイリアは説明してくれる。


「使い魔というのはすでに死んだ魔人や魔獣なのです。彼らは獣や獣人などに身体を具現化して主に仕えます。要は魔王さまは始祖さまを凌ぐ逸材である為、あの方を呼び出すことが出来るということです」


「え、じゃあ俺って初代サタンより強いのか?」


「それは……単純に腕っ節が強いからというだけではないので、わたくしからはなにも言えないのですが……仕えるに値すると判断された以上はそうなのかも知れません」


イリアは「とにかく、魔王さまは始祖さまから認められている。ということなんですっ!」と興奮気味に続ける。


「始祖さまから認められたことがあるのは、12代目と65代目のサタンさましかいないのですっ!魔王さまは既に偉業を成しているのですよっ!!」


グッと力を込めて力説するイリアを見て、真也は自分がとんでもない存在なのではないかと自覚し始める。


冷や汗をかく真也をよそに、イリアは真也を羨望の眼差しで詰め寄る。


「魔界にはシュテリヒ教という宗教が今もあり、初代大魔王サタンさまを神と崇める教会が全国各地に根強いている程なんですからっ!本当に素晴らしいことなんですっ!!」


「わ、分かった!分かったから少し落ち着け!」


イリアの豊満な胸にとどまらず、彼女のぷにぷにの身体が真也の全身を襲う。真也は理性がまだあるうちにと彼女を引き離した。あのままではイリアを押し倒してしまっていたかもしれない。


「あ、あううっ、すいませんっ……」


イリアは大胆に自分から真也に密着している事に気がついた。顔を朱色に染めて半泣き状態になってしまう。


女性とあまり接したことがなかった真也は上手いフォローも言える訳もなく、イリアが落ち着くのをただ待つ他なかった。


イリアが落ち着きを取り戻したのは、だいぶ時間が経った後のことだった。


「あ、ええと……他にお聞きになりたいことはございますか?」


まだ、赤い顔のままのイリアが口を開いた。真也は頭を掻いて頷く。


「お、おう。フィリアスってさ、鬣があるみてえなんだけどメスなのか?」


真也は草原でゴロゴロ転がっているフィリアスに目を向ける。


「あ、はいっ。そうですよ。彼女は獅子の中では王の枠組みなので、メスでも己の強さを誇示する為に鬣を生やしているんです」


「なんだそうなんかあ」


と、簡単に説明するイリア。どうやらこれは魔界では当たり前のことらしい。


イリアはフィリアスに歩み寄る。


「だいぶ時間を費やしてしまいましたね。他の質問は移動しながらに致しましょう」


真也は頷いて彼女の後を追ったーー

イリアさんはどうやら腹黒さんらしいです。もしかしたらトンデモないヤンデレさんに昇格してしまうかも知れません(笑)


と、いう訳で今後ともご愛読のほど宜しくお願い致しますっ!!

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