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ログ・ホライズン Previous flash  作者: コネスト
ミナミ・アキバ縦断
3/13

やってみなはれ、なんでもやってみなわかりまへんで

サントリー創業者 鳥井信治郎の言葉です。迷った時にはなんでも決断することが大切ですよね。勿論考え無しじゃいけませんけど。場所がミナミ(大阪)なので、関西弁をチョイスしてみました(偶然)

シェインは、味のある素材を沢山買った。中でも白菜やレタスなどの葉物が好きらしく買い込んでいる。市場マーケットの混乱によって、調理品は大手生産系ギルドに買込まれてしまったが、原料はあまり売れていなかった。今となっては、味はしないものを占めたことでどうにもならないのだが。

「さて、行くかな」

目的地はホームタウン周辺の初心者ゾーンだ。幾らLv.90の体とは言っても、ゲームを現実に反映させたこの世界では何があるか分からない。大したことのない所から始める事が最善であるし、高レベルゾーンに遠征する勇気もない。大量の課題と問題点をできることから紐解くのだ。

初心者が戦って手応えのある敵といえば、〈亜人間〉であろう。近畿地方には〈スザク門の鬼祭り〉で代表される〈人喰鬼オーガ〉が生息している。いくらか凶暴ではあるが、知能は犬よりもマシな程度で、高レベルのプレイヤーには尻尾を巻き逃げる。こちらからの宣戦がシェインにとってしやすいのだ。時刻は昼時、あまりエンカウント率が高くないのでやり頃。シェインは戦うために自分の装備と基本的な特性を確認することにした。

(俺の職業は〈妖術師〉。いわゆる魔法使いか。中距離攻撃で大ダメージを与える事に特化しているんだっけ。で、サブ職は〈魔人〉?たしか、あのチートもどきだよなぁ)

シェインはサブ職業の類は好んでサイトを見ていたため、知識はあるようだ。〈魔人〉は一時期に日本サーバーで配信された限定クエスト〈大いなる禍に抗う魔術士へ〉の達成報酬になっていたものだ。

(確か、遺跡に行った魔法使いを救出する大地人の依頼だったよな)

実際に行ってみると、対象はレイドボス級のモンスターに変貌しており、それを倒すことで助けられるという内容だ。そのお礼にと自分の研究成果を知識はとして伝える。それが〈魔人〉の正体だ。

(レイドボスを単体で倒すのが不可能に近くて、達成者は3人ぐらいなんだよな。それに見合う分、効果も最高)

このサブ職は称号系で、他を圧倒的に凌駕する性能を備えていた。

一つは、〈詠唱時間時移動可能〉である。魔法の特技は移動するだけで解けてしまうという制約を無視した、回復職と魔法攻撃職の立ち位置そのものを塗り替えるスキルだ。

二つは、MP自動回復のスピードが増長である。MP回復の手段が少ない〈エルダー・テイル〉では、重宝されること間違い無しと言われていた。

ここまでバランスを傾けそうな性能に関わらず劣化させないのは「ここまでマジキチな戦闘をできる奴ならこれくらいいいだろ」とかいう運営の意見らしい。ある〈事件〉によって改正案が出たが、あるGMが猛反対しておじゃんになったという。

「次は装備の方だね」

シェインが持つ杖である光の刀身に飾りをつけたような、幻想級〈閃光の杖〉は電気、光属性、補助以外の特技が使えなくなる代わりに、50%攻撃力が上昇という極めてピーキーな装備だ。昔はもっと性能が良かったらしいが、これは〈事件〉を契機にダウングレードされたらしい。

これらを持って、シェインはゾーンの中に入って行った。

「あんまり、いないなあー。俺を恐れて逃げたのか?」

ちょっとカッコつけて歩くシェインは辺りを見渡した。杖をブンブン振り回し気を抜いている。すると、何かを複数の黒い影を見つけた。狙いの〈人喰鬼〉だ。数は3、シェインは素早くメニューを開き特技を選択するが、問題が発生した。

「ウぉ、見えねぇ!え、ちょっと」

攻撃していこないのを見た人喰鬼は殴りかかる。

見事にヒットした。

「痛っっっっっっっっっっっっっっっっっってええええええええええええええええええ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」

激痛が走る。今までに体感しとことの無いような感覚に全身がこわばる。シェインは狼狽えながらも咄嗟に杖を近くにいた人喰鬼に叩きつける。すると、杖は電気を帯びたように光り、その一体を吹き飛ばした。

「え・・・」

落魄が見えた為、撃破したのだろう。おそらく〈サンダーボルトクラッシュ〉なる近距離攻撃が発動した模様だった。

「体の動きに合わせれば、勝手に技が出せるのか。なら、」

一連の動作を見た2体の人喰鬼は、逃げようとするが、シェインはそれを逃さない。

「ライトニングネビュラ」

杖を勢いよく前に向けると、大電流が発生し、周りは焦げ散った。逃げる暇もなく2体の人喰鬼は無残に消滅した。

「ゼェ、ハァ、何であんなのの攻撃でこんなに痛み感じんだよ」

ステータスを確認すると、HPは数10も減っていた。普通ならここまでダメージは食らわない。Lv.90の防御力で、防具をつけていれば低レベルモンスターの攻撃は痒くも無い筈だが。

「一応、装備を再確認するか」

防御力を表す値が0。

「?」

どうりでダメージを喰らう筈だ。はっきり言って防御はLv.10以下より酷い。それには、白いとロングコートのような幻想級〈聖外布せいがいふ〉の特性があった。

「防御力を0にする代わりに、スピードにその分の値を加算するっていう装備か。これも昔はもっと良い性能だったような・・・」

シェインは、自分の使っているアイテムが、どれもダウングレード仕様だという奇妙さを感じながら、ビルドの特性を把握していった。

「なるほど。サブ職と装備の特性を用いて高速移動しつつ電撃を喰らわすのか。〈ヌーカー〉と〈コンバットメイジ〉を兼任できるんだ」

しばらく黙って息を吐いた後に、杖を強く握り直す。真剣な表情のシェインはその後も敵を探しては戦い続けた。

アイテムの説明で、文体が変になっちゃいました。妖術師の欠点である「防ぐ」を捨て、「避ける」に徹することで、クセを逆手にとってみました。


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