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【書籍化・コミカライズ】呪われたモフモフと追放聖女のもぐもぐ辺境暮らし  作者: りょうと かえ
塔の魔術師

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30.内部へ

 まもなく、夕方前には砦のすぐ近くまで到着した。砦まであと百歩ほど。


 樹木の位置と建造物の高さから、これ以上近寄ると発見されるかもしれない。

 逆に言えば、この距離なら向こうから出てこない限り、こちらのこともわからないはず。


「じゃあ、手筈通りに」


 魔石が保管されている白狼の村の代表の私、それにランスター。

 このふたりで砦に向かう。


「……気を付けなよ」


 ベッセルはここで待機する狩人の指揮だ。

 私と同レベルの魔力持ちである彼を塔に連れて行くのはリスクがある。


「危なかったらすぐに帰ってきてね」


「うん、クララちゃんこそ警戒を怠らないでね」


 クララも待機組だ。一定時間経って私たちが戻らなければ、待機組が砦になだれ込む。


「ぴぃ」


 オーリは私の肩に乗っていた。ただ、シュバルツは連れて行くわけにはいかない。

 もし相手が彼のことを覚えていたら……来てもらうわけにはいかない。


 不安そうに彼が私に顔を寄せる。


「……わう」


「心配しないで」


 ふわふわなシュバルツの頭を抱き寄せる。

 でも、なおも黒狼は心配そうな顔をしていた。彼にしか聞こえない声で、私は囁く。


「……あなたを救うためなんだから」


 前もって用意していた書簡を持ち、砦に向かう。

 狩人の皆から離れるごとに不安がついてくる……が、私は心の中で弱気を打ち払う。


(怖気付くな)


 この砦にいる人たちがなんであれ、あのマーコールより恐ろしいはずがない。


「……ぴ」


 肩のオーリが私の髪を軽くかき上げる。


 砦の正面には取ってつけたような、大きな木の扉がひとつだけだった。

 私は息を吸い、強めにノックする。


「狩人の村の使者です! お話があります!」


 もしかしたら無視されるかもしれない。


 そう思ったが、扉はあっさりと開いた。

 中から現れたのは、魔術師然とした男たちだ。


 身にまとうフードは上質の布で、新しそうに見える。


 全員がひょりろと細長く、生気の失せた顔をしている。

 さらには、ねじれた黒い角の装飾を頭部に取り付けていた。


 ヤギの角、あのマーコールのような角……。

 ファッションのひとつだと思うけど。なぜか魔力と不気味なモノを感じる。


「……狩人?」


 ひゅうひゅうと彼らの肺から耳障りな音が響いた。

 男たちは顔を見合わせ、少しして頷く。


「来るがいい」


 男たちは扉の奥に広がる廊下を滑るように、振り返りもせず進んでいく。

 すんなりと入れたことに拍子抜けしながら、私たちも男たちの後についていった。


「武装解除もなしとは……」


 ランスターが小声でうめく。

 そう、私たちは何の身体検査も何もされずに砦を進んでいた。


「甘く見られているのか、それとも……」


 砦は空虚で、大人数がいるようには感じられない。せいぜい数十人か。


 廊下は木でできていたが、腐りかけた木の匂いと軋む音が不快だ。

 外よりも中のほうが安上がりに作っている。


(だけど、それより……)


 目の前の男たちは魔力持ちだった。


 持ち合わせる魔力はクララやベッセルよりも下だが、専門的な教育を受けている。

 魔力持ちが何人も徒党を組むということは、組織力があるということ。


 途中、分かれ道があったが直進したままだ。

 そのまま進んでいくと――壁と床が人肌色の石造りになる。


 同時に、背筋がひゅっと冷たくなった。


(ここからはあの塔の中……!)


 嘘ではなく、魔力の霊気が流れ込む。


 普段、感じる森の魔力を腐らせ、濁らせたような感触だった。 

 前を歩く男たちはそのまま進むが……頬の内側を軽く噛んでから、私はそれについていく。


 ランスターもぎゅっと拳を握っているのが見えた。

 塔に窓はない。だが内部にはろうそくがあり、さほど暗くはない。


 案内役の男たちはするすると塔の内部から階段を昇る。

 こちらも階段に足を置くのだが、それだけで不快感がさらに増した。


(本当に気にならないの?)


 魔力持ちであれば、魔力そのものの影響は受け流せる。


 だけどこの不気味な存在感、不快さは感じざるを得ないはずだ。

 階段を昇ると塔の中央部分らしき、吹き抜けの広間に出た。

これにて第5章終了です!

お読みいただき、ありがとうございました!!


もしここまでで「面白かった!」と思ってくれた方は、どうかポイントの☆☆☆☆☆を★★★★★に変えて頂けないでしょうか……!


皆様の応援は今後の更新の励みになります!!!

何卒、よろしくお願いいたします!

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