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【書籍化・コミカライズ】呪われたモフモフと追放聖女のもぐもぐ辺境暮らし  作者: りょうと かえ
森の主

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15.要請

 こうして私はシュバルツを狩りに連れて行くことにした。


 そして一日一回、シュバルツに聖女の力を使ってみる。

 だけど変化はなさそうだ。夜になっても人の姿にはならない。


(とりあえず継続していくしかないか)


 クララも料理作りの合間に狩りを手伝ってくれる。


 数日後、私はクララを連れて狩りに出かけた。その日も順調に真っ黒なイノシシを仕留めることができたわけだが……。

 血抜きをしながら、クララはネガティブモードに入ってしまった。


「はぁ……ワンちゃんってどうしてこうも獲物を見つけられるんでしょう? 私なんて……こんなに狩人をやっているのに、まだまだで……」


「シュバルツはとても鼻がいいから、獲物を見つけられるんだよ」


「えっ!? ワンちゃんはそうなんですかっ!?」


「知らなかったの!?」


「初めてのワンちゃんですし! 知りませんでした!」


 うーん……確かに、言われてみるとそうか。

 村にちょっとした本はあるけど、それだけじゃ犬の嗅覚が優れているってわからない。


「わふわふ……!」


 シュバルツが自信たっぷりに胸を張る。


「ならまぁ、仕方ないですね。持って生まれた才能の違いということで!」 


 種の違いということでクララは即座に立ち直った。


「そうそう。クララちゃんは手先が器用だし」


 血抜きにも当然、技量がいる。

 獣の血管のどこを切ればいいのか。できるだけ短時間に済ませるには、太い血管や残った血を把握できないと。その辺りの技術はクララのほうがずっと上だ。


「にしても、このワンちゃんは本当に頭が良さそうです。完璧に私たちの言葉を理解しているような……」


「ぎくっ」


「……オーリちゃんと同じくらい賢いですかね」


「ぴぃ……」


 ねむねむオーリはシュバルツにもたれかかり、羽を掲げる。

 絶対に聞いてない。生返事だ。


「そう言えば、あれから角の主はどうなったんでしょう? 何か聞いていませんか?」


「うーん……西の辺りは危ないって話だけかな」


 ランスターから話を聞いて、私たちは村から北東だけを狩場にしてきた。

 他の村人もそのはずだ。


 その日、黒イノシシを掲げて私たちは村へと帰った。すると広場には村人とカサンドラが何やら話し込んでいる。


 ラームもその場にいて、静かに話を聞いていた。こんなことは滅多にない。

 輪の外側にいるおじさんに私は話しかけた。


「あのー……」


「おおっ、エリーザちゃん! こりゃまた立派なイノシシだな!」


 村人の注目が私たちに集まる。カサンドラもそれは同じだった。


「立派な獲物だね! その子――シュバルツが来てから、順調じゃないか!」


「はい、ありがとうございます!」


 シュバルツも嬉しそうだ。わふわふと尻尾を振る。


「で、何を話していたんでしょう?」


「ランスターが西の村へ行ってたんだけど、その様子が手紙で来たのさ」


 ハーブを織り込み、金の模様入りの見事な封筒をカサンドラがひらひらさせる。


 ランスターが村から出る際はカサンドラのキャラバンから人を出すんだっけ……。

 イノシシを村人に渡したクララが小首を傾げる。


「ランスターさんは戻ってきてないんですか?」


「ひとりでさらに遠くへ行ってみるらしい。ウチの人だけ帰されたんだ。手紙にはもう西の方では主らしき獣の影響が出ているんだとさ」


「それはどんな影響なんでしょう?」


「人は襲われてないけど、獲物が先に殺されているんだって。それじゃ魔石が取れなくなる」


 カサンドラの言葉に村人がうんうんと同意する。

 荒っぽい殺し方では魔石は溶けて消えてしまう。獣同士ならなおさらだ。


「ランスターの提案では、数か所の村で討伐隊を組んだほうがいいんじゃないかって……」


 村人を見渡すと神妙な面持ちだ。


「主が南下してきたら、俺たちも困るぜ」


「人の被害が出ないうちに手を打ったほうがいいよ」


 そんな中、ラームが私とクララをじっと見つめる。


「……というようなことを話していたのさ。ウチの村で腕利きと言えば、あんたらふたりだ。やってくれるかい?」


「私は間違いなく、足手まといになるかなぁて……」


 クララが指先をちょんちょんしながら渋る。その様子にラームがため息をついた。


「ぼんくら親父を十人送るより、あんたのほうが役に立つよ」


 いきなりチクリと言われたおじさんたちが情けなく抗議する。


「そんな! ラームや、それはひどいよ!」


「もうちょっと……八人いればクララと同じくらいは働ける!」


「おだまり!」


 ラームが目を剥いて一喝すると静かになった。

 私はそっとクララの腕を取って、彼女を見つめる。


「クララちゃんがそばにいてくれると、私も安心だよ」


「……エリーザちゃん」


「主は見過ごせない。もう困っている狩人の仲間がいるし。一緒に行こうよ」


 クララの瞳に勇気が宿ってくる。彼女の弱気は一瞬のこと。

 弱気が終われば、クララはとても素晴らしい狩人だ。


「わ、わかった……! 頑張るよ!」


「決まりだね。カサンドラ、村々への連絡はあんたらのところで取りまとめてくれ」


「あいよ。じゃあ主を狩る機会を待とうじゃないか」


 おー! と歓声が上がる。

 その夜、村は景気付けに様々なモノを持ち寄って宴が開かれた。


 メインはもちろん私とクララで獲ってきた黒イノシシだ。

 腹の部分のとろけるような脂身を堪能しながら、私は決意を新たにしていた。

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