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飾りじゃないのよ涙は

「…スラ……イム…ッ!?」


スライムに押し倒される……とかマジか俺ッ!?

弱すぎだろ!?



ーーースライム


俺の認識ではゲル状の物体でなんでも溶かす魔物。

プルプルして可愛かったり

悪い魔物じゃないよって言ったり

とんでも進化で魔王になったりする


だが今の所俺はこの半透明の全裸女性体型のスライムに押し倒されていた。

痛みとか無いから溶かされてる訳ではないらしい。

しかもこのスライム、押し倒すだけじゃなく俺をじっと見ている…ような気がする。


いやいや、痛みがなくてもこの状態はダメだろ!?


ハッと我に返り上にのしかかっている女性型スライムを振り払おうとしたが……えっ!?…腕も足もミリも動けねえ……

全力で足を振りあげようとするがスライムのぷにっとした弾力を持つ触手に抑え込まれ少しも動かせない。


いやいや、

触手プレイとか

拘束系とか

確かに夢見た事もあったけどッ……


自分がされたい訳じゃないッッッッッ!!


どうにか動けないか力を入れている俺の目の前に半透明の顔が近付いてくる。


くっっ…スライムなのにっ

可愛いじゃねえかよッ!


ちょっとだけ…半透明なその顔に見とれていたら、どんどん顔が近付いて来てーーそのまま口を塞がれた。


「…んゥッ……ッ」


え、ちょ、コレって……スライムにキスされてんジャね!?

いやまさか、実は口から体内に入って乗っ取られる系ッ!?

ヤバいっ!?


「んんんッ……」


鼻は塞がれてないから息は出来るけどッ!

ひんやりしたゼリーが口の中で微妙に動いてるッッッッッ!

だが、それ以上奥に入っては来ない……

………………っていうか

なんか……ディープキスっぽぃ……


「……ッんゥんッ……」


ダメだッ

スライムにディープキスなんて嫌だッ!!

でも、

頭もいつの間にか抑えられてて動けれねぇ……

ちょっとッ!シエルッ!シエルさぁ〜ん!

たーすーけーてーっっっ!!!


ぎゅっと目をつぶり心の中で助けを呼ぶ。


「ぎゃーッ!優耶ぁーッ!」

シエルの叫び声に閉じていた目を開けるとスライムと目が合った。


正確には視線が合った気がした。

その瞬間、何かとても懐かしい感覚を感じた。

遠い昔に感じたような……


「コノッ……離れなっ……さいっっ!!……」


ズルっと音がしそうな感じで口からスライムが抜け、身体から剥がされる。

「優耶ッ……大丈夫ッ!?」

シエルが子猫を掴む感じでスライムを片手でつまみ上げる。

おかげで拘束されていた身体は自由になったが、一瞬感じた懐かしさもどこかに霧散した。


「はあはあ………あ、ああ…ありがとう、シエル。助かったよ。」

俺は立ち上がりながらお礼を言った。

そしてすぐにペットボトルの水を購入し、口をゆすいだ。


腕や足も確認してみたが、怪我どころか服が溶けていることもなく、ただ拘束されていただけだったようだ。


「油断も隙もないッ!……どうやって知ったのかしら……」

シエルはスライムに対して小声でブツブツと怒っているが、摘まれたスライムは上半身裸体女性の状態で、こちらに両腕を伸ばしもがいている。

そして驚くべき事にその瞳からポロポロと小さな何かが落ちている。


スライムの……涙!?


ギョッとして見ていると、目が合ったのが分かったのかポロポロと落とす物はより多くなり、腕の動きも激しくなった。

自分に怪我等の被害が無いと確認して安堵したからか、涙(らしき物)を流しながらもがくスライムを落ち着いて観察する。


なんだか可哀想になってきた……


「なあ……このスライム、俺を殺そうとはしなかったんだけど…もしかしてテイムとか出来るやつ?」


いや、何言ってんだ俺?

拘束されて口の中に入ろうとしてたスライムが可哀想って……

でも、なんか見てるとそんな怖くないって言うか、こう……なんて言うか……例えるなら、飼っている大型犬が久しぶりに会った時に勢いよく飛びついて顔中舐められた様な……そんな感じに似てると思うんだよな。


「優耶……はぁ……確かにこのスライムは貴方を害することは無いけど……」

問われたシエルはかなり呆れた感じで答えてくれた。

歯切れは悪いけど。

「だよな?じゃあ連れて行けるな!よし、じゃあスライム、お前の名前は『ネフ』だ!」


ちょっと強引だったか?

いやでも、シエルも特に脅威を感じてなさそうだし……


俺がスライムにネフと名付けた瞬間シエルとネフがピタッと止まった。


「ん?どした?気に入らなかったか?」


不思議に思って聞くとネフは首を横にフルフルと勢いよく振ってポロポロと涙を辺りに撒き散らした。


「優耶……え?無自覚?……」


シエルは戸惑いながらも小声で何か呟いている。ただ、その隙にネフを掴んでいた手が緩んだのか、ネフが地面に降りてこちらに寄ってきた。

「あ〜、待て待て!ネフ!いいか?コレだけは守れよ?俺を押し倒すな・拘束するな・勝手に口に触るな!どうだ?守れるか?」

足元まで滑り寄ってきたネフに言い聞かせてみる。

スライムにどこまで言葉が通じるか謎だが、俺の勘が何故だか大丈夫だと告げている。

案の定ネフは両手を祈るように顔の前で組みコクコクとうなづいた。

「よしよし、分かってくれたか!」

俺は嬉しくてネフの頭をなでなでする。

ネフは俺の足に抱きつきスルスルと登って首に抱きついた。

「ぉぉぉぉッ」


やっぱり言葉じゃダメだったか!?


だがネフはそのままじっと俺を見るだけでそれ以上は動かない。

「ちょッッッ!近すぎでしょ!?もっと離れなさいよっ!!」

なんの対抗心なのか、シエルも小さくなってネフと反対側の肩に立つ。

「こらこら!耳元で喧嘩するなよ!」

小さなシエルとネフの腕が俺の後頭部で小さな攻防をしている。


ふぅ〜驚いた……

でもさ、異世界っていったらやっぱスライムだよな!うんうん。

上半身ゼリーだけど美女だと俺も嬉しいし!

いや、初っ端デープキスは流石にビビったけど……まあ、犬だってべろちゅーぐらいはするからな!


「ところで……さっきポロポロ落としてた涙?がなんかキラキラしてるんだが……」

そう言って地面にばら撒かれているそれを手に取った。

「なんだコレ……めっちゃ綺麗じゃん!」

1個摘んで日に透かすと向こうが見えるくらい透明度がある。

「……これ、水晶とかに似てるな……鑑定!」


ピッ

『水晶』


「えっ!?水晶!?マジで?」


俺は驚いてそこいら中に散らばった粒を見回した。

「優耶、その水晶売れるから集めるといいよ!」

ネフとの攻防が落ち着いたのか、俺がネフの落とした物が水晶だと分かったからなのか、シエルが教えてくれた。

「売れるの!?マジで!拾う拾う!」

しゃがんで拾う体勢になるとネフはそそッと背中に移動した。


…………降りてくれても良いんだぜ?






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