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結界と動物

夜。

森から薬草草原に戻って適当な場所でテントを出した。

女神様の結界が消えて(ネフのせいらしい)森の中はイノシシだけじゃなく色んな動物が戻って来たから危険だ、とのシエルの言葉で見晴らしのいい草原で寝る事にしたのだ。


「優耶、今夜の魔法の練習は魔石を作りましょ!」

星空を見ながら風呂上がりの晩酌をしていたらシエルに提案された。


魔力切れで眠っても良いように全ての準備を終える。

テーブルの上にネフの涙から出来た水晶を2、3粒置く。

「コレに魔力を込めればいいのか?」

「そうよ。やってみて。」

魔力を込めるなんてやった事ないんだが…イメージだけはなんとなく出来る。

魔力操作ってファンタジーな魔法使いの基本だものな!

「ムンッ」

水晶を右手に握り込み力強く握るイメージで、かつ、筋力ではなく魔力をじわじわと浸透させるイメージをする。

「優耶。呼吸は止めなくていいのよ?」

含み笑いでシエルが忠告してくれる。

無意識に呼吸を止めていたみたいだ。

すーはーすーはーして新鮮な酸素を補給する。

握りこんでいた水晶を見てみると透明だった水晶が少し水色になっている。

「いい感じじゃない?優耶頑張って!」

褒められればその気になっちゃう単純なオレ。

目を瞑り右手に集中する。

やがて水晶が熱を持ち感覚的に、もう入りませんっっ!…というメーッセージを受けた気がして手のひらを見ると、淡く色付いてほのかに光る水晶があった。

「おおぉ…綺麗だ…」

「どれどれ…うん。成功ね!」

「マジで!?やりィ!」

「じゃあ今夜はこの魔石を使って結界を張って寝ましょ。」

「…え?」

「だってまだ寝ながら結界維持出来ないじゃない?」

「え…」

せっかく綺麗に出来たのに勿体ない…

と、思って聞き返したら至極当たり前な返事が返ってきた。

ぅぅぅお説ごもっともです…


「やり方は、その魔石を持って魔石から結果を広げるイメージでいけるはずよ。」


言われた通りにやってみる。


するととても簡単に自分が意識したところまで結界が出来上がった。

「そしたらその魔石をテーブルか枕元に置いて、魔力切れまでひたすら魔石作りよ!」


その後3つ目を握りこんでいるうちに俺は魔力が切れたらしい。



朝、目が覚めてテントから出ると結界の周りに色んな動物がうずくまっていた。

「何…コレ…」

呆然とつぶやくと外を向いていたシエルが気付いた。

「あ、優耶おはよう!」

「おはよ。……何事?」

「なんかね、夜明け頃から集まってきちゃって…」

「え、死んでるの?」

「あぁ、違う違う。寝てるだけなのよ。」

「……寝てる!?野生動物が?」

「うん。」

「え?意味分かんないんだけど?」

そんなやり取りをしていると、寝ていた動物たちがムクリと起き上がり何かを待つようにじっとこちらを見てくる。

「な、何かな……」

「……ハッ!…え、でも…」

若干怯えながら周りを見回してる俺の横で、何かに気付きながらも躊躇ってるシエル。

「シエル、何か気付いたんなら言ってくれ。」

野生動物達のこちらに向けている視線に敵意が無い様子だとしても、こんなに見られると流石に怖い。

「優耶、試しにちょっと結界解いてみて。」


ッッッ!?

なんですと!?


「い、…いやいやいやいや!怖いじゃんっ!?」

「大丈夫だから……多分。」

「絶対じゃ無いじゃんっ!」

「でも、ずっとこのままな訳にも行かないでしょ?」

「いや、そうだけど……」

「襲いかかっては来ないから!……多分。」

「ぇぇええええ…」

背中に張り付いてたネフも後ろから腕をムチのように振って俺を守ってくれるジェスチャーをする。

まあ、いざとなったらすぐに結界を張り直せばいいか……


俺は覚悟を決めて結界を解除した。


動物たちは結界が消えた事が分かったのか、ゆっくりと順番に俺に近付いてきた。


最初に目の前に来たのは親子イノシシだ。

親の方は俺にお辞儀でもする様に頭を下げる。ウリ坊は俺の足元に体を寄せて来た。

「おっ?昨日のウリ坊か?」

そう声をかけて頭や体を撫でてやる。

ウリ坊は嬉しそうにグリグリ頭を押し付けてもっと撫でろとでも言う様に擦り寄って来るが、スグに親イノシシに呼ばれて俺から離れていった。

ちょっと名残惜しいと思っていたら、順番待ちの列が出来上がっている。

「はっ!?」

次はオオカミが5頭近寄ってきた。

「オ、オオカミ?」

いや、実際にオオカミを見た事なんてないけど、そのシベリアンハスキーっぽい見た目にそれ以上の存在感。鑑定しなくても肌で分かる森の上位種。

その先頭に居るのはおそらくリーダーだ。

彼らも俺の側まで来るとサッと伏せをして、リーダーは頭を擦り寄らせてきた。

俺は怖々とその頭を撫でるとオオカミリーダーは気持ち良さげに顎を上げてきた。

まるで飼い慣らされた犬のよう……


オオカミ達が退くとその後ろからグリズリーの親子が進み出てきた。

3組目……また足元に来るのか?と思ったら、親グマにハグされた……!?

「!!!!!」

絶妙な力加減が気持ちいいハグで、実は着ぐるみか!?と思ってるうちにグリズリー親子は去って行った。

その後も鹿のペアやら野うさぎのファミリー、キツネ、モモンガ、アライグマ、鳥……かなりの野生動物が何らかの挨拶なり顔見せなりをして去って行った。


全ての動物たちが帰って行ったのは昼頃だった。


「ホントに……なんだったんだ……?」


全身毛まみれで獣臭くなった俺はネフに頼んで温泉成分のお湯を出してもらい、昼から温泉風呂に入ってさっぱりしたのだった。



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