チートじゃ無かった
迂闊に収納魔法で1週間ワープした俺は、魔力の残量を確認して「やはり魔法は夜にやろう」と、思った。
なんにせよ道具は全て持ったから、今日からわざわざここまで帰ってくる必要も無くなったのだ。
じゃあ早速冒険へ!……とはならんのよ。
攻撃魔法が使えない。
これが思った以上に自由行動に待ったをかける。
……俺の保身上の問題だけど。
じゃあ物理攻撃で対処すればいい……と、以前の俺なら言っただろう。
異世界転生物の大体の主人公は、魔法なり剣なり何かしらの攻撃手段を手に入れていた。
おそらくMamazonで探せばそれなりに武器になる物は有るとは思うが……怖いのだ。
襲われるのも怖いのだが、攻撃するという考えが既に怖いのだ。
こちらに来てからアウトドアな生活をしているから多少なりとも虫を見かける。
だが、どうしても日本にいる時ほど嫌悪感が無いのだ。
虫自体も寄っては来ない。
言い方は変だが、虫から敵意を感じない。
飛んではいるが近寄って来ないし、向こうから避けられる。
なんらこちらに攻撃性を見せてこないからこちらも攻撃しない。わざわざ殺して回ることはしようとも思わない。
つまり虫すら殺せないのに生き物を攻撃など…考えただけで手が震える。
こんな状態で直接攻撃なんて到底出来ないのだ。
じゃあ攻撃魔法が使えたら殺せるのか?
……攻撃魔法は使ってみたい。
でもその先に生き物が居た場合……無理かも。
俺……こんな聖人君子だったっけ……?
まあ、それはさておきもう少しはこの薬草草原と森で財産を増やそうと思う。
「そういや疑問なんだけどさ。」
「ん?」
歩きながら鑑定眼で状態の最高の薬草を採取しながらシエルに話しかける。
「採った薬草とか木の実とかこの輪っかに入れるだろ?」
「うん。」
「するとすぐにお金になるじゃん?」
「そうね。」
「……なんで?」
「買い取ってくれてるからよ?」
「……は?」
「世界が買い取ってくれるの。」
……世界が、買い取る?
「ん〜…つまり、優耶が採取してこの輪に入れると、その品質に応じてお金が手に入るでしょ?」
「ああ、この電子マネーだろ?」
「厳密には電子マネーじゃないけど、まあ本質は一緒ね。それでそのお金で買い物してご飯食べたりしてるじゃない?」
「MamazonやMUber Eatsな。」
「優耶の世界ではそのやり取りを同じ人間がしてたけど、その手間を世界がしてくれてるの。」
「……?」
いや、あの、世界がしてくれてるっていうのが意味不明なんだけど?
「う〜ん…つまりこの輪が買取り窓口で、スマホのアプリが販売窓口なの。」
「いや、それはわかるよ。でもそれって俺だけだろ?じゃあこの世界の他の人はどうしてんの?って話なんだけど?」
だってスマホ持ってんの俺だけじゃね?
「だから…この世界の人は全員そのシステムで生活してるのよって説明してるんだけど?」
……は?
「…………全員?」
「全員。」
「スマホ持ってる?」
「スマホ持ってる。」
「はあああああああ?」
なんだ、それ?
全員スマホ持ってて、
全員ネット決済で
全員こんなチートっぽい生活してるのか!?
「あ、魔法は適正が無いとアプリをダウンロード出来ないから全員じゃ無いわよ。」
「よく…分かんねぇ世界だ……」
「そうかな?むしろよく似ていると思うけどなぁ…」
異世界生活始めて(体感で)3日目。
スマホ使って便利な生活が出来ると心のどこかで浮かれてたが、実はコレがスタンダードだと知って少しガッカリしている俺が居た。
( °꒳° )スン...




