【第3話】誘拐!リーネを救え
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【AM 10:00 惑星ショッピー・宇宙港】
色とりどりの看板とネオンサインで彩られた巨大な商店街惑星にサザンカ艦が着陸した。
エリー:「わ〜い♪お買い物の星ですね〜♪」
マリア:「素晴らしいですわね〜、高級ブランドもありそうよ」
レイ:「ちっ、あたしは買い物なんて興味ねぇよ」
リーネ:「でも補給も必要ですし、少し見て回りましょう」
リリス:「......人が多そうです......」
カイン:「美少女たちとのショッピング......悪くないな」
6人はサザンカ艦から降りた。
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【AM 11:00 惑星ショッピー・メイン商店街】
巨大なアーケードには無数の店が立ち並び、宇宙中から来た買い物客で賑わっていた。
エリー:「すっごーい♪何でも売ってる〜♪」
マリア:「あ〜、あのドレス素敵〜♪」
マリアが高級ブティックに駆け寄る。
店員:「いらっしゃいませ〜♪こちら今季最新の銀河系ファッションですよ〜♪」
マリア:「ほう、試着させてくださいな」
一方、レイは武器屋の前で立ち止まっていた。
レイ:「おお〜!新型の光線銃じゃねぇか!」
武器屋店主:「お嬢ちゃん、目が高いね〜♪これは最新型バスターだよ〜♪」
レイ:「いくらだ?」
武器屋店主:「50000キャピタルだね〜♪」
レイ:「た、高けぇ〜!」
カインは下着屋の前でへらへらしていた。
カイン:「うへへ〜♪これはリーネのサイズかな〜♪」
店員:「お客様〜、彼女さんへのプレゼントですか〜?」
カイン:「いや〜、まだそういう関係じゃ......うへへ〜♪」
リリスは本屋で静かに立ち読みしていた。
リリス:「......『静かな宇宙の歩き方』......良い本です......」
リーネは食材を買っていた。
リーネ:「非常食用にこの宇宙干し肉を......」
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【PM 12:30 惑星ショッピー・フードコート】
6人はフードコートで昼食を取っていた。
エリー:「みなさん〜♪何か買いました〜?」
マリア:「素敵な高級ドレスを3着よ、150000キャピタル分♡」
レイ:「武器の部品をちょっとな」
リリス:「......本を5冊......」
カイン:「え〜っと......内緒だ」
リーネ:「私は食材ですね」
その時、マリアがふと気づいた。
マリア:「そういえば......」
マリアはじ〜っとエリーの胸を見つめる。
マリア:「エリーちゃん、最近......大きくなった?」
エリー:「え〜?そうですか?」
エリーが自分の胸を見下ろす。確かにいつもより大きく見える。
レイ:「あ?何の話だ?」
マリア:「胸よ。エリーちゃん、成長期なのかしら?」
エリー:「恥ずかしい〜♪」
レイが自分の胸を見る。
レイ:「ちっ......あたしなんて全然だぜ......」
マリア:「あら〜、確かにレイちゃんは小さいですからね」
レイ:「てめえ、バカにしてるのか!?」
マリア:「そんなことありませんわよ〜、ただ、わたくしの方が断然大きいですけど〜♪」
マリアが胸を張る。
レイ:「なんだと〜!!」
レイが立ち上がる。
レイ:「サイズなんざ関係ねぇんだよ!」
マリア:「関係ありますわよ〜♪女性の魅力の象徴ですもの〜♪」
レイ:「ふざけんな!あたしだって負けてねぇ!」
マリア:「どこが〜?」
2人が睨み合う。
リーネ:「ちょっと、みなさん......人前で何を!1話でも同じことをやっていましたよね?!」
カイン:「いいぞ〜♪もっとやれ〜♪」
パシン!
リーネがカインを叩く。
リーネ:「変態、貴方も止めなさい」
エリー:「あ〜、2人とも仲良くしましょうよ〜」
リリス:「くだらないです。神よ、この愚かな2人をお許しください……」
しかし、レイとマリアの口論は止まらない。
レイ:「よし!測ってみろ!絶対あたしの方が......」
マリア:「上等ですわ!負けませんことよ」
2人は立ち上がってフードコートから出て行ってしまった。
リーネ:「あ、待ってください!」
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【PM 1:00 惑星ショッピー・下着売り場】
レイとマリアは下着売り場で測定中。
店員:「レイ様はAカップですね〜♪」
レイ:「A......チームではあたしがエースってわけだ......」
店員:「マリア様はCカップですね〜♪」
マリア:「やっぱり〜♪胸も美しさも財力もわたくしの勝ちですわね〜♪」
レイ:「畜生め、このクソ女が!」
レイが悔しがって店から飛び出す。
マリア:「あら〜♪逃げちゃいましたわ〜♪ざまあみなさい♪」
マリアも追いかけて出て行く。
リーネが後から到着。
リーネ:「あの......さっき間抜けな2人がここを通りませんでしたか?」
店員:「ああ、さっき出て行きましたよ〜♪あっちの方向です〜♪」
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【PM 1:15 惑星ショッピー・路地裏】
リーネは2人を探して路地裏まで来ていた。
リーネ:「レイさ〜ん!マリアさ〜ん!どこですか〜?」
その時、試食のおばちゃんが声をかけてきた。
おばちゃん:「お嬢ちゃん〜♪新商品の試食いかが〜?」
リーネ:「あ、すみません、急いでいるので......」
おばちゃん:「まあまあ〜♪一口だけでも〜♪美味しいわよ〜♪」
おばちゃんが差し出したのは綺麗な青い団子だった。
リーネ:「......そうですね、一口だけ......」
リーネが団子を口に入れる。
リーネ:「あ、美味し......」
ガクッ!
リーネが意識を失って倒れてしまった。
おばちゃん:「フフフ......計画通りだ......」
おばちゃんの正体は怪しい宇宙人だった!
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【PM 3:00 謎のアジト・地下牢】
リーネが目を覚ますと、薄暗い地下牢に鎖で繋がれていた。
リーネ:「う......ここは......?」
周りには怪しい男たちがいる。
男A:「おお、目を覚ましたな」
男B:「なかなかの美人だ」
男C:「久しぶりに良い獲物が捕れたな」
リーネ:「あなたたちは......何者ですか?」
男A:「俺たちは人身売買組織ブラックマーケットだ」
男B:「お前みたいな美少女は高く売れるんだよ」
男C:「特にお前の仲間のエリーってのも狙ってるんだ」
リーネ:「エリーを狙ってるんですか!?」
男A:「ああ、可愛い娘だからな」
男B:「お前を囮にして呼び出すつもりだ。エリーが来るまで、お前と遊んでやろうか」
リーネ:「くっ……」
リーネは腕を鎖で繋がれているため、スーツアップできない。
スーツアップは両肩のエンブレムに隠されたスイッチを同時に押すことで許可される。セキュリティの一環だが、このように不便になる場合もある。
そういえば、リーネは重力が大きな惑星グラビオン出身で、細い身体からは想像できないくらいの怪力の持ち主だったが、さすがに腕を拘束されていると、そのパワーも宝の持ち腐れ、といったところだ。
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【PM 3:30 惑星ショッピー・メイン商店街】
エリー、カイン、リリスはタクティカルスーツを着込んでリーネを探していた。
カインのタクティカルスーツは量産型で、名前はソルウォーリア。特に特徴がないのが特徴である。コストが低く、かつ特殊な操作が必要ないので、急に加入したこいつにはもってこいである。
エリー:「リーネさ〜ん!どこですか〜?」
カイン:「通信機にも応答がないな......」
リリス:「......リーネさんの通信機の電波を辿ってみます......」
エリーが振り向く。
エリー:「......なんとなく、この方向な気がします......」
カイン:「おい、根拠とかあるのかよ」
エリー:「なんか……、私の感って当たるんですよ?」
3人は路地裏に向かった。
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【PM 3:45 惑星ショッピー・路地裏】
路地裏でリーネの通信機が落ちているのを発見。
エリー:「あ!リーネさんの通信機〜!」
エリーが通信機を拾い上げようとした時......
ガシャン!
通信機の場所に気づいていなかったカインが通信機を踏み潰してしまった。
カイン:「あ〜!やっちまった!」
リリス:「......バァカ......」
エリー:「どうしましょう〜?」
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【PM 4:00 ブラックマーケット・地下牢】
男たちがリーネの前に現れた。
男A:「さあ、お前の仲間のエリーの居場所を教えろ」
リーネ:「断ります!」
男B:「強情だな......だが、教えてくれたら解放してやる」
男C:「さあ、言え!エリーはどこにいる!?」
リーネは必死に考えた。嘘をついてでもエリーを守らなければ。
リーネ:「......わかりました......」
男A:「おお!言う気になったか!」
リーネ:「エリーは......商店街の入口近くのトイレにいます」
男B:「女子トイレ?」
リーネ:「はい......お腹を壊して......ずっとそこに......」
男C:「なるほど!よし、すぐに捕まえに行くぞ!」
男A:「テレポート装置で一瞬で行ける!」
男たちはテレポート装置で消えていった。
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【PM 4:15 惑星ショッピー・女子トイレ前】
男たちがテレポートで現れた。
男A:「よし!ここだな!」
男B:「女子トイレに突入だ!」
しかし、女子トイレから出てきた女性客たちが男たちを見て......
女性客A:「きゃ〜〜〜!変態よ〜!」
女性客B:「痴漢〜!」
女性客C:「誰か〜!宇宙警察を〜!」
宇宙警察官たちが駆けつける。
宇宙警察A:「何をしている!」
男A:「ち、違う!俺たちは......」
宇宙警察B:「問答無用!逮捕だ!」
男たちは全員逮捕されてしまった。
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【PM 4:30 ブラックマーケット・地下牢】
リーネは一人で鎖を外そうと格闘していた。
リーネ:「う〜......外れない......」
その時、地下牢の扉に穴が空いた!
その向こうには3人が立っている。ソルダンサー、すなわちエリーのパンチが炸裂したのだ!
エリー:「リーネさ〜ん!」
カイン:「見つけたぞ!」
リリス:「......大丈夫ですか?」
3人が駆け寄ってくる。
リーネ:「みなさん!どうして......」
エリー:「私、なんとなくこっちにリーネさんがいる気がして、本当にいたんです〜」
リーネ:「そうでしたか......」
カインが鋼の腕で鎖を引きちぎる。タクティカルスーツを着ていればこの通りスーパーパワーが扱える。君も着てみたいだろう?
カイン:「よし!脱出だ!」
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【PM 5:00 惑星ショッピー・メイン商店街】
4人は商店街に戻ってきた。すると、レイとマリアが仲良くアイスクリームを食べているのを発見。
レイ:「おお、リーネ!どこ行ってたんだ?」
マリア:「心配しましたわよ〜」
リーネ:「えっと......長い話になりますが......」
エリー:「2人とも仲直りしたんですね〜♪」
レイ:「まあな......サイズなんてどうでもいいって気づいたんだ」
マリア:「そうですわ♪大切なのは心の美しさですもの♪」
カイン:「何があったんだ......?」
リリス:「......謎です......」
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【PM 6:00 サザンカ艦・食堂】
6人は艦に戻って夕食を取っていた。
リーネ:「今日は大変でした......」
エリー:「でも無事でよかった〜♪」
レイ:「それにしても、くだらない喧嘩だったな」
マリア:「本当ですわ、恥ずかしい」
カイン:「でも測定は見たかったな〜」
パシン!
リーネがカインを叩く。
カイン:「痛っ!」
リリス:「......リーネさんの機転で助かりました......」
リーネ:「嘘をつくのは好きではありませんが......緊急事態でしたから」
エリー:「リーネさんかっこよかった〜♪」
レイ:「しかし、あの試食のおばちゃんが敵だったとはな......」
マリア:「だいたい、無料のものを信じて良いことはありませんわよ!レイと違って、わたくしなら良い食べ物をごちそうさせてあげられますし……」
レイ:「おいてめーなんて言った」
マリア:「だまらっしゃいな。今日誰のおかげでマ◯ドナルドのハンバーガーが食べられたの思っているの」
レイ:「うるせえ金髪野郎!あたしでもあのときの所持金であれくらい買えるぜ!」
マリア:「嘘はやめなさいな」
レイ:「ああああぁ!ぶち◯す!!!」
リリス:「だめだこりゃ……」
こうして、S.E.T.隊はショッピング惑星での騒動を乗り越えた。
リーネの機転とみんなの連携で、今回も危機を脱することができたのであった。
頑張れ、S.E.T.隊!
【続く】