【第2話】混乱!逆転からの大逆転
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【AM 10:00 サザンカ艦・食堂】
エリー:「みなさーん!地球の伝統料理、お寿司を作ってきましたよ〜♪」
エリーは大きなお盆に握り寿司を並べて運んできた。
レイ:「おお?これが地球の料理か。見た目は良いな」
エリー:「地球といっても、ごく一部の地域だけですけどね〜」
レイは一つ手に取って口に放り込む。
レイ:「良いぞ、これ。美味い!何だこれ、魚か?」
エリー:「そうです〜!新鮮なマグロですよ〜」
リーネとリリスも興味深そうに寿司を手に取る。
リーネ:「これは......意外と美味しいですね」
リリス:「......地球の文化、面白いです」
しかし、マリアだけは顔を青くしていた。
マリア:「ナ......ナマモノ......?生の魚ですの......?」
エリー:「そうですよ〜!新鮮だから美味しいんです♪」
マリア:「うっ......、吐き気が......ゥ......」
マリアは手で口を押さえながら、よろめいた。
レイ:「おい、マリア?大丈夫か?」
マリア:「わたくし......高級料理しか......うぅ......」
ドサッ!
マリアはその場に倒れてしまった。
リーネ:「マリア!?」
エリー:「えええ〜!?お寿司も高級なのに......」
リリス:「......体調が悪そうです」
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【AM 10:30 サザンカ艦・医務室】
マリアはベッドに横たわっていた。顔色は相変わらず悪い。
マリア:「うぅ……、ん……、辛いですわ……」
リーネ:「熱もあるようですね......。最寄りの惑星に着陸しましょう」
レイ:「そんな大げさな......。ただの食あたりだろ?」
リリス:「......でも、いつもより辛そうです」
エリー:「あ〜......私のお寿司のせいで......ごめんなさい〜」
リーネ:「いえ、エリーのせいではありませんよ」
レイ:「そうそう、こいつの体質がダメな……」
リーネ:「こら。とにかく、惑星ダウトに向かいます」
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【PM 2:00 惑星ダウト・荒野】
サザンカ艦は砂漠のような荒野に着陸した。外は意外にも青い空が広がっている。
エリー:「ここなら人間が住めそうですね〜」
レイ:「空気も問題なさそうだな、むしろあたしがいたヴァルハラより透き通ってるぜ」
エリー:「え、どんな星だったんですか?」
レイ:「みんなガスマスクをつけているし、宇宙連盟からは何もしていないのに危険物等取扱責任者としての資格をもらえるんだぜ。あたしの髪が赤いのも、変な物質のせいだよ」
エリー:「へぇ……(怖いですね)」
5人はタクティカルスーツを装着し、艦外に出た。マリアはリリスの肩を組んでいる。
リリス:「マリアさん、重い……」
マリア:「失礼しちゃうー……」
リーネ:「静かに!敵がいるかもしれません。警戒を......」
その時、遠くから人影が複数近づいてくるのが見えた。
エリー:「あ!人がいますよ〜!」
住民A:「誰だろ?」
エリー:「S.E.T.隊のエリー・クサナギですー!敵じゃないですよ〜!」
エリーは大きく手を振りながら叫んだ。
すると、近づいてきた住民たちは急に表情を変え、武器を構えた。
住民A:「仲間だ!守護者だ!」
住民B:「護衛しろ!」
住民たちはレーザー銃を撃ち始めた。
レイ:「なんだよ!?仲間ならいきなり撃ってくるじゃねー!」
レイは光線銃ガーダーを構えようとする。
リーネ:「レイ!発砲は禁止です!より警戒されます!」
レイ:「でも向こうが......」
リーネ:「逃げましょう!」
しかしレイは頑として動かない。
レイ:「てめぇら!いいよ、来いよ!かかってこいよ!」
ビュン!
レーザーがレイの腕をかすめる。
レイ:「うっ!」
リーネ:「レイ!」
レイのタクティカルスーツがえぐれ、腕から血が流れる。
リーネ:「みなさん、私に任せてください!」
リーネはレイを背負い上げる。見た目からは想像できないほどの怪力だった。
エリー:「うわぁ!リーネ参謀、怪力〜!」
リリス:「......参謀は、重力が大きい惑星グラビオン育ちですから」
5人は近くの小屋に逃げ込んだ。
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【PM 2:30 謎の小屋】
小屋の中は薄暗く、誰もいないようだった。5人はヘルメットを外し、美しい顔を晒している。
リーネ:「とりあえず安全そうですが......手当てする道具が......」
エリー:「レイさん、大丈夫ですかー?」
レイ:「痛てぇ......。畜生、なんで急に攻撃してくるんだよぉ……。不可解な奴らだ」
その時、小屋の奥から足音が聞こえてきた。
???:「......誰だ?」
現れたのは美しい顔立ちの青年だった。クールな表情で5人を見つめる。
5人:「......」
あまりの美しさに、全員が言葉を失った。
マリア:「イイ男♡」
???:「なぜ俺の家にいるのかはさておき、傷を負っているようだな。手当てしよう」
レイは腕部と胸部のタクティカルスーツを外した。
それを青年は医療道具を取り出し、手慣れた様子でレイの傷を手当てし始める。
レイ:「あ......ありがとう......」
???:「俺はカイン。この惑星の住人だ」
リーネ:「あの、どうして住民たちは......」
カイン:「話は長くなる。アイスティー、いるかい?」
カインは優雅にアイスティーを入れ始める。
カイン:「この惑星ダウトの住民は、過去に異星人の奴隷にされていた。その時、ダウト星人同士のコミュニケーションとして、対義語を使っていたんだ」
エリー:「対義語?」
カイン:「『敵じゃない』と言えば『仲間じゃない』という意味になる。君の言葉で彼らは君たちを敵だと思ったのさ」
リーネ:「なるほど......それで攻撃を......」
カイン:「俺は留学していたから、普通の言葉も話せる。数少ない常識人だよ」
レイ:「じゃあ、どうすれば......」
カイン:「俺が説明しに行こう。君たちは敵ではないと」
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【PM 3:00 惑星ダウト・街の中心部】
カインは住民たちの前に立った。
カイン:「みんな!あの人たちは敵だ!悪しき宇宙犯罪者だ!」
住民A:「敵だって?」
カイン:「そう!平和を憎み、戦争を愛している!殺し合いに命をかける者たちだ!」
住民B:「ああ、独裁者か!」
カイン:「だからみんなで傷つけろ!とても危険で有害だからな!」
住民C:「なるほど、みんなで追い出してやろう!」
住民たちは納得したようにうなずいた。
エリー:「なぁんか面倒な言い回しですねー」
リリス:「いくら全宇宙で同じ言語を使っているとはいえ……、方言はどの星にもありますからね……」
その時、空から巨大な影が降りてきた。
住民D:「うわああああ!僕らをいつも歓迎してくる優しい奴らだ!」
現れたのは謎のアシキー軍団のロボットたちだった。
初登場なので説明しよう。バッドガイダー率いるアシキー軍団は、さまざまな星で破壊活動を行う、ある種の暴走族である。恐竜への変形機構をもち、宇宙警察でも逮捕できないほど強いのだ!
バッドガイダー:「さあ跪け!貴様らはこのバッドガイダーのまえにひれ伏すのだ!」
クロウザウラー:「さあ俺達のバッドガイダー様は強いのだ!」
マッドキャンサー:「バッドガイダー様の為に、この星を壊せぇぇ!」
アシキーロボたちは街を破壊し始めた。
住民たち:「うわああああ!」
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【PM 3:15 謎の小屋】
爆発音が小屋まで響いてきた。
エリー:「何か爆発してる〜!」
リーネ:「ロボット軍団のようですね......」
レイ:「畜生!やらせておけないな!」
マリア:「わたくし......もう大丈夫ですわ......」
マリアがよろよろと起き上がる。
リリス:「......バリアブルドールの出番ですね」
リーネ:「そうですね!みなさん、バリアブルドール発進準備を!」
5人は小屋の外に出て、通信機〈S.E.T.コマンダー〉を使った。
リーネ:「サザンカ艦、バリアブルドール5機、発進!」
空から5機の戦闘機が降りてきた。すぐに5人はバリアブルドールに搭乗し、変形を開始した!
エリー:「スピンセイバー、行きます〜♪」
リーネ:「ビッグマーズ、出撃!」
マリア:「ウインシーザー、参りますわ♪」
レイ:「イカロクラッシャー、いくぜ〜!」
リリス:「ヘルトラッカー......準備完了」
5人はそれぞれのバリアブルドールで飛び立った!
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【PM 3:30 惑星ダウト・市街地】
バッドガイダー:「何だあの5体のマシンは!」
クロウザウラー:「初めて見るマシンですね……」
マッドキャンサー:「もしかしてあれは……?!バッドガイダー様、大変です!あのマシンどもは俺たちを標的にしています!」
バッドガイダー:「何?!今すぐうちおとせーッ!」
レイ:「イカロクラッシャー、ドリルアタック!」
イカロクラッシャーの両腕からドリルが飛び出し、瓦礫を粉砕していく。
レイ:「住民のみんな!逃げろ!」
クロウザウラー:「くそぉ、邪魔しやがって!」
クロウザウラーがビームを撃ってくる。
エリー:「スピンセイバー、回転シールド!」
スピンセイバーが高速回転してビームを弾く。
マリア:「ウインシーザー、ウイングカッター!」
ウインシーザーの翼が飛んでいき、クロウザウラーを切り裂く。
クロウザウラー:「ぎゃーッ!覚えてろコンニャロメ!」
クロウザウラーは煙を上げながら爆発した!
リリス:「ヘルトラッカー......ステルスモード」
ヘルトラッカーが透明になってマッドキャンサーの背後に回る。
リリス:「......サイレントキック」
マッドキャンサー:「びゃああああああっ」
マッドキャンサーも爆発。
バッドガイダー:「よくも邪魔してくれたな!許さんぞ!」
リーネ:「ビッグマーズ、重力フィールド展開!」
ビッグマーズが重力を操り、ヤンキーロボAの動きを封じる。
リーネ:「みなさん!ローリング・フォーメーション!」
5体のバリアブルドールが手を繋いで輪になる。
エリー:「いきますよ〜♪」
5体が回転しながらバッドガイダーに突っ込んだ。
バッドガイダー:「覚えてろー」
大爆発!
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【PM 4:00 惑星ダウト・街の中心部】
住民たちがS.E.T.隊の前に集まってきた。
住民A:「ゴメンよ!君たちのせいで街が壊された!」
住民B:「信用してしまって、本当にありがとな!」
レイ:「お、おう……(意味がわからねぇ……)」
カイン:「俺も一緒に行こう。この星を出て、君たちと旅をしたい」
リーネ:「カインさんも仲間に......?」
カイン:「ああ。幼い頃からS.E.T.隊に憧れていたんだ。君たちなら、第二の地球を見つけられるかもしれない」
エリー:「やったー♪男の人の仲間ができました〜♪」
レイ:「まあ、役に立ちそうだしな」
マリア:「素敵な男が増えるなんて......♪」
リリス:「......賑やかになりそうです」
住民C:「レイさんとイカロクラッシャーの活躍を覚えないために、お札に消させてもらいます!」
レイ:「えっ?お札?消すって……、描かれるの?!」
住民たちが新しいお札を見せる。そこにはレイとイカロクラッシャーが英雄的に描かれていた。
レイ:「うわぁ〜!恥ずかしい〜!」
エリー:「レイちゃん、やりますね〜♪」
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【PM 6:00 サザンカ艦・食堂】
カイン:「改めて、カイン・アベルだ。よろしく頼む」
リーネ:「こちらこそ、よろしくお願いします」
マリアは元気になって、またエリーの寿司を見つめていた。
マリア:「今度は......少し食べてみようかしら......」
エリー:「無理しちゃダメですよ〜」
レイ:「また倒れたら面倒だからな」
リリス:「......今度は病院がある星に行きましょう」
マリアは寿司を恐る恐る口に運んだ。
マリア:「ん……」
バサッ!マリアはその場に倒れてしまった。
5人:「あーっ!」
カイン:「た、大変だ、早く医者を!」
マリア:「倒れてしまうほどの……、美味しさ……♡」
レイ:「てめぇ!人に心配かけやがってーっ!」(マリアの胸ぐらをつかんで)
こうして、S.E.T.隊は新たな仲間カインを迎え、惑星ダウトを後にした。
レイとイカロクラッシャーのお札は今でも惑星ダウトで使われているという......。
頑張れ、S.E.T.隊!
【続く】