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平坦に、重たい愛を

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

きっと恋だとも思ってないと思うんですよ。

これだけクソデカ感情向けながらも。

歪だと思います。

とある日の昼下がり、俺達は二人で喫茶店を訪れ、彼奴は熱い紅茶を、俺は珈琲を飲んでいた。

本当は此奴の前に座る輩は俺ではなかったが、数奇な運命を経て今に至る。この空席に座った事を特段後悔はしていない。願わくば、重ねる毎に忘れ去って欲しいものである。

「悪いね。本当はあの子と来るはずだったけど、付き合わせて」

彼奴は悪びれもせずにそう言うと、僅かに嬉しそうな顔で紅茶を啜った。

「埋め合わせでも構わないから、これからも誘ってくれると嬉しい」

「じゃあ、お言葉に甘えて」


そうして埋め合わせを続けても、話すのは共に出掛けた本屋の事、居座る喫茶店の事、それから……彼奴の想い人の事。決してブレる事の無い会話。だから痺れを切らして問い掛けた。

「お前は、○○のこと、どう思ってるんだ」

「仲の良いお友達。これから先も、私よりも先に死なないで欲しい相手」

此奴はそう言うと静かに紅茶に口を付けた。世間話の一環の様な口振りで、無表情と言うには暖かすぎる顔で、そう、問い掛けた。

果たしてここまでフラットに、日常会話でもする様に、想い人の話を出来るだろうか? もっと激情を込めて、喜怒哀楽激しく話すものでは無いだろうか?

そんな俺の疑問を右端に追いやって、彼奴は今日も何でもない顔で紅茶に口を付ける。

「勿論、君も。私より先に死ぬのは許さない」

口に付けようとした珈琲が当てもなく、空中で止まる。

その口調を、俺はきっと忘れる事が出来ないだろう。なんでもないような平坦な口調で、圧を掛ける訳でもない、優しささえ感じる声音で、静かに宣言したこの言葉を。

そうして実感した。俺が惚れた相手は、何処までも平坦に、人を愛せるのだと。何でもない事のように、重たい感情を向けられるのだと。

「あ、迷惑だったら言ってね? 私は『甘えて良い』と思う相手には、押しが強くなるから。また、君を誘って此処に来てしまうかも知れない。自分でも、頑張って自制はするけどね」

彼奴は『先に死ぬのを許さない』という言葉を決して撤回しなかった。むしろ気にしているのは、『俺と共に此処に訪れる』ことだけだった。

その歪さに、僅かばかりの異質さを覚えながら、これからも愛そうと思う。

普通、恋愛系って恋した子の表情とか、心の動きを見るじゃないですか。

では逆にをしたら、どうなるか。という話。


この子の過去があんまり良いとは言えない。

大事にしてるものほど遠くへ行くし、奪われます。

だからもう、感情の起伏もなくなってしまったのかも知れません。


でもやっぱり辛いので、懐に入れたもの程愛が重い。

絶対に手放したくないし、傍に置いておきたい。

だから『重くないよ』みたいな顔で、激重な言葉を言うんだと思います。


ある意味、友愛も恋愛も同じタイプ。


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