第14話 背番号
コージの試行錯誤は続いている。
「YouTubeでプロの選手を参考にしたり、色々試してるけど難しいよ」
コージは悩んでいたが、なかなか答えが見つからない。師匠のテツヤにも相談しながら打撃フォームを変えてみたりした。この頃、コージは母にビデオ撮影してもらいながら悩む日々だった。
三年生が引退してコージは最上級生になった。チーム編成も変わる。
つまり、レギュラーも白紙になる。コージは外野のレギュラーを狙っていた。特にレフトだ。
練習試合では主にキャプテンのヤマダが務めているポジションだ。
「コージがレギュラーになれたらいいなぁ」
両親も静かに祈っていた。
打撃フォームの迷走は続いていたが、良いカタチも少しずつ見つかってきた。モチベーションも上がっており、ここでレギュラーを取りたいところだ。
ついに、新たな背番号を渡される日が来た。一桁の番号をもらえたらレギュラーだ。
コージは内心ドキドキしていた。
まるで、合格発表を待つ受験生だ。
「だだいまー。背番号7をもらったよ!」
コージの元気な声が玄関に響く。満面の笑顔だ。
背番号7はレフトのレギュラー番号だ。
家族みんな喜んでケーキでお祝いした。
「コージおめでとう!」
「ありがとう、オレ頑張るよ」
ローソクを7本立てたケーキは最高に美味かった。