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プロローグ(0話)
「二度と私の前に現れないで。」
「私の視界から消えて。」
なんとまあひどい。言葉は凶器だということも知らずに、体育館裏で少女の怒声が聞こえてくる。
一方顔を三発殴られていた少年は、すっかり肩をすくめてしまっている。立ち直るのには相当時間がかかりそうだ。
少女は肩を怒らせながら、そそくさと帰っていってしまった。恐らくこのできごとが、彼、船瀬伸吾の、人生の一つのターニングポイントとなったであろう。
1週間後、立ち直った彼はこう決意するのであった。
「世渡り上手になろう」と。