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第二話 ゲームと違うのですが?1


GRWで魔法は最終的に誰もが使えるものだった。


その一つが、スキルの中でも称号スキルと呼ばれるものがあったからだ。

ダンジョンやイベント、高難易度ミッションをクリアするともらえるスキルなので称号スキルと言われているが、扱いは普通のスキルと何ら変わりはない。

このスキルを集め続けているプレイヤーも少なくはなかった。

そんな称号スキルとスキルの違いについて言わせてもらえれば、高燃費という一点に限る。

その効果はピンからキリで、広域殲滅型や蘇生など使えるものもあるが、自分にバットステータスやダメージを与える残念スキルも少なくなかった。


もう一つがスキルブックという使い捨てのアイテムがあり、それで初級魔法を使えるようにするスキルを身に付けるのが定番だった。

初心者はこれで魔法職になったりするのだが、課金して手に入れようとすればそれこそ諭吉さんが二人は消えるほどだった。

それでも初心者魔法職が少なくない数いたのはGRWでのグラフィックや臨場感による人気が高かったからなのだろう。


「どんな魔法の適性があるのかな?」


パパンは私以上に楽しみにしている。

のだが。


「それって」


「これか? スキルブックと言ってな。スキルを手っ取り早く手に入れるのに便利な道具だ」


私が魔法の才能が無かった時の為に用意してくれたのだろう。

火魔法から始まり、水、土、風などの元素魔法に、回復魔法まである。

全て初期魔法が使える程度のスキルブックだが、これを全部そろえるのにどれほどのお金をかけたのだろうか。

本当にこの父は私に激アマである。


「これを集めるのに一ヶ月必要だったのか」


「え?」


「私はこいつと一緒に働いているんだぞ。魔法の教師の件は一月前には聞いていた」


なんだって。


「パパ、なんでもっと早く始めなかったの!?」


こればっかりは許せない。


「でも、もし、お前に魔法の適性が無かったら」


「そうだぞ。こいつはお前の事を思って」


「一ヶ月早く先生に会えていたかもしれないのに!」


「は?」


魔法を使う準備があったのは分かる。

でも、それ以上に先生との時間が一番重要だ。

時間が二人の距離を縮めていたかの知れないのに!


「ごめんよ。パパ、お前の婚期を遅らせていたんだな」


「一ヶ月は、大きいよ」


もし、魔法が使えなくても、先生に慰めてもらえたかもしれないのに!

合法的にあの胸の中で、慰めてもらえる。


「魔法使えなくてもよかったのに!」


「そしたら、帰るからな」


それはダメだ。


「パパ、スキルブックありがとう」


「うちの子天使!」


「勝手に話を進めるからな」


そろそろ、真面目にするか。


「先生の名前を教えてください」


「帰る」


「すみません」


エルフにとって名前とはすごく大切なものである。

それこそ、家族でも親と結婚相手しか知らないほど秘匿されている。

なので、教えてもらえるということは結婚したも同然なのだ。


いつかは名前を聞いてやる。


「ほら、これに手を乗せろ」


そこにあったのは石板だった。

その石板には見覚えがあった。

始まりの町に置かれてあった石板で、これに手を乗せるとその人が持っている魔法スキルに応じて石板が燃えたり、浮いたりするのだ。

これは錬金スキルが解放された時に作ったものなのだ。

私が。


「始まりの町の」


「さすが博識だな。でも、これはそのレプリカだ。かの賢者が作ったものとは比べるのもおこがましいものだ」


「け、けんじゃ?」


「それは知らなかったか。輪廻の賢者、ベンジョバン様の遺物だよ」


いやああああああああああ!

超黒歴史!

しかも、昔のキャラ名まで残ってる。


「し、知らなかったなあ」


「君にも知らないことがあるのだな」


知らなかったよ!

私がこの世界で輪廻の賢者と呼ばれていたことも、名前も残ってたことも!

今日は、もう、エルフ先生の胸の中で眠りたい。


「ほら、魔法適性を測るわよ」


私は先生に言われるがまま石板に触れる。







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