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「ねえ、シェミには子供がいるのでしょ?」


「そうですよ。娘が一人」


「シェミみたいにやさしい子?」


「はい。少しおてんばですが」


親の子供に対する少しは当てにならないからな。

姉さんの子供を預かったことがあるが、事前に「少し元気すぎる子」だと情報を得ていたが、少しなんてものではなかった。

部屋中走り回り、色々なものを壊しながら、最後には転んで泣きじゃくる。

ゲーム用PCを壊されて泣きたいのは私の方だったのに。


「友達になれたらいいなあ」


「そうですね」


速いもので私はどうやら生まれて半年ほどたったらしい。

パパンが昨日そう言ってお菓子をくれたからだ。

ただ、あの日以降パパンは私を持ち上げることはおろか、触れる事すらも禁止されていたのだった。

嬉しい気持ちは分かるが、子供が気を失うほどはダメだろう。


「早く魔物を倒せるようになりたいなあ」


「そういったものは冒険者に任せて、バルトン様はジェドルス家の跡取りとしてしっかり勉強されてください」


シェミは私が危険なことをする事を許可してくれない。

そんなことするなら、立派な貴族になるようにと言われている。

私は一様この家の長男だからな。

家督を引き継がなくてはいけないのだ。


他の異世界転生ものでは貴族の次男や三男、果てには八男に転生するやつもいるようだが、長男よりも自由度が高いのは間違いない。

まだ、生まれて一年経たないのにもうマナーの勉強をさせられている。

さすがに歩行はまだできないので、食事マナーや話し方などを勉強させられている。


ここで気づいたことがある。


「他人に強制させられての勉強程面倒臭いものはない」


「そう言わないでください。先生方もバルトン様に期待されているのですよ」


その期待が重いんだよ。

マナーの勉強のはずなのに途中で社交界の話にずれたり、歴史の勉強に変わったり、つまらない。

逸れるなら魔法の話とか冒険の話にしてくれればいいのに。


「レベル上げしたい」


「また“れべる”ですか?」


ああ、そういえば言い忘れていたが、最悪なことにこの世界にレベルの概念がないのだ。

この世界はGRWの世界じゃないの!?

と、叫びたくなった。

いや、実際に叫んだ。

でも、何も変わらなくて。


「ああ、だるい」


虚脱感が私を包んでいた。

いわゆる鬱という状態だった。


「バ~ルトン! パパが来た、ぞ!!」


いつものようにパパンが私の様子を見に来た。

今日はいつも以上にテンションが高いな。


「おはようございます、お父様」


「うむ、うむ。うん。まだパパじゃ駄目?」


「いえ、先生にこのように会話するようにと教えられましたので」


「でも、でも、でもでも」


腰をくねくねするな、低い声なのにわざと高い声を出そうとするな。

キモイ。

まあ、でも、いい父親だよな。

前世とはおおちが。


「……」


「どうした?」


「いえ、何でもありません。パパ」


「バルト~ン!」


コホンッ


私を抱きかかえようとするパパンを遮るように咳払いが横から。

横を見るとシェミが厳しい視線を向けていた。

シェミの監視がある限りパパンは私に触れることができない。

パパンは諦めて距離をとった。

まあ、仕方ないことだよな。


「そういえば、今日は嬉しそうですね」


「そうだ! 聞いて驚け、なんと魔法の先生が見つかったのだ!!」


「おお!」


ずっとパパンに魔法の勉強をお願いしていたのだ。

私が赤ん坊である事やシェミが良い顔をしないことから、魔法の先生が付くのもっと先、なんなら年単位で先の話だと思っていた。


「一か月後には来るはずだぞ!」



私用で次の更新は明日以降になります。

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