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目の前の出来事に脳が麻痺し、身体が動けずにいた。
だが、普通に考えてそれは酷な話だ。
前世も含めてこんな血みどろな光景はなじめてだった。
華やかであったはずのお茶会に出席した人たちは皆逃げ惑い、悲鳴を上げ、襲撃者から逃げる。
しかし、襲撃者から逃げられず、一人また一人と剣やナイフの餌食になっていく。
最初に刺された男性はもうピクリとも身体を動かさない。
「なんだ坊主、いい服着てるな」
後ろからかけられた声に振り向くと、顔を布で隠した人がそこに立っていた。
その手には剣が握られている。
「俺が有効活用してやるよ」
私は動けぬまま、そいつの振り落とされる剣を目の前にした。
死ぬ。
その現実に、思わず目をつむり悲鳴を上げた時だった。
カン!
「あ、ぐああ」
金属音のすぐに目の前の襲撃者がもだえ苦しむ声が聞こえる。
恐るおそる目を開けると地面に這いつくばり、声にならない悲鳴を上げていた。
よく見ると剣を持っていたはずの右手が肩から無くなっていたのだ。
それも、まるで引きちぎられたかのように。
「だれが?」
カン! ドサッ
また金属音が鳴ると、少し離れた襲撃者の一人が倒れたのだ。
その襲撃者の胸にぽっかりと穴が開いていた。
いまいち状況は理解できていないが、とりあえず時間ができたことはなんとなくわかる。
それなら。
「来い! 【横代 アリス】」
私の前に魔法陣が現れ女の子が召喚される。
黒髪黒目の日本人を彷彿させる特徴だが、その容姿は美しくのっぺりとした日本人の特徴とはかけ離れていた。
彼女の名前は横代 アリス。
実はGRWのキャラではない。
いわゆるコラボキャラなのだ。
「アリス、こいつらを倒してくれ!」
アリスはGRWでは召喚獣扱いで、ほとんど言葉をしゃべることはできず、オートで動き敵を倒し一定のダメージを受けると消える仕様だった。
「は? なんで」
だから、まさか断られると思ってもみなかった。
「えっと、あれ? 召喚獣ですよね」
「召喚獣? 私が獣に見えるの!? 勝手につれてきて、戦えって、あなたなに様!? これは立派な誘拐よ!」
「ごもっともです」
「まず、あなたは子供とはいえ、女の子に戦えってどういう (シュン
アリスの言葉が途切れると、風を切るような音が。
いつの間にか後ろに迫っていた襲撃者の一人を彼女は切ったのだ。
素手で。
「無粋な奴らね。あなたの言葉に従う形になるのが癪だけど、まだ話したいことが多いしとりあえずは処理してあげるわ」
普通若い女性が何人もの襲撃者に囲まれれば、対処はおろか恐怖で動けなくなるのが普通だろう。
それでも彼女は動けた。
戦えた。
そして、殺せたのだ。
「武器が必要ですか?」
「そうね。素手で殺り続けるのも大変だし」
「なにがいい?」
私の声掛けに笑顔を見せる。
「なんでも」
原作では最強の名を欲しいままにした、ラスボス。
それが、【横代 アリス】その人だった。
私は偽物疑惑がある聖帝剣ガランゴルムを彼女に渡す。
それを手にして彼女は言う。
「楽しめそうね」
彼女はガランゴルムを空で切る。
すると、離れたところで武器を構える襲撃者の身体が上と下で分かれたのだった。
生々しい音と共に崩れる。
私はとんでもないものを召喚してしまったのではないかと、後悔し始めていた。
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