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どれくらいたっただろうか。
やっと、まとまった時間を起きれるようになった。
ほぼ寝ているのでよく分からないが、首も据わってきたし生まれて一ヶ月といった所か。
美人の乳母からご飯をもらうのに恥じらいどころか、役得と感じ始めた今日この頃。
やっと転生について考えてみた。
「おしめ取り替えますよ」
「あい」
この乳母はシェミというらしい。
あの日からこの人が私の世話をしてくれている。
ついでにママンは最近は顔を見せに来ないことも多くなった。
少し寂しい。
「それじゃあ、オムツ開けますね」
私はオムツを開けやすいように足を延ばした。
この転生について考えよう。
まずこの世界はあのメールの内容を信じればGRWの世界なのだろう。
そして、世界の在り方もGRMと同じであればとれる方向性は二つで生産職か戦闘職だ。
最終的にはスキル【転生】を使用したいので、レベル百を目指すのは決定事項だ。
なのでレベルを上げやすい戦闘職になるのがベストだろう。
「前を拭きますね」
オフッ
だが、GRWと同じであれば努力度を上げてからレベルを上げるのが効率がいい。
努力度というのは何をしていたかで上がる数値で、筋トレをすれば筋力が、勉強をすれば知力が上がる値で、これを上げているかどうかでステータスに加算される割合が変わってくるのだ。
GRWでは職業というシステムはステータスに影響がないので、戦闘スタイルは見た目で判断しなくてはいけない。
だがそこを突いて闘技場などでは魔法使いの装備なのに戦い方が拳闘士や、剣士装備なのに魔法使いといった騙しあいもあったくらいだ。
「後ろ拭きますよ」
横向いてやろう。
オッフ
そうなると全員が努力値振りを完璧に行うと思うだろうが、実際はそうではなかった。
七つあるステータスに全てに努力度振りをしていると時間がかかりすぎてしまうのだ。
それに、GRWは知覚も感じる仕様なので努力度振りをしている間に二疲れてしまったのだ。
なので、努力度振りを最初の数レベルは行うが途中でどこか一つ、または二つの努力値振りを捨てしまうのが現実だった。
「はい、綺麗になりましたよ」
「あい」
だが、私は百十九回の転生で最初の数回以外は全て努力度を完璧に振ってきたのだ。
最初の二回は努力度というものを知らなかったので、振れなかった。
あの頃に戻れるなら絶対に振るのに。
まあ、過ぎたものは戻せないので諦めるが。
そういう訳で、私のステータスはどちらかといえば魔法使いなのだ。
「それじゃあ、ハイハイの練習しましょうね」
「あーい」
さあ、筋トレの時間だ!
私の華麗なハイハイを見せてやろうではないか!
「あい、あい、あい」
首が据わったばかりでハイハイは本来は無理であろう。
だが、この成長速度は速いように感じる。
きっと【成長促進】のスキルがあると思う。
【鑑定】のスキルが無いので確信はないが、きっとある、はず。
【成長促進】は努力度を振りやすくなるスキルなのだ。
まあ、持っていなくても手に入れる手段はあるので、今はないことを前提に育成していくべきだろう。
「はい、そろそろ終わりにしましょう」
「あ、あう、あうんむ」
もうちょっと筋トレを!
だが、私の希望とは裏腹にベッドに戻されてしまうのだった。
チクショウ、このままでは魔法職よりになってしまう。
ステータスの魔力、精神力、知力の上げ方は簡単だ。
魔力は体内の魔力を操作し体中に巡らせてればいい。
精神力は昔見たグロ映画や、ホラーを思い出せばいい。
知力は素数や円周率、虚数を計算する、または今のように思い拭ければいい。
ようはベッドの上でもできるのだ。
でもできる事を今はやるしかない。
この時の私はそう思っているのだった。
大事なことを忘れて。
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