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「……」
私を見た執事が一瞬言葉を失っていた。
「あの」
「! す、すみません。招待状を」
我に返った執事に私は招待状を渡す。
「バードネル バルトン様ですね。お待ちしておりました」
時間の進みとはあっという間で、私はお茶会に来ていた。
色々と準備をしてきたが。
「ちょっと派手過ぎたか?」
パパンが私のためにと一張羅をこしらえてくれたのだが、少し派手過ぎではないだろうか?
新しく服を作ってくれるというので、スーツのような服を頼んだのだ。
チャコール色なのは前世でみた映画で渋い俳優がスーツを着ていて、いつかは私も一度はこんなかっこいいスーツを着てみたいと夢見ていたからなのだ。
だが、そのせいでこの服に散りばめられた装飾がより目立ってしまっている。
それにこれは、スーツというより軍服に近いような気がする。
これでそれっぽい帽子やマントを羽織ったら完全にレイヤーさんだ。
私はあくまで見る専だから、自分でするのはちょっと。
「さて、まずは」
このお茶会の中心人物を見つける。
話に一区切りついたところで、前に出る。
家格的には私の家の方が上ではあるが、爵位騎士の子息では彼女より立場は低いので彼女から声をかけてもらわないといけない。
「えっと、あなたは?」
無視されずに済んで、胸を下ろす。
「お初にお目にかかります。バードネル バルトンです。本日はお招きいただきありがとうございます」
「……」
リジ―夫人は私を見たまま何も言葉を発さない。
何かやらかしてしまっただろうか?
お辞儀の方法も、お茶会のルールも問題なかったはずだが。
よく見ると、他のご婦人たちも同じように言葉を失っている。
「あの」
「え、ああ。バードネル、爵位騎士の?」
伯爵ではなく、爵位騎士で名前を憶えられているのか。
仕方ないか。
「はい。リジ―夫人にお知りいただき光栄です」
「なるほど。確かに招待状を送りましたが、今まで来られたことは一度も無かったので気づかなかったわ」
「父も多忙な身であり、爵位騎士でもあるので」
「そういえば、あなたに半分は貴族の血が入っていたのね」
「まだまだ未熟な身ではありますが、これからも精進していく所存です。皆様のご指導ご鞭撻を受け賜わりたく思います」
「そう。それでこのお茶会にはどのような用向きで」
「ただ、皆さまとのご縁を受け賜わりたく」
本当は冒険者ギルドへの引き抜きなのだが、そんな事を口が裂けても言えるわけもなく。
差し障りのない返答をする。
のだが。
「年は?」
「今日で五歳になります」
「そうなのね!」
何故か嬉しそうに笑顔を向ける夫人。
もうそろそろこの会に来ている子息たちに話をしに行きたいのだが。
「娘が貴方と同じ五歳になるの。来月の十五日よ。開いてるかしら?」
「リジ―夫人、待ってください。私の娘はもう六歳ですわ。良かったら会うだけでも」
「ちょっと、こんな子供に寄ってたかってじゃ困惑してしまうわ。そういえば、今度夫が軍の皆様を呼んで会食が」
「娘がいないからって派閥内に引き入れようとするのはどうかと思いますわ」
なぜ、ご婦人達は喧嘩を始めてしまったのだろう。
意味が分からない。
それよりも、今回の本来の目的を。
「バルトン様、でよろしいですか?」
女の子が私にすり寄ってくる。
私と同じくらいの年だろうか。
「え? はい、そうですが」
「すごいお召し物ですね。よく似合っております」
あ、なるほど。
この服が原因か。
見るからにお金かかってるものね。
聞いた話だと、この服の生地はモンスターの素材が使われていて下手な家中よりも防御力があり、装飾一つ一つが魔道具で魔法抵抗や俊敏を上げたりする効果があるらしい。
これ一着に掛かったお金でそこそこのお城が建てられちゃうとか。
つまりはお金目的なんだな。
私の母様の事もあったし気を付けないとな。
「ありがとうございます。でも、少し用事がありまして」
「そうですか、残念です」
「ご婦人方も、色々とご縁を作っていただくのは嬉しいのですが、まだ五歳ですので勝手に予定を組むことはできません。今回と同じように招待状を送っていただければ、父や先生と話し合って参加を決めたいと思います」
「そうね。私たちもことを急いてしまったようですね」
「ご理解いただきありがとうございます」
私が一歩後ろに下がると婦人たちはまた話を再開するのだった。
これでやっと、本来の目的に移れる!
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