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「レイミは大丈夫かな?」
「大丈夫でしょ」
フェリアは冷たく吐き捨てた。
レイミや他の侍女たちにもフェリアは冷たい反応が多い。
こういった事も彼女たちに嫌厭される理由になっているだろう。
生活を支えてくれているのは彼女たちなのに。
「もう少しやさしく接してあげたらどう?」
「これでも十分にやさしくしてるつもりよ」
「そうかな?」
「そうよ」
そうなのかもしれない。
聞いた話だと令嬢の中には使用人をイジメる子も少なくないとか。
どこの悪役令嬢だよ、とも思ったが前世の中世においても階級社会はかなり厳しかった覚えがある。
この世界でもそれに似たものがあるのかもしれないな。
でも、侍女たちも人間だ。
仕事をするのに働きやすい環境は必要だ。
それを形成する要因の一つに人間関係は外せないだろう。
それに、フェリアが悪く言われるのは嫌だな。
「遅れてすまない!」
父様が急いで食堂に入ってきた。
その髪はボサボサで髭も伸び、目の下にはクマができている。
今日も徹夜されたのだろう。
「お疲れ様です」
「バルトン、おはよう。今日も元気か?」
「はい。お父様は、もっと休まれた方が」
「そうしたいのだが、なかなか」
冒険者ギルドは、成功はしているようだ。
ようは斡旋所だからな。
依頼を貰い、冒険者に仕事を紹介して、その間に発生する紹介料を貰って利益を上げる。
前世ではよくあるシステムだったが、この世界ではあまりないようだ。
本来貴族たちはお抱えの騎士を使って荒事を解決するようだが、その中には危険度の高い物や時間がかかるものもある。
そういう時に冒険者ギルドを使うのだそうだ。
元々職業斡旋所はあったそうだが、荒くれ者をまとめれるところは少なかったらしい。
あったとしても高い仲介料を取られるせいであまりよくは思われてなかったんだとか。
それが、今では荒くれ者をまとめる冒険者ギルドがある為、治安もそこそこよくなり、多くの場所にあるから危険な仕事を頼みやすくなり、仲介料も少ないから依頼側も紹介側も特になった。
そして、父様に気が遠くなるほどの仕事が入ってくるようになったのだった。
「職員は育っていないのですか?」
「育ててはいるが、読み書きだけで精一杯だし、そこまで育つとできる仕事も増えるから」
「それ以上の勉強までできるほど時間が無いと」
本当なら継承権のない貴族の子息子女を雇えればいいのだが、貴族たちは冒険者ギルドは危険な場所だと思われている。
確かに荒くれ者を雇っているのでそういう面のあるが、ギルド職員の中には歴戦も猛者もいるので安全面は一定以上は守られている。
週休三日で給料もそこそこ高い。
年二回の特別手当もある。
仕事内容は事務仕事だ。
前世だったら人気職業に入ってもおかしくないだろう。
もっと、いい面を紹介できれば。
「もっとお茶会に行くべきか」
父様は爵位騎士なのでお茶会の招待状は来ない。
だが、どういう訳か多くはないが私には招待状が来るのだ。
一、二回出席したことはあるが、まるで見世物パンダのように遠目で見てくるだけで話はほとんどできなかった。
一様伯爵位なのにね。
「気にしなくていいんだ。パパが頑張るから」
「父様、人間できる事には限界があります。ボクも頑張りますから」
「バルトン」
そういえば、男爵家からいくつか紹介状が来ていたな。
「そろそろお披露目もありますし、横のつながりも必要でしょう。必要な事です」
「そうか」
父様が悲しそうな顔をする。
そんな顔をしないで欲しい。
大事な家族の為に何かしたいというのは私のわがままなのだから。
「パパ頑張るからな!」
「だから、頑張らないでください!」
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