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3


「バルトンはエルフの事を好きだというが、どれくらい好きなんだ?」


怒られると思っていたが、全く考えていなかった質問をされて言葉を失う。

どれくらい好き、か。

はっきり言うと分からない。


前世はアラフォーであったが、彼女いない歴イコール年齢で、童貞だった。

なんなら学生時代男子校に通っていた私は女性との話し方も分からず、社会に出ても一緒に働く女性とは仕事の話しかできず。

ビビりだったので風俗のようなところには行けず。

婚活アプリも使ってはみたが、うまくいかずにお金だけかかってやめた。

そんな私に、どれくらい好き、だと?


「えっと、最初は綺麗だなって。でも、話してみて自分に自信が無かったりするところがもったいなって思ったり。面倒見がいい所ややさしいところもいいなって。でも、訓練がきついのは玉に瑕ですが」


「そうか」


「はい」


超はずかしい。

実の父に恋愛話がここまで恥ずかしいとは。

ヤバい。


顔があつくなるのが分かる。

きっと赤くなっているだろう。

目も髪も赤いらしいから、頭全部赤いのでは?

もう、トマトやリンゴレベルで赤いだろう。

もう、戦隊でレッドを任されてもいいのではないだろうか?


「バルトン」


「は、はい」


「パパとママはな。それが無かったんだ」


それ?

それって、なに?


「一言では説明できないから、一つずつ話すな」


「はい」


「なんでパパが爵位騎士になったか分かるか?」


爵位騎士になる。

その理由の多くが名前を売る為、なので商人が自分の名前を売ったり、平民が貴族の女性と結婚するために爵位を買う事が多いのだ。

前者では名前さえ売れればいいので、大きな町である程度名前が売れれば次の代には継承しないのが普通だ。

それに父様は商人じゃない。

後者であれば今の状況のようにはならないだろう。


「分かりません」


「そうだな。パパのように爵位騎士を買うのは少人数だろう。実は冒険者ギルドを作る際、ギルド長になるのに箔を付けようと思って買ったのだ」


冒険者ギルド、というと冒険者をまとめる場所で、その長がパパン。


だからエルフ先生みたいな冒険者を知っていたのか。

それに今日のサーカスと言って連れてきた人達は皆荒くれ者のような人が多かった。

きっと、冒険者ギルドから引っ張ってきたのだろう。


色々と疑問に思っていたことのピースがはまっていく。


「まあ、冒険者ギルドを作ろうと思ったのは、後継を鍛えていくのに帰る場所やレベルにあったクエストを割り振るのに都合が良かったからだし、冒険者として成功してお金が余ってたから爵位騎士になったんだ」


「母様とは?」


「爵位騎士になって、ギルドも作った。順風満帆に時が過ぎていく中で余裕が出てきた時に、貴族様絡み合いの話が来たんだ」


爵位騎士は昔から続く貴族に嫌われているはず。

普通は見合い話なんて。


「あ」


「気づいたか。そう、ママの家は没落寸前だったんだ。後から聞いた話だと災害が続いて領地はがたがた、その年の決められた税金の半分も徴収できないほどだったんだ」


話が見えてきたぞ。


「結納金を税や領地の復興に充てたんですね」


「そういう事だ」


つまり、母様は売られてパパンの所に来たのか。

それじゃあ、純貴族の母様がこの家を嫌うのは仕方ない事か。


「本当は一年パパの所で我慢して結婚生活を送り、適当な理由をでっちあげて離婚。それが彼女の計画だったようだ」


あれ?

そんな計画があるなら、どうして私が。


「勘違いしていたんだ。パパはなママが好きだったし、ママも好きだと思い込んでいたんだ。だから、そろそろ子供が欲しいと話してバルトンが生まれたんだ」


「え?」


それって。


「言い方が悪かった。パパはバルトンが生まれてきてくれてうれしい。何の後悔も無い!」


でも、母様はそうではなかった。

そうか。

最初の内何度も私を見に来たのはせっかく生んだ後継者が死なないか心配だったから。

死んだらもう一度産まないといけないから。


「パパはバルトンを愛してる。世界で一番!」


「うん」


母様はたくさんお金を払ってくれた父様の為に義務として、産んだのか。

それでは、私に何の感情もわかないわけだ。


「母様と離婚しないの?」


「それは、その。バルトンが五歳になるまで、いて欲しいと」


きっと、父様は私の為に思ってそう決めたのかもしれない。

でも、前世の経験から妥協や義務での家族は痛々しく寒々とするのは知っている。

父様も母様もそうなって欲しくない。


「僕のためを思うなら離婚して」


「え?」


「だって、父様も母様も幸せになって欲しいから」


父様は泣きながら私を抱きしめてくれた。

色々思う所はあるが、こんなにもこの人は私を愛してくれている。


「ありがとう、パパ」


「ありがとう、バルトン」


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