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目を覚ますと、知らないベットの中だった。
身体を動かそうと思うが、右手が動かない。
もしかして、【二ヴルヘイム】で!?
「ぐ、ぐおお、ぐ」
パパンが私の手を握って寝ていただけであった。
他も大丈夫そうだが、右手が少し痛い。
「起きたか」
「先生」
部屋の隅で先生は私を見てくれていたようだ。
「魔力枯渇でしょうか?」
GRWでもプレイヤーが自身の魔力以上に魔法を使い続けて枯渇し三分以上いると画面が暗転し、教会に飛ばされる仕様になっていた。
それに、称号スキルの使用だ。
今のレベル一ではどうやっても足りない。
ゲームでは教会で蘇生ができていたが、この世界には蘇生魔法は無いようだ。
もし、屋外でこの魔法を使っていたらさらに魔力を使用し続け、最悪死に至っていたかもしれない。
「それに、凍傷だな。魔力はエリクサーで、凍傷もポーションで回復したが、身体の疲労があったのだろう。三日も寝ていたのだぞ」
「そうでしたか」
パパンも仕事があるだろうに、帰ってきてはずっと私を見てくれていたのかな?
「こいつなんか仕事を放ってずっとお前の側にいたからな」
「そう、でしたか」
仕事は行かないとだめですよ。
でも、父様がずっと私の手を握ってくれていたのは分かる。
温かいから。
「あの魔法、【二ヴルヘイム】と言ったか。あれはどんな魔法なのだ?」
「あれは、範囲型の魔法で氷点下の冷気を出し、周囲の物を凍らせる魔法です」
GRWでは敵味方はおろか、フィールド事態もを氷漬けにする魔法だった。
フィールドを氷漬けに出来るのも三分間だけだったし、敵も凍らせて動きを止められるが魔法耐性が高い相手にはダメージも氷漬け時間も短かった。
そのくせ、百レベルの魔力でも一割は持っていかれるほど消費が激しく使い勝手が悪い魔法なのだ。
「そのスキルは聞いたことが無いな」
「私もよく分からないです」
「そうか」
【二ヴルヘイム】は巨人の王というボス討伐で手に入るスキルだ。
つまり、称号スキルなのだが、なぜ継承されている?
今までのGRWでは称号スキルの継承は一度も無かった。
「とりあえず、魔力制御を身に付けないとな」
「ま、魔力制御ですか?」
「そうだ」
魔力制御なんてGRWでは聞いたことが無い。
スキルかなにかか?
「どうやって、手に入れるのですか?」
「どうやってって、そりゃ練習あるのみだ。あの魔法はスゴイが範囲を指定し、自身の魔力の範囲で使用しなければ、また魔力枯渇で今度こそ死ぬぞ」
GRWと違う。
魔法は一つひとつに発動範囲が決まっているのではないのか?
必要魔力が決まっているのではないのか?
分からない。
でも。
「まだまだ、勉強しないとな」
私は先生の顔を見る。
その顔は不敵な笑みを浮かべていた。
「みっちり、しごいてやるからな」
「お手柔らかに」
「そんな弱気でいいのか? 少なくとも私は私より弱い男を夫にしてやらないからな」
そう言われたら頑張るしかないな。
でも、今は。
まだ体に疲れが残っているようだ。
私は眠気に身をまかせ、意識を手放したのだった。
―――――――
「お前の息子は化け物だな」
「そう言うな」
「聞いていたと思うが、指導方針が決まった。だが、あの魔法は常軌を逸している。あれを見ただろ」
「お前の炎魔法を凍らせていたな」
「火が凍るなんて聞いたことが無い。お前の盾が無ければ全員死んでいた」
「とんでもないものを持って生まれてしまったのだな」
「母親は普通の貴族だったか?」
「そうだが」
「息子がこんな事になっても、姿一つ見せないのもどうかと思うが普通の母体であったはず。なら」
「俺の【神々のサイコロ】のせいだろうな」
「何を願った?」
「健やかに、強く育って欲しい」
「なら、この状況はお前のせいだな」
「でも、人の親なら、誰もが思う事ではないか?」
「子供がいないから分からん」
「なに、この子の子供を産むことになるからすぐに分かるさ」
「願うなよ」
「分かってる」
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