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ドイツ帝國に生きる  作者: 幽々夢 妖帝歌
プロローグ
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プロローグ

『戦争からきらめきと魔術的な美がついに奪い取られてしまった。アレキサンダーやシーザー、ナポレオンが兵士と 共に危険を分かち合い、馬で戦場を駆け巡り、帝国の運命を決する。そんなことはもうなくなった。これからの英雄 は、安全で静かで物憂い事務室にいて、書記官達に取り囲まれて座る。一方、何千という兵士達が電話一本で機械の 力によって殺され、息の根を止められる。これから先に起こる戦争は、女性や子供、一般市民全体を殺すことになる だろう。やがてそれぞれの国には、大規模で限界のない、一度発動されたら制御不可能となるような破壊のためのシ ステムを生み出すことになる。』


              ウィンストン・チャーチル(1874-1965)

ドオオオン!!! ズドオオオン!!!!


激しい砲声が荒廃した大地に響き渡る……。


パン!!!   パパパパッ!!!!!!!  ズドン!!!!!


続いて、小銃、機関銃、スナイパー銃。ありとあらゆる武器の声が聞こえてくる。

荒れ果てた大地に降り注ぐ太陽の光。それは希望の光のようにも、兵士たちの肉体から生気を吸い取らんとする悪魔の手のようにも感じられる。


「なあ、本当に今日で戦争が終わるんだろうな?」


「ああ、間違いないぜ。軍全体でその話は広まっているわけだし」


近くにいた兵士がそんな会話をしている。

残り5分……。


「俺たちも砲弾、使い切ろうぜ! 持ち帰るのは面倒だ!」


「賛成〜」


呑気な会話をするものだとラインハルトは思った。


(なあ、マンフレート……。ようやく終わるよ……)


ラインハルトは塹壕の中で静かに天を仰いだ。


「お前たち!! 時間だ!! 終わったぞお!!」


上官の声が響き渡ると兵士たちはお互いの生存に歓喜し、抱きしめ合った。

ラインハルトは頬に温かいものを感じつつも目を閉じたまま、上を向いていた。ほんの少しの余韻を味わった彼は、拳をぎゅっと握りしめ決意に満ちた眼差しで涙を拭った。


1918年11月11日11時02分、ラインハルト・シュライザーは塹壕を出たーーー。

読んでくださりありがとうございます。次の作品が投稿され次第、ぜひ読んでいってください。

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