表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

第四話 天の踊りと地の踊り

  御師さまとあたしが身元引受人となり、アヌーシュカは解放されることとなった。

が、自由になっても他に行くところもなし。相変わらず西の塔で寝起きしていた。

 彼女と一緒に、あたしも稽古を再開した。酔客の前で踊っていた、タワーイフの踊りだけれども。



 御師さまは週に一度、アヌーシュカの稽古のために城に来られる。

 ある日、あたしは勇気をふりしぼって頼んでみた。

「一度、あたしの踊りをみていただけませんか?」

「ああ、いいよ。やってみなさい」

快く、応じてくださった。



 ひととおり見たうえで、御師さまがおっしゃるには

「そなたの踊りは『地の踊り』だね。自己流が固まっているけども、軸が決まっているし、身体も柔らかいから、直せば治ると思う。また一から修業することになるけど、どうする? やってみるかね」



 「えっ、本当ですか! ぜひお願いします。授業料はなんとしても工面します」

「ワシは弟子からお金は取らないよ。そのかわり気にいった者にしか教えない主義でね。あと、稽古は厳しいから」

「わかります。よろしくお願いします」



 ここで、アヌーシュカが口をはさんできた。

「御師さま、私もジータライさんの『地の踊り』を踊ってみたいです!」



 はあ?! この子は何を言い出すやら、と思ったら、御師さままでがとんでもないことを言いはじめた。

「あのなあ、ああいう踊りはなあ。乳がどーんとあって、腰がきゅっとくびれてて、お尻もぐっとあがっているような、ふるいつきたくなるような体型じゃないとダメなんだよ。まあなんだ、お前なんざあ、百年早いね!」

「御師さまひどい! そこまでいうことないじゃありませんか?!」





 わあわあ楽しそうに言いあっている。これが二人の本性かな。仲間に入れてもらえた、ということかしら。

「あたしだって、アヌーシュカさんの踊り、やれるものならやってみたいですわ。でも、さっきの話からすると、あたしの今の体ではあの踊りはできないということですか?」

「そうだね、相当しぼらないと、筋を傷めるだろうね。でも、そなたが身体をしぼると、悲しむ男が大勢いるんじゃないかな?」

「まあ、そんなのいませんわ?!」

笑っていると、またもアヌーシュカが口をつっこんできた。



 「御師さま、ジータさんはおサルっぽい顔の男の人とつきあってま〜す! 城内で噂になってま〜す!」

この子は、結構いらないことを言うのね、と思っていると、御師さまが

「いや、冗談ではなく。今後の方針もあるから、決まった人がいるなら教えておいてほしいんだが」

とおっしゃる。

 


 「その人とは、ちょっとつきあってみているだけで。そのうち別れる予定なんです」

と答えると、

「そなたのようないい女を、男がそう簡単に手放すとは思えんがな。まあ、よく話し合ってみなさい。長いつきあいになるんだから、お互い隠し事はなしで頼むよ」

言い残して、御師さまは帰って行った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ