人工知能さんはヤバかった。
野生の露出狂が現れるだなんて……異世界は謎に満ちているな。
『……マスター、何をしているのです?早くその場から逃げてください。危険と言っているでしょう?』
「人工知能さん、そんなことはわかってる……露出狂なんて、頭がおかしいからな。警察さんに頼るべきだと思うんだが、異世界の警察さんってどこにいるの?」
『随分と余裕そうですね、マスター。私はアレが露出狂だから危険だなんて言ってませんよ。というか、見てわかるでしょう?』
その通りだ。完全に俺はボケていただけだが、まさか乗ってくるとはな……やっぱ人工知能さんはすげーぜ。
「て言っても逃げ切れる気がしないよ人工知能さん。どうすればいいんですか?」
『……マスターはチートを貰っているのでは?その場から逃げるくらい造作もないはずなのですが。』
「人工知能さん、俺ステータスは全部10だし、戦闘スキルはないんだ……」
『……驚きましたね。わかりました。私がなんとかします。ただ今後マスターを特訓する予定なので心構えだけでもしておいてください。』
「なんとかしてくれるのかありがと……え、特訓って何?心構えが必要になるの!?」
文句を呈したのだが、どうやらもう聞いていないようだ。酷くね?
こんなにだべっていてもいまだ露出狂さんは動かない……警戒いるのか?とか思い出した辺りでついに言葉を発した。
「見ツ、ケタ……“逃亡者”、殺ス。」
逃亡者?逃げた人?心当たりあるな……でも俺のは誰にも迷惑かけてないはずなんですけどねぇ……
……まぁ、さすがにあの美少女さんを指している、ってことくらいわかってるけどさ。
「名前を聞けませんでしたが……助けて頂いたことに感謝を。そして、ここにいると貴方も危険です。逃げてください。私がなんとか食い止めます。」
そう言われたが、どう考えても今の美少女さんじゃアレには勝てそうにない。「倒します」じゃなくて「食い止めます」、本人も死ぬ前提だ。あと感謝を表すから敬語なのだろうか?
ずん、と物凄いプレッシャーがかかってきた。見ると露出狂は黒いオーラを収束させていて、美少女さんは銀色の魔法陣を展開している。ふぁんたじ~……じゃなくて。
え、巻き込まれて死ぬ予感が……と思ったとき、俺のアイテム袋から何かが飛び出した。
それもまた、美少女だった……え?あんなの知らないんですが。
漆黒の黒髪に、赤い瞳。ほぼ全てがパーフェクツな美少女だが、1つ残念な点を挙げるとすれば、冷たさすら感じる無表情さだろう。それすらも魅力となってはいるが……
「こんな時にお披露目だとは思ってませんでしたよ。」
美少女さんは言う。ん?どこか聞き覚えが……
「さっさと逃げて状況確認しますよ──マスター。」
「……え、人工知能さん?」
「そうですよ。」
それだけ言うと、何か……手に持っていた謎のキューブを光らせた。
するとあら不思議、攻撃を放とうとしていた露出狂と美少女さんの攻撃がキャンセルされました……え強ぉ。
そして人工知能さんの第二撃、どこからかライフル?のような物を取り出して露出狂の方に撃ったー!実弾じゃないようだけどなにあれ。
「うおっ!?」
それらに目を奪われていると、俺は人工知能さん(美少女体)の肩に担がれた。……なんだろう、謎の敗北感が。逆の肩には美少女さんが乗ってた。
「しっかりつかまってくださいね。」
そして超スピードでその場を離れた……酔った。おえぇ……