ちょ、家ぇ……?
俺は不機嫌だった。理由?言うまでもない。なんか爽やかなポーションあげて治療して、家の中に招き入れてあげたというのに……現在地がわからないから近くの町もわからないという、今どき位置情報サービスすらないこの残念な冒険者達について、だ。
「それで?どうするつもりなんだ?現在地がわからないから近くの町とか知らないんだろ?」
「いやだから、とりあえず歩き回ってまず町を……」
「却下だ。目的地もなく砂漠歩いたら俺は絶対に死ぬからな。」
するとクルトとリエルがまたしてもコソコソと話してる。コソコソ好きだなお前ら。
「どうする?使えないからとか言われてフルポーションの金とか要求されたら僕ら永遠に借金を負うよ?」
「落ち着きましょうクルト。もしそうなったら、いざとなったら武力行使でこの家を──」
そこまでリエルが言ったところで、冒険者達が皆消えた?
……え?消えたよ?なにがあったの?
そう思っていると、突如としてある部屋に行かなくてはならない。そう思った。
よくわからないまま進み、たどり着いた部屋。そこは行ったことのない二階のある部屋だった。
……そういえば1階でいろいろと見つけたせいで、2階以降はろくな探索してなかったな。明日からでもやらないと。今日はやらない。日本には「明日から頑張る」という名言がある以上、日本人らしい生き方をするなら今日探索するのは間違いだろう。決して面倒くさいからではない。そう、決して……
で、この部屋は何?と思って入ると、そこは……
なんかあの……えっと……宇宙戦艦とかそんな感じのやつの管理室的なところだった。外の様子も見ることができ、そこには何が起きたのかわからず呆然とする冒険者達が。
で、たくさんボタンあるけど何したらいいの?
するとAIさんの声が。電子音声を異世界で聞けるとは……
『初めまして。マスター。この部屋は主に外界に対する警備を稼働させたり、どの部屋がどんなものかの説明などを聞ける、この家の管理室です。私はこの管理室で現在起動致しました人工知能です。末永くよろしくお願い致します。』
「これはご丁寧に?私めはこの家の主……でいいの?とりあえずこの家に住んでる八雲悠希です。」
『えぇ、存じておりますよ。創造主より既にマスター登録がなされていますので。』
「創造主……女神?重量の?」
『そうですね。』
ちなみに俺らがこのやりとりをしてる間、冒険者達は先程と一切変わらぬ姿勢で呆然としている冒険者達が……
「え、なんでアイツらずっと止まってるんだ?」
『?あぁ、あの愚か者達ですか。この家を、そしてマスターを害そうとしたので、家の外に排出して麻酔で動きを止めてるだけですよ。』
「麻酔で動きを止めてるだけ……だけ?」
『えぇ。どうせならマスター。あの愚か者達にはマスター自ら手を下してみては?警備システムの理解にも役立ちますよ。』
「つぅか……悪意あるやつは近寄れないんじゃ……」
『中に入ってから悪意を持たれては、さすがにどうしようもないですよ。』
「一理あるな。」
『さ、マスター。殺ってみましょう?』
「いやさすがに殺りはしねぇよ。つぅかそのルビふるのやめろ?」
『……何故です?奴らはマスターに敵意を持ったんですよ?それだけで死ぬ理由にはなると思いますが。』
「死ぬ理由が軽すぎるわ。まだ使えるかもしれないんだから、生かしておいた方がいいだろ。恩も売れるしな。」
『そうですか。』
ご理解頂けたようだ。やっぱり日本からいきなり来て、すぐに人を殺すことにためらいを覚えるのは普通に気持ちわかるな……
『マシンガンで蜂の巣にしてやろうかと思っていましたのに』
「おい待てなんて言った?」
『何か不思議な事でも?』
「なんでこの家は現代兵器の、マシンガンなんて物があるんだ?」
『それだけではなく、ミサイルにロケラン、果ては核までありますが。』
「なんだそのラインナップは!」
『創造主が、「異世界は危険だからね~、現代兵器ぐらいあっていいでしょ~」と。』
「あっていいでしょ~じゃねぇよ!」
何故かツッコミ役を担わされてる……不思議だ……とりあえず、冒険者は呆然とした状態のまま家にまた入れておいた。
そして例の爽やか~なフルポーションとやらを……水で薄めて飲ませた。自分の分が減る可能性を危惧したからとかじゃない。シンプルにもったいないなと思っただけだよ?ほんとだよ?
ちなみに、せめてこれくらいはと椅子に括りつけている。これまた現代的な拘束具で、猛獣にも壊せないらしい。オーバーだろこれ。
すると冒険者達がついに元に戻った。
「なんだこの拘束具は……こちらが悪いことは理解してるが、あまりにも強力すぎないか?」
「そっちが悪いと理解してるなら、甘んじて受け入れてくれ。」
そういうとため息を一つついた。どうやら受け入れるようだ。
「さて、俺がお前らを生かしてるのは、道案内のためだ。」
「さっきも聞いたな……だから、現在地がわからないことには」
「現在地ならわかる。」
そう言って地図を投げた。この世界の地図だ。
「赤いマークをしてあるところが、現在地だ。」
ちなみにこの地図は人工知能さんに貰った。さらに言えば、人工知能さんなら細かい案内も可能とのこと。それをしなかったのは、もしその町周辺に生きる場合、つなぎがあった方がいいからだ。
「こんな凄ぇ地図があんのかよ……これがあるならお前さん一人で十分じゃねぇか?」
「こっちにも目的があってやってることだ。……引き受けてくれるよな?」
「あぁ、やらせてくれ。」
取引成立だ。ありがたいな。平和的解決だった。