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第15話 独白
かのえはイレスに疲れたからと言って、
部屋に一人になると、
ほっと一息ついた。
会って数時間もしていないが、
イレスが賢くそして優しいことは十分に分かる。
だが、他人とずっと一緒にいるのは、
かのえはあまり慣れない。
あまり他人と触れ合う機会がなかった
かのえには疲れるものであり、
またとても新鮮なものだった。
まさか、こうして異世界にわたってくるなんて。
かのえは驚きを隠せない。
しかも”女神”としてだなんて。
忌み嫌われし己が
人に崇拝されるものとして出現するなんて。
ありえない。
かのえはベットの上に座りこむと
自分で自分の身体を抱きしめた。
知っている人もだれもいない、
たった一人。
今までだって、たった一人だったけれど、
周りには自分の馴染んだものや風景にあふれていて、
少しは慰められた。
しかしここには自分の体以外
自分の見知っているものはなにもない。
たった一人。
もう慣れ切ったはずの孤独感に、
かのえはひっそりと涙した。