driveつづき~家に帰るまでが遠足です
drive続きです。
その後、目的地の寺院へと辿り着く。
俺は、寺院で、幽霊よ、成仏してくれと、時間をかけて念入りに拝んだ。
拝みすぎて、ヤヒコに首根っこを引っ張られた。
帰りの車中。
「今日は楽しかったわね。」
イトが言う。
「うん、猿に群がられる宮若君も見られたし。ブッフ。」
古賀が口にハンカチを押し当てて大笑いを防ぐ。
「おい、それを言うなよ~。」
俺が不満を言うと、
「お前が考え無しだから悪い。」
と、ヤヒコが苦言を呈する。
「はいそうですね。でも、猿に襲われるのは想定外でしょうよ。」
俺は不貞腐れて返事をし、ブツブツと小声で文句を垂れる。
ヤヒコさんは、俺の行動も考えも総てまるっとお見通しというわけですよ。
気に食わん。
その後、イトのアシストにより話が切り替わり、和気あいあいといい雰囲気で終わりを迎えようとしていた。
「本当、楽しかったし、冬の山に来るのもイイかもしてないわね。凍った滝とかも見てみたいわ。」
「あ、それなら、俺、スキーー」
俺がその言葉を言った瞬間に、ヤヒコが叫ぶ。
「ミヤァアアー!!」
叫び声と共に、ボンッという大きな音が後方からした。
車がグラッと横揺れしたかと思ったら勢いよく回転した。
ちなみにここは高速を降りてすぐの道。
一番近いイトの家へと向かう途中の道幅の広い道路で、少しばかりスピードがでていた。
こ、これは、ヤバイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
究極に俺は焦ったというか、俺よりも運転手のヤヒコの方が焦ったはずだ。
しかし、ヤヒコは凄かった。
真剣な顔つきで冷静にハンドルを握る。
緊張が車内に走り、スローモーションと化した。
ヤヒコは何とか車を安定させ、静かに路肩に止めることが出来た。
ああ、神様、ヤヒコ様。
次の瞬間、
「ミィイィィヤァァアァァア!!あれほど言ったのにお前ってやつはーーーー!!!!」
ヤヒコに怒鳴られた。
「す、すまんと思っている…」
マジで反省する。
その後、ヤヒコ(俺の性格を把握している最強の男)はスペアのタイヤを用意しており、無事に帰宅した。
その日の夜、俺はヤヒコの家へ連行されたのだが、彼が寝るまで終始反省会であった。
あれほど言ったのにと、考え無しのポジティブバカと、クドクドクドクド、こっぴどく叱られた。
俺だって、ワザとやったわけではない。
こんな呪いさえなければと悔しがり、ヤヒコがシャワーにいっている間にクッションに顔を埋めて、静かに咽び泣くのであった。
次からサークル合宿編