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菓子パンはデザート

前話の呪われた回を割り込み投稿しています。

先にこちらを読んでくださっていた方々、すみません。



味噌汁ぶっかけの為、体育館に併設するシャワーを浴び、綺麗サッパリ洗い流す。

用意していたタオルで拭い、サークルで着ている運動用の服へと着替えた。

呪いがあるので、こう言った場合に備えて、いつも服の予備は用意している。


俺は酷く落ち込んでいた。

あんなミスで、イトとの二人きりになれる時間を無駄にしてしまったのが、かなり悔しい。


そんな考えを持ちながら、シャワー室を出ると、目の前にイトが壁に寄り掛かり待っていた。


「え?どうしたの?」

俺は思わずビックリして、それしか絞り出せなかった。


「うん、やっぱり一人でご飯を食べるのは寂しいから、これ売店で買ってきたの。一緒に食べよう。」

そう言って、大きな袋を差し出した。


「こんなに!?」

「うん、ミヤは、いつも決まったものは食べていないから、どれを食べるか分からなくて沢山買っちゃった。」


俺の事を知っていてくれたのかー。

感激じゃぁぁぁぁぁー!大好き!


「あ、ありがとう。俺、新しい商品を試すが好きで、珍しいのがあると買っちゃうんだよね。あっ、でもコレとか、俺このメーカーの菓子パンは毎回買う。これは俺のお気に入り。カステラ生地とバナナクリームが絶妙なのよ。イチゴ味より断然バナナ派、これは最後の締めの定番デザート。」

「え?菓子パンがデザートなの?」

「え?甘いからデザートだろう?」

「ええそうね、確かに甘い…そうね、デザートだわ。」

 なんだか彼女は驚いているが、俺は彼女が自分とご飯を食べたいと思ってくれたことが嬉しくて、浮かれていた。


 料金を払い、袋を受け取る。

 どこで食べるか話しながら歩いていると、中庭のベンチが空いていたのでそこに座って食べることにした。


 俺は彼女の買ってきてくれた弁当を、うまいうまいと言いながら平らげた。

 弁当が3つあって俺が全部平らげたので、彼女は驚いていた。

 俺には、普段よりは多く食べたってくらいであったので、何も考えず美味しくいただいた。


「ごめんね、私が沢山購入しちゃったから気を使って全部食べてもらっちゃって…食べるの大変だったでしょう?」

 そう彼女がいうので、

「いや、全然。」

 と、俺が返すと、

「え?だって、いつも学食で食べる量より多くない?」

 と、質問されたので、

「ああ、食堂は高いから。いつもは家から持参したおにぎりやパンを中休みに食べているから。」

 と、話すと驚いていた。


 太らなくて羨ましいと彼女は呟いた。

 これに返答はしてはならないのでスルーである。

 女性は体形を気にするが、下手に男が口に出してはならないと俺は知っているのだ。


 一度、家でこんな会話をしていた妹とその友達に口を挟んで、えらい目に遭ったから。

 まあ、その話は置いといて、この話題はまずいから直ちに変えなければならない。


「そういえば、古賀は、水族館が行きたいって言っていたよね?ドライブでよかったのか?」

「ええ。水族館のイベントが10月までだからそれまでに行ければいいって。」

「イベント?」

「なんか、9月公開の映画とのコラボイベントだって。」

「ふ~ん。何の映画?イトは知ってるの?」

「えっ、詳しくは知らないけれど、ホラー系じゃないかな?」

「えっ!?古賀ってそう言う系は苦手じゃないの?イメージにないな。」

「フフ、あの見た目だから、そうだよね。でも、アンはホラーが大大大好きだなのよ。」


 うげぇと小さく声を漏らすと、イトがクスクスと笑っている。

 俺が、ホラーを苦手としているのを知っているからだ。

 正確にはホラーが苦手なのではなくて、あの幽霊女が嫌いなだけなのだが、まあいい。


「それより先に週末の行き先だな。イトは何処か行きたいところはある?」

「う~ん、ドライブでお出かけって、あまりいい情報知らないのよね。」

「そうか…日帰りだとどの辺りまでいけるかな。関東周辺の山とかは、近いのに空気が澄んでいてリフレッシュできるぞ。神奈川や千葉の海辺りも捨てがたい。でもまだ季節的に寒いかな?」


 そんな会話をしているうちにイトの講義の時間が来てしまった。


 離れがたい何とも言えない雰囲気に包まれる。

 あれれ?これって告白のチャンス再びなんじゃ!?

 今ならいけるよね?ね?

 なんか、またそうやって軽く考える俺。

 そうやって、軽く考えちゃう俺。

 俺のいつもの無謀な挑戦への導火線へ着火する。


「あのさ、俺、イトの事―」

 Pi-riririririri♪

 イトの携帯が鳴る。


 おい、幽霊!好きのスの字もまだ俺は発してないぞ…。


「あっ、エミからだ。もしもし、えっ、嘘、うん、分かった。すぐ行く。」

 電話を切る。


「ごめん、ミヤ。次の講義、急遽教授の知り合いの有名人が講義に来るらしくて、人気で席が無くなりそうだって急いでいかなきゃ、また夜に!」

 そう言って、手を振りイトは走って去って行った。


 やはり告白は出来なかった。


 分かっている。

 こんなことを擦り返すのならば、不用意に挑むべきではないと…。


 それは十分わかっているのだが、なぜか、何故なのかわからないけれど、気が付くと挑んでしまっている自分がいるのだ。

 我ながら、理解できない部分で、自分の事なのになぜ告白したくなるのか?と疑問に思うのだけれど、どうにも衝動的に口が動いてしまうのだ。


 なぜだか理性が働いてくれなくなる…。



ゆっくり投稿ですが続きます。



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