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ライバル??は、突然に2

1からの続きです。


「それから、見掛ける度に声を掛けられて、誘われるの。2人きりが嫌で、いつも周囲を巻き込んでいるから、皆にも悪くて。でも、委員会の先輩だから蔑ろに出来ないし、困っていて。」


 なんてことだ。

 自分の知らない所で、そんなことになっていたとは!?

 イトの危機に気づかないとは…未来の旦那、失格だ…。


「あのさ、なんでそれで恨まれるの?イトは真っ当な注意をしただけでしょ?何故だ?」

 ヤヒコはどうやら恋愛面には鈍感の様だ。


「そうなのよ。おそらく、生意気だったから気に障ったのかなと。」

 イトもだ。


 いやいやいや、俺は妹とその友人による俺様講座により、知っているのだぞ!!

 妹たちによると異性や同性にまでモテるタイプの男、兎に角、人気がある奴は、自身の外見には自信があり、プライドも高く、自負心も強いのだと…。

 注:妹談です。専門的な立証は全くありません。


 話を聞いた限りでは、副委員長も、人気がある…人を寄せ付けるタイプの人種のようだった。

 まぁ、一概にはそう言えないが、そう言うタイプなのかもしれない。


 悪魔曰く、そう言う奴は、突然の推しに弱いとのこと。

 パーソナルスペース内にズガンと胸打つ言葉を打ち込まれると、突如恋に落ちるらしいby俺様講座講師(悪魔たち)


 ちなみに、イトがやったのは注意だが、その後の自分も悪いのに、何、他人事な発言してんだよと言うメッセージ、“あなたもでしょ”という言われるとは思ってもいない言葉に、副委員長はズガンしたのだろうと、俺は見抜いている。


 さらに、人気者の彼の誘いを、イトは悩むことなく秒で断っている。

 俺からしたら大拍手なのだが、副委員長はこの自分を軽くあしらうなんて凄い女だ!!と、興味をひいたのだろう。

 だから追いかけられているのだと、眼鏡の小僧もビックリな推理を俺は導き出しているが、これをイトには説明したくない…。


 ミヤは呑気に面白いについて議論する2人を見て、深く大きな溜息をつく。


 そして、こうイトに告げた。

「イト、何かあったらすぐに俺を呼べ、いいや、お前のスケジュール教えろ。お前が学校にいる間は、俺が近くに居るようにするから。」


 俺がイトを守る!!!


「それは嬉しいけれど…でも、それだとミヤが大変だよ。だから大丈夫。自分で何とかするから。」

 イトは嬉しそうにハニカミながら、やんわりと断ってきた。


「おい、ミヤ、出来ない事を言うな。お前、今、研究室に配属されたばかりで忙しいのだろう。それに、バイトも冬の旅行費を稼ぐと先月から時間を増やしたばかりだろう。自分の講義もあるんだし、お前にそんな時間は無いだろう。堅実な方法を考えるべきだ。」

 ヤヒコが冷静に分析し意見を述べる。


「だって、イトに危険が…俺は守りたいんだよ。」

 ブツクサと文句を呟く。


「せめて、俺が学校に居る間は一緒に居よう。連絡するし、してくれ!」

 縋るような表情で、イトに頼むと、

「うん、分かった。」

 と、イトは快諾してくれた。


 その時、ピコンと、高音の通知が鳴る。

 その音を皮切りに連続で鳴り続けている。


 ミヤは、自分の携帯を背負っていたリュックのポケットから取り出すと、待ち受けの画面を見て溜息をついた。


 どうやら、通知音はミヤの携帯から発せられていた様だ。


「どうした?」

 ヤヒコが心配そうにミヤに聞く。


「ああ、これ、どうしたものかとね…携帯の修理でお金折半してくれた人と連絡先を交換したんだけれど、普段から何気ない報告を送って来るんだ。こんなものを食べたとか、見たとか、他愛もないようなことばかりなんだけどね…正直、どう返したらよいのか分からなくてさ。」

 アプリのアイコンの横に通知の数字が55と出ていた。


 ミヤは割と通知をこまめにチェックし、返信はきちんと返す派である。

 これはかなり困惑しているなと、ヤヒコはミヤともう一人の様子をチラッと見て、これはどうアドバイスしようかと考え始める。


 すると、

「それって女性?返さないといけない相手?無視しちゃダメなの?」

 イトが早口で言ってきた。


「えっと、女性。返さなくてもいいのかな?でも、スマホのお金、出してもらったし、迷惑かけてしまった人だし返さないのも悪いかなと思って…あっ、この既読になっていないのは故意にしたわけじゃないから。気が付くといつもこんなに溜まっているんだ。そうなっちゃっているってだけで。返さなくても、どんどん送り付けられてくるから。」

 ミヤはスマホの画面をながめ、ウンザリした様子で嘆き、徐々に首を垂れていく。


「もういいじゃない?ブロックしちゃいなよ!!」

 イトが少し苛立ちながら言う。


「いや、それだと変な噂をたてられるかもしれない。その人は同じ大学の者なのだろう?いつどこで何が起こるかも予想できない。それならば、そうだな、沢山送りつけられても返事は出来ないと、キッパリ言うべきだ。」

 ヤヒコが主張する。


「そうだよな。うん、こういうのに慣れていないから、返せなくて困っていると伝えてみるよ。」

 ミヤはヤヒコの意見を受け入れた。

 イトは何だか不機嫌である。


 その時に、

「さ・く・ら・ちゃ~ん。」

 甘ったるい声を出しながら、イトの肩に手を置き、ひょっこりその男は登場した。


「ぎゃっ!?」

 とイトが驚きの声を上げ、続いてその人物を呼ぶ。


「副委員長!!!!」


 そう、この男こそが副委員長である。

 見た目はスラッと長身の茶髪の爽やか優男。

 愛らしさのある表情とイケメンの部類に入るだろう顔立ちで華やかであり、ユルッとしたパーマがとても似合っている。


「桜ちゃ~ん、僕の名前は、五島譲ごしまゆずるだって言ったでしょう~。副委員長じゃなくて、ユズとかジョウって気軽に呼んでよ~。」


 語尾がいちいち伸びるのが癪に障る。

 それに軽いノリに鳥肌が立つ。


 隣に座るイトを垣間見る。


 あっ、イトのすべすべの白い腕もポツポツだ。


 男はイトの隣の席に勝手に腰を据えており、馴れ馴れしく彼女の肩に手を回しそうな勢いであった。


「あの…あの…あの、すみません!!イトの事を追い掛け回すのを辞めてもらえませんかね!!」


 拒否反応の鳥肌が出てしまっているイトと肩に手を添えようとしている副委員長を見て、ミヤは思わず、イトの腕を引き寄せ、自分の方へと椅子ごと手繰り寄せ2人を離れさせると、その男へとそう口走っていた。


 グリンと首を傾け、五島と言う男がミヤの方へ目を向け睨む。

 ミヤはその動作に、ヒッと悲鳴を上げそうになった。


 五島がミヤを上から下まで一通り見る。

 そしてゆっくり口角を上げ、鼻で小さく笑った。


 ム、ムカつく!!


 ミヤは五島の態度に腹が立ったが、イトの先輩でもあるので、一先ず話を冷静にしたいと考えて、怒りを抑えた。


「そんなことを言う君は誰?桜ちゃんの何?桜ちゃん、彼氏いないって言っていたよ。まあ、君は彼氏には、到底見えないけどね。ねえ、誰か知らないけれど、君にそんなことを言う資格はないよね?それと、桜ちゃんの隣に君は相応しくないよ。諦めなさい。」

 そんなことを言われる。


 何が相応しくないだ!!

 心の中で怒り心頭となりながら、なんとか気持ちを抑えて静かに返答する。


「俺は宮若。イトとは高校からの付き合いで…とても親しい者です。彼女に色々と貴方のことを聞いていますよ。彼女の嫌がる事をしないでもらえますか?貴方のすることでイトは困っているし、怯えています。だから辞めてください。」

 もう一度、厳しい口調で注意する。


 すると、肩をすくめて、首を左右に揺らす。

 君は何を言っているの??と、言われている様であった。


 彼の次に発した言葉から、やはり、ジェスチャーから受け取れた言葉は合っていたのだと分かる。


「桜ちゃんが僕に怯えている??ハンッ、そんなはずないではないか!!!僕に話し掛けられて、嫌に想う奴なんてこの世にはいない。嬉しいに決まっているだろう!!!!」

 そう言い切った。

 キッパリと、清々しく言い切った。


 イトに目をやると、死んだ魚の目をしている…。


 それからミヤはその男を傷つけないように気を使い説得を試みるが、五島の超絶ポジティブ思考に言葉は華麗にすり抜けられてしまう。

 赤い布をはためかせ、闘牛士に向かって進むがあとちょっとの所で、除けられてしまう牛になった気分であった。

 説得に手ごたえは一切なかった。


「ある意味凄いな。脳を調べてみたい。」

 と、ヤヒコが小さく呟いていた。


 そして、五島譲はイトを食事に誘いだした。

 まるで、俺達がこの場に居ないかのように、イトだけを見て、彼女を喜ばせようと話し続けている。


 ミヤがそれを物理的に止めようと腰を浮かせた瞬間に、横槍が入った。


「ユズー!見つけましたよ!!」

 食堂の入り口で、眼鏡を掛けて小柄で毛量の多い女性がこちらに向かって指をさし、そう叫んでいる。


 ユズとは、五島の事のようだ。


 ズンズンと歩みを速めてこちらに向かってくると、その女性はイトと五島の間に体を差入れ、イトを背にして、五島に話し出した。


「ユズ、どれだけ探したと思っているの?あんたは留学してたから、色々な事務で手続きを済ませなきゃいけないんでしょうが、手伝って泣きついてきたのあんたなのに、事務の前で待っていたのにいつまで待っても来ないし。どこほっつき歩いているのよ!!校内探しまくったのよ!!あっ!?糸島さんじゃん…もう、ユズ!!糸島さんだって、あなたの話にいちいち付き合うのにウンザリしているのよ。そろそろ察しなさいよ!ごめんね、糸島さん、こんな奴の相手は疲れるよね。今連れて行くからね。」

 女性がイトの方へ振り返り、両掌を合わせ、謝罪をする。


「菊池先輩!」

 目を輝かせて心臓の上で両手掌を固く握り絞め、小柄な彼女の事をイトは尊敬の眼差しで名を呼んだ。


 イトの前に座る自分達に気が付き、菊池という女性が名乗る。

「糸島さんのお友達ね。私は菊池、菊池恵。教育学部の三年。ちなみに、五島(このバカ)とは家が近所の幼馴染で、学園祭委員長とも小学校からの腐れ縁。人使いの粗い委員長にこいつの御守を押し付けられている可哀そうな人が私なのですよ。」

 淡々と言い放った。


 ミヤは可愛そうな人と言うフレーズに、お疲れ様とねぎらいの言葉を心の中で掛けていた。

 顔に出て居たようで、菊池先輩と目が合うと微笑を返された。


「メグミ、君を待たせてしまった事は謝る。だが、僕は正直で居たいのだ。そう、自分の目の前に突然キューティーエンジェルが現れたらどうする?話し掛けるだろう?愛を囁きたくなるだろう?つまりはそういう事なのだ。」

 何だか妙な雰囲気で、何かを語り出した。


「何がつまりはそう言う事だよ。いいからサッサと手続きに行くわよ。」

 五島の腕を引っ張って、椅子から立ち上がらせようと頑張る菊池であったが、体格差と力の差があり、動かせない。


 見かねたイトが椅子から立ち上がり、菊池が掴んでいる方とは逆の腕を引っ張り、立ち上がらせようと協力しだした。


 そんなイトに

「なんだなんだ〜桜ちゃんは積極的だなぁ~」

 とミヤにはイラっとするような言葉を発しながら、椅子から腰を少しだけ上げている。

 イトと菊池は腕を持ち上げ、何とか立たせようと頑張っていた。


「フフッ可愛いな~そうだ、桜ちゃんが一緒に行くなら、行くよ。一緒に行こうよ。」

 と頑張っているイトに言い出している。


 ミヤは目の前でそれを見ていてイライラしていた。


 繰り返すやりとりにイライラが頂点に達したミヤが両手を机に叩きつけ、五島に言い放った。

「五島先輩、いい加減にしてください!!」

 名前を呼ばれた五島はミヤの方へ顔を向ける。


「イトは嫌がっているし、菊池先輩は困っています。あなたもイトの事が好…き…」

 そう言いかけた瞬間、ヤヒコがミヤっと名前を呼んだ。


 あなたもイトの事が好きなのは分かるけれども相手の気持ちを考えて…と続けるつもりであったのだが、続けられることはなかった。


 そう、いつもの呪い発動である。

 ヤヒコの声がスキの単語に被るように響く。

「言うな!」


 その声と同時に

「危なーい!!!!」

 という声が反響した。


 その瞬間、食堂の外の芝生で楽しく遊んでいただろうサッカーボールが開いている窓から侵入してきた。

 それが天井の照明に当たり、その勢いのまま落下、真下にあった謎の銅像の指し示す掌に綺麗に当たると、斜め上に再び上昇、ミヤたちを飛び越えていったと思ったら、天井からぶら下がっていた板に激突し、跳ね返った先に座っていた五島の後頭部に勢いよくぶつかった。


 五島は不意打ちを付かれ、テーブルへと勢いよく倒れる。

 目の前に飲みかけの缶があったが、擦れ擦れの所でミヤが缶に自分の缶を投げ当て吹き飛ばした。


 五島は何もないテーブルに、ヘボッとうめき声を漏らしながら、顔面を打ち付けた。

 その場の者達が全員固まる。


 沈黙が訪れる。

 時間にしたらほんの数秒であっただろうが、沈黙を強く認識した。


「だ、大丈夫!?ユズ?」

 菊池先輩が五島の肩に手を当て、体を起上がらせる。


 ポタッとテーブルに赤いものが垂れる。


 彼の両鼻の穴からほうれい線を辿るように、血が滴っていた。


「ご、五島先輩…歯が、歯が欠けています。」

 ミヤが発見し声に出す。

 テーブルの上の血痕の横に、歯が落ちている。

 ヒッと、イトが声を出し、まずかったと思ったのか、急いで自身の口をおさえた。

 五島は青ざめ眼球が激しく揺れているが応答はない。


 菊池が冷静に五島の鼻の骨が折れていない事を確認し、ポケットティッシュ出して鼻栓をつめ始める。

 五島は口をパクパクさせ、何かを呟く。


「大丈夫、少しパニックってるけど、意識はあるみたい。」

 菊池がそう言うと皆も冷静さを取り戻し、手伝いに動き出す。

 五島の両穴に線をし終え、テーブルの上の歯をハンカチに包むと、菊池が言う。


「驚いたよね。大丈夫、コレ、差し歯だから。昔、武雄にぶん殴られたときにやったやつ。」

 菊池が歯を掲げながら淡々と話す。


「武雄って?」

 ミヤがイトに耳打ちする。

「宮崎先輩の事だと思う。実行委員長。」

 イトが小声で答える。


 そこに、サッカーボールを蹴った二人組が外から食堂に到着し、話を聞いて駆け寄ってきた。

 即座に土下座だ!!


「あ、そこのふたり、この人を医務室に連れて行くから手伝ってくれない?無気力になっているから自分の足で歩けないみたいなの。肩貸してやって。」

 菊池が謝り倒す彼らに向って声を掛ける。


「「うッス!!」」

 と急いで返事をし立ち上がり、2人は五島を間に挟み体を支える。


「ありがと。」

 消えそうなほど小さな声で五島はお礼を述べた。

 ショックはだいぶ和らいできたようだ。


 若干引きずりつつだが、医務室へと運ばれていく。


「何というか憎めない人だな。」

 ヤヒコが言うと。

「そうなんだよね。」

 イトが頷く。


 どうやら俺の新たなるライバルは、なかなかの曲者らしい。


 イトを奴から守らねば!

 心の中で決意するミヤであった。


ありがとうございました。

ゆっくりですが更新していきますので、また読んでいただけると大変嬉しいです。

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