水族館はスリル満点1
前回投稿から時間がかなり空いてしまいました。
「え、ミヤ、覚えてないの?あの後、STBが合流して少し話をしていったんだよ~少しだけでいなくなっちゃったけど。凄く可愛かったの。なんかね、ストームのアツシとSTBのくるみちゃんがイイ感じな雰囲気で、皆で凄く盛り上がったんだから!」
イトが興奮した様子で話している。
「へえ、そうだったのか。STBなら会ってみたかったな。確か、センターの萌ちゃんだったか、その娘はいた?」
「えっ、萌ちゃん?…は、いなかったよ…」
「そっかぁ。」
ここは、皆の地元の駅下にあるコーヒーショップ。
今日は平日だが、皆の予定が空いていたのでこれから、いつものメンバーで水族館へ行く。
10時半にこの店で待ち合わせなのだが、ヤヒコがまだ来ていない。
提出期限が昨日までであったレポートを期限内に間に合わず、今日の午前中までならば教授が受け取ってくれると言うので学校に提出しに行ってから来ると連絡が来た。
それなので、ヤヒコは少しばかり遅刻している。
俺らは時間を持て余し、夏休みに参加したサークル合宿の話を古賀にしていたところだ。
「へぇ~意外!?ミヤって、天然小悪魔系が好みなんだぁぁ??」
古賀が意地悪そうな顔でそう質問してくる。
なんでそんな顔をしているのかは分からないが、ミヤはきちんと答える。
「好みって言うか、グループのセンターだから人気なんでしょ?見た目は可愛いし、会ってみたいなって…えっ!?なんか俺、変なこと言っている?」
2人の視線が何だか鋭いのだが…萌ちゃん、女子には不人気なのかな?
次に掛ける言葉に詰まる。
「お待たせ。遅くなってすまん。」
ヤヒコが来た。
滅茶苦茶よきタイミング!!
ヤヒコ、最高の親友。心の友~。
「お~待っていたぞ!!!心の友。」
「え?心の友(笑)。それより、俺も何か一杯飲んでいいか?一息つきたい。甘いやつが飲みたい。」
「「「いいよ。飲んで飲んで~」」
「それなら、俺、ちょっと向かいにある銀行に行ってくる。持ち金が足りないかもしれないから、お金降ろしてこようかと思って。イトも一緒に行く?」
何気なく誘ったら、
「ダメに決まってるだろう!?立てこもり銀行強盗にでもあったらどうするんだ!!」
と、徹夜明けのせいだろうか、いつもは冷静なヤヒコが見たことのないキレキャラになり怒鳴った。
渋々、俺は一人で銀行へ向かった。
「な~んてやり取りをしていたな~。」
ここは、すでに水族館。
そして、今の状況は…。
「してたな、じゃないだろう!?ミヤ、お前また、無謀にもイトに告ろうとしたんだろう!頼むから平穏なお出かけを俺達に満喫させてくれよ。」
横に胡坐をかいて座っているヤヒコが頭を抱えている。
「そう言われても、まさか、水族館で立てこもりが起きるなんて思わないじゃん。」
いくら呪われているとはいえ、テロ組織が水族館に現れるとは!?
自分でさえもこの状況にかなり驚いている。
まさかの水族館で立てこもりだなんて。
ここは銀行ではない、繰り返す、ここは銀行ではない。
***
遡ること、数時間前。
喫茶店を出た一行は、電車に乗り、水族館へと向かった。
電車内の座席で、徹夜明けで寝不足であったヤヒコは、俺の肩に頭を乗せ、着席から到着まで終始、爆睡であった。
少し肩が湿っていたが、文句は言うまい。
一行は、水族館の最寄り駅で下車した。
目を擦り、歩いて水族館入り口へと向かうヤヒコの隣には、もちろん俺。
その前にはキャッキャとお喋りをするイトと古賀。
「今日行く水族館のコラボは、杉蔵先生っていう漫画が映像化するのを記念してのものなの。内容はね、前髪をいつも伸ばしていて根暗な雰囲気なのに髪を上げたら超絶イケメンの杉浦久蔵、歴史研究家が主人公でね、大学教授なんだけど昔から幽霊の見える体質で、フィールドワーク行く先々で心霊現象に悩まされる話なんだよね。先生がおっちょこちょいだからコミカルな時もあるし、ほっこり感動回もあるし、悪霊が出てシリアスやピンチにもなったりするんだけど、メッチャ面白い。絵も綺麗だし。それでね、その杉蔵が、杉蔵ってのはね、大学での生徒たちから呼ばれている先生のあだ名なんだけど、杉蔵の教授部屋に自宅で飼えないからって大きな水槽を置いていて熱帯魚を飼っているんだよね。唐突に水槽内に生首がいたりするの。しかもそれ、喋るし。あの落ち武者もいるかな?その部屋が今日ここに再現されているんだって、この漫画の鬼ファンだと言う有名なフィギュア原型師が中心になって作られたとか前情報で流れてて、めっっっちゃ楽しみ~。」
古賀は相当楽しみなのだろう、滅茶苦茶早口で話している。
「オタクって熱はいると早口になるよな。心底楽しそうで羨ましい。俺の父親もそうだわ。」
欠伸をしながら近づき、ミヤに向かいコソコソ話でヤヒコがいう。
「お前も新しい盆栽を購入した後とか、あんな感じだぞ。」
ヤヒコが羨ましいというので、教えてあげた。
そんな話をしながら、水族館内へと何事もなく入館した。
館内は、いたって普通で、イベントスペース以外はホラーではないようだ。
ただ、時折、薄暗い館内に、漫画のキャラと思われるパネルや置物が設置されており、順路の道案内をしている。
その横でファンと見られる者達が写真を撮っている。
順調に館内を見て回る。
キョンシーが例の部屋への案内パネルを持っていた。
人気キャラのようだ。
その先に、古賀が楽しみにしている部屋があるようで、走り出した。
だが足は遅い。
他の者達も後を追い、軽く小走りになる。
数組が並んでいて、列の後ろに並ぶ。
扉まで来ると、暗証番号を入力するタイプのボタン式の鍵が着いていた。
「これね、四桁の数字を押すんだけど、漫画の中で4444って押すと、霊界に繋がっちゃうのよ。」
古賀が嬉しそうに説明した後、スタッフの人が今回は押さずに入場くださいと淡々とした口調で声を掛けてきた。
自分達の順番が来たようで、中に入るよう案内される。
ドアを押して足を踏み入れる。
八畳ほどの部屋の中は左の壁には扉付き本棚が、右側には水槽が置いてあり、光を放つ。
本棚の前には、生徒たちが使う長椅子とテーブルがあり、そこに座ると、水槽の中がよく見える。
なるほど、あれが生首か。
等間隔で、目をカッと見開くので、その都度心臓に悪い。
皆で教授の机付近にやって来る。
左側にはロッカーが、正面には民族小物が並ぶ。
「再現度、高!?凄っ。」
まじまじと古賀は小物を見ている。
部屋を見渡すと、ファンではない俺にはこれと言って何の変哲もないおかしな置物の多い部屋だ。
ふと、気になって目をやると、水槽の向こう側に大きな鏡が壁に掛かっていた。
「古賀、あの鏡は何かあるの?」
気になったので詳しい者に聞いてみる。
その時、ロッカーを開けたヤヒコが声を出す。
「おい、ここが出口みたいだぞ。通路になっている。」
どうやら、入り口しかないこの部屋の出口を見つけたらしい。
入り口のドアしか出入りが出来ないのに、人が中に居ないので、どうするのか不思議であった。
ヤヒコの話だとロッカー内からノック音がしたらしい。
「あ、ちょっと待って。出口に行く前に、あの鏡も、見ておきたい。」
古賀がそう言うので待っていると、古賀がわぁっと声を上げた。
皆で駆け寄ると、鏡はペラペラで、後ろに通路がある。
「こっちに行ってみよう。」
目をキラキラさせながら、古賀は止める間もなく進んでいく。
辿り着いた先に、部屋からの明かりが暗い廊下に差している。
扉の無いその部屋は手術室であった。
手術台の上には、顔に縫合の跡がある手術着をきた男がいて、手術台の上に居る人の臓器を取り出している。
「フ、フウランケン様だ!?!?」
古賀が走り出す。
何気に顎に手を置きながら、ヤヒコも熱心に観察している。
「おお、これ、リアルだな。」
と呟き、まじまじと見ている。
俺とイトは遠目から観察し、生々しいそれに正直少し気分を悪くしていた。
手術室の奥に扉がある。
ドアには手術中ではなくExitと書かれたランプが、扉の上に掛けられている。
あそこが出口だ。
「俺、先に出るわ。」
そういうと、イトも我慢していたようで、ついてきた。
出口も凝っていて、外から見ると扉があるとは分からぬようカモフラージュされている。
「凄かったね。ちょっと最後の部屋は気持ち悪かった。」
「だな~。ああいうのに向き合って学んでいるヤヒコを尊敬するよ。」
「うん、尊敬。」
オタク組の2人が手術室から出てくるまで、気分が悪くて口数が少なくなっている2人は出口から館内の通路へ出て直ぐにあったクラゲの水槽を眺め、ひた
今回は水族館事件編。
後半へつづく。
週末に。




