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呪われています

多くの作品がある中、目に止めてくださりありがとうございます。



花の盛りもいつしか過ぎ、葉桜の季節を迎えております。

 皆さま、健やかな日々をお過ごしでしょうか?


 俺は、連日戦ってます。


 何と闘っているのかって?

 お答いたしましよう。


 聞いて驚け!俺の戦っている相手は、【呪い】だ‼


 この呪い、最近掛かっていることに気づいたものだ。

 どんな呪いなのかと言うと、

“好きな子に告白できない” という呪いだ。


 ちょっと、そこの君、今、そんな事かと馬鹿にしなかったか??

 いやいや、結構キツいし、嘘じゃないから本当だぞ。


 そうだよな~普通は呪いなんて信じられないよな…。


 それじゃあ、呪いがどんなものかを試しにやってみよう。

 やってみれば、どんなものか分かるはずだ。


 おっと、自己紹介を忘れていた。

 俺は、宮若 健太郎(ミヤワカ ケンタロウ)

 通称ミヤ。

 あっ、昔からの付き合いの奴にはミヤって呼ばれてて、大学ではミヤケンって呼ぶ奴が大半だ。

 そう、大学2年生だ。

 性格は明瞭で、わりと諦めが悪いかな。

 やってみないと気が済まない性格だと思う。


 そんな俺も、昨年、ギリギリの攻防の末、念願かなって某有名私立大学の理工学部に入学し、今は、その大学のキャンパス内。

 理工学部が使用する校舎からキャンパスの中心にある食堂へと移動しているところだ。

 キャンパス内は兎に角広い。

 昔から何かと縁のある二人と大食堂で待ち合わせているから、今は向かっているところ。


 一人目は俺の小学校から腐れ縁で大親友、八幡 義彦(ヤハタ ヨシヒコ)。通称ヤヒコ。

 同じ大学の医学部に通っている。

 医学部とは使われる教室が被ったりするので、普段でもちょくちょくすれ違う事はある。

 性格は男気溢れ、逞しいボディー、そして愉快でハンサムな男だ。

 俺が女ならば間違いなく惚れているだろう。


 もう一人は、高校のクラスメイトで、俺と高校三年時にクラス委員を一緒にやっていた女子だ。

 名を 糸島 桜(イトシマ サクラ)と言う。

 俺はイトと呼んでいる。

 性格は正義感が強く、真面目で優しい。

 彼女も同じ大学の教育学部だ。

 教育学部とは、同じキャンパスの敷地内だが、なにぶんこの大学のキャンパスは広大過ぎる。

分野の違いすぎる彼女とは、連絡を取って待ち合わせなければ顔を合わせることは殆どない。

 同じ大学だというのに滅多に会えないのは、とても悲しい。


 入学式会場のある駅で鉢合わせた際に、学部が違うと会う機会がないらしいという会話を交わして、折角同じ大学に入学できたのに、このまま疎遠となるのも寂しいからと、俺達は接点を作るために同じサークルへ入ることに決めた。

 話し合ったうえ、入ったのは小規模なテニスサークルなのだが、週1で集まってテニスを嗜み、飲みに行き、長期休暇中に合宿をして、サークル内で試合をするといった程度の緩いサークルなのだが、適度に身体も動かせるし、皆と過ごせて楽しいから、それなりに満足している。


 俺やヤヒコは中学の部活ではソフトテニス部に入っていたし、その後もヤヒコに付き合わされて硬式テニスを趣味で続けていたので、下手くそと言われないレベルであると俺はそこそこ自信がある。

 一方、イトはまったくのド素人だったので、俺達が入会当初から丁寧に指導した。

 入会当初は、イトを狙う輩が湧いたが、俺達が軽く跳ねのけてやった。

 今にして思えば、無意識化でグッジョブだったと褒めてやりたい行いだ。


 察しの良い人は気が付いたはずだ。

 そう、俺の好きな人は、イトだ。


 高校ではショートヘアーで化粧のケの字もなく、弱小バスケ部に所属し、クラス委員でまとめるためにバンバン意見を言うようなキツイ印象の女子だったが、大学に入ってからのあいつは、化粧や身なりを気にしだし、凄く可愛く変化していくと同時に、俺は彼女が他の男共から誘われているのが気に食わなくなり、ようやく自分の気持ちを自覚した。


 それで、イトが取られてしまうのではと、俺も焦って告白しようとしたのだが、上手くいかなかった。

 告白を受け入れてくれないという意味ではなく、想いを告げることが全く出来ないのだ!!

 どういうことかと言うと…。


 口では説明しづらいから、実際にやって見せよう!


 俺はスマホを手にし、電話を掛ける。

「もしもし、イト?もう食堂?俺は今向かっている所。うん、席、うん、分かった、奥ね。うん、ありがとう。あ、あのさ、俺、イトに言いたいことあって、俺、前からイトのことがスッ――――」


  ドンッ!!


 告白の瞬間、後ろから誰かが俺の肩に勢いよくぶつかった。


 電話をしていた俺のスマホが、ぶつかった勢いで綺麗に弧を描き、宙を舞う。

 俺とぶつかった女性が、あっ!?と思わず驚いた声を上げ、スマホへと体を向け、慌ててキャッチしようと駆け寄って行く。

 だがもう遅かった。


 彼女が動き出した瞬間には、スマホは床に思い切り叩きつけられていた。

 それだけでなく、スマホの勢いが止まらず前方の廊下へと凄い速さで滑り進んでいく。

 交差した通路へ差し掛かった時、横切る方の通路を進んできた台車を押した事務員によって、スマホは完全に破壊されたのだった。


 御臨終したスマホは、今月で2台目である。


 告白をしようと試みてから半年経つのだが、もう10台ほどダメにしている。

 ちなみに、これは俺のスマホの話だ。

 イトのスマホが壊れることも、もちろんある…申し訳ないと思っている。


 このようなよく分からない謎の妨害により、俺は好きな子に告白できないでいるのだ。


 そう、これこそが、俺のかかっている【呪い】である。

ゆっくりのんびりですが更新していきます。

不定期ですがよろしくお願いします。

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