決意
俺は綾野元人。ごく普通の中学生だ。
「元人、朝だよ!早くご飯食べて学校行きなさい!」
「ん、あいよ」
いつものように母が俺を起こしてきた。
ご飯を食べ、学校に行く。こんな平凡な生活を毎日続けているうちに、いつの間にか人生が退屈と感じるようになってしまった。
「はぁ......」
つい大きなため息をついてしまった。
友達はほとんどいないし、やりたいことも見つからない。この先大丈夫なのかと心配になるほどひどい状態だ。
その日の夜、俺は普段あまり見ないテレビを付け、居間でのんびりとしていた。
「SASUKEかぁ。そういえば昔、少しだけ見てたなぁ」
そんなことを呟きながら、たまたまテレビで放送していたSASUKEを見ることにした。俺は、そこで語られる壮絶な経験談を、時を忘れて夢中で見てしまった。
(なぜこの人たちはこんなに必死になって頑張れるんだ?)
ふと疑問が浮かんだ。しかし、finalステージまで行った人を見てそれが愚問だったことに気付かされた。頂上まで絶対に行ってやろうという強い意思、自分に負けないようにと必死に頑張るさま......。
「すごい......」
その言葉は無意識のうちに口から発せられていた。気付いたら涙が頬を伝っていた。
(頑張るってこういうことなんだ!」
かつて、何もやりたいことがなかった俺は決心した。絶対にSASUKEに出てやると。