【漫才】自信
登場。センターマイの場所に二人がつく。
2人 「よろしくお願いしまーす」
2人が頭を下げる。拍手が起きる。
ボケ 「拍手はやめろぉぉぉぉぉ!」(左手を前に出しながら)
ツッコミ 「お客さんに失礼だろ!」
ボケ 「もうね、自信がないのよ」
ツッコミ 「来ていきなりどうした?」
ボケ 「みんなを楽しませる自信がない」
ツッコミ 「その言葉は心に閉まっておけなかったのかな?」
ボケ 「だからね、拍手もしてほしくないんですよ!」
ツッコミ 「いいだろ? 楽しみにしてくれてるんだから」
ボケ 「俺たち、その期待に応えられるのか?」
ツッコミ 「そりゃあ、応えるしかないだろ!」
ボケ 「じゃあ、応えてみてくれ」
ツッコミ 「ん?」
ボケ 「じゃあ! ここで! その期待に応えている姿を俺に見せてくれよ!」
ツッコミ 「……はぁ!?」
ボケ 「できるんでしょ!」
ツッコミ 「なんで、俺だけでやらなきゃいけないんだよ!」
ボケ 「だって、君にはあるんでしょ? 自信」
ツッコミ 「だからっておかしいだろ!」
ボケ 「えー! ないの!? 『応えるしかないだろ』って言ったのにー!」
ツッコミ 「それは言うだろ! お客さんいるんだから!」
ボケ 「そうやって大声上げて威圧するなんて……お笑いパワハラだ!」
ツッコミ 「これ仕事だぞ!」
ボケ 「そうやって、何でも仕事のせいにして!」
ツッコミ 「どこのすれ違い夫婦だよ」
ボケ 「こんなに自信がないのに……」
ツッコミ 「キュン! なんてしないよ!」
ボケ 「ほら、時間が経つと上がっていく一方だぞ」
ツッコミ 「何が?」
ボケ 「心のハードルだよ」
ツッコミ 「それは君の言動のせいでは?」
ボケ 「早く面白いことやって、自信をつけさせてくださいよ!」
ツッコミ 「そういう発言!」
ボケ 「果たして越えられるかな~、心のハードル」
ツッコミ 「誰目線なんだよ!」
ボケ 「今の様子を見ていると……難しそうですねー」 ニヤけてツッコミを見る。
ツッコミ 「むかつく表情してんな!」
ボケ 「どうです? 自信あります? あ、自信あるんだった! すまんすまん」
ツッコミ 「だから、どの立場で言っているんだ!」
ボケ 「見たい! お客さんの笑顔が見たい!」
ツッコミ 「それを二人でやろうって言ってるんだよ」
ボケ 「でも、俺には自信がない!」
ツッコミ 「言い切るな!」
ボケ 「そうやって、ごまかそうとしても、君には自信があるんでしょ!」
ツッコミ 「だから二人でやろうって!」
ボケ 「さっきからそう言って、どうしたんですか? このまま時間がたつと」
2人 「心のハードルが高くなる!!」
ボケ 「分かってるならやるしかないって! ね!」
ツッコミ 「あー! わかったよ! やるよ! やればいいんだろ!」
ボケ 「早く俺に自信をつけさせてくれぇぇぇぇぇー!」
ツッコミ 「だからやるって、言ってんだろぉぉぉぉぉぉ!」
ツッコミ、一歩前に出る。
ツッコミ 「サイダー、パチパチ! 恋の味!」
ツッコミ、最初の位置に戻る。ボケ、ツッコミの動きをずっと見る。
ボケ 「なんか、今の姿見たら、俺、自信出てきてかも」
ツッコミ 「なんでだよ!」
ボケ 「こんなに面白くなくてもいいんだなって」
ツッコミ 「そうかよ! 俺は今、自信を無くしたよ! もー、だからやりくなかったんだよー」
ツッコミ、膝に手を付けてうなだれる。
ツッコミ 「じゃあ……俺につけさせてくれ」
ボケ 「ん? なにを?」
ツッコミ 「俺に、ここでお笑いをやる自信をつけさせてくれ!」
ボケ 「それはまた別の時間に」
ボケ、先に頭を下げて舞台の袖に捌ける。
ツッコミ 「お、おい! ちょっと待てよ! みなさん、ありがとうございました」
ツッコミ、お客さんに一礼してからボケの姿を追う。