#3 神頼み必須の世界
「ん...」
目を閉じていても僅かに差し込む光。異世界転移に成功したのだろうか。
ゆっくり目を開けると、そこには異様な光景が広がっていた.
「なんだ・・・これは・・・!?」
ここを取り囲むようにそびえ立つ建物、大量に存在している人間、時間によって赤や青に点灯する謎の機械などが俺の目の前にあった。
「あ・・・あぁ・・・」
全く理解できず,思考能力も機能しなくなり俺がここに来て最初にしたことといえば、
その場に倒れ伏せることだった。
『・・・さい。・・・きてください。』
誰かが呼んでいる。
目を覚ますと横にはいつもの神が座っていた。
『あ、目が覚めたんですか』
「なんでちょっと残念な顔してんだよ」
周りを見渡して状況確認をしてみた。やはりここは元の世界ではないらしい。
というか本当に夢じゃないんだな。
軽く絶望したところで、一度深呼吸した。
「とりあえず、ここはどういう場所だ」
『路地裏です。あまり人気がないところですね』
さりげない質問だが、今のは咄嗟に出たやつだ。
俺が聞きたいのはそういうことじゃない。
ここはどことか、あいつは誰だとか、目の前にあるものは何かとか小さい問題を聞きたいんじゃない。
ここは元の世界じゃない。これまでの経験や常識は通用しない。となれば、俺が聞きたいのはただ一つ。
「この世界を、教えてくれ」