葡萄が丘
「ああ〜僕らいつまでこの田舎町に残されるんざろ〜〜?」
「ざな!ざな!周りのガリ勉野郎は勉強だけして東京行くけどさ、俺らは勉強なんてどうでもいいんざよォ!!」
高校なんてめんどくさい!なんて思いから俺たちは中卒でフリーター、不良生活を送ってる。さすがに街中でバイクに乗って走り回ったり、番長に喧嘩を挑んだりはしない。ピアスはつけてるけど、酒はノンアルコールだし、タバコは電子タバコざ。所詮ヤンキーごっこの生活を何年続けてきたざろう。
俺、戸倉炎輝は今まで16年生きてきて、得したと思うことがまったくない。中部地方の盆地のど真ん中にある竹本市の郊外にある葡萄が丘団地の陰気な部屋で生まれ育ち、父ちんも母ちんも家にいた頃をほとんど知らない。ほとんど家族は姉ちんだけだ。なんて損な人生なんざろう!こんな人生の中で、唯一救いがあるとするなら、親友といえる男に出会えたことだけざろう。
彼の名は岩見萩也。萩也は何ヶ国かはわからんけど色々な国の人の血を受け継いでて、その日本人離れした外見から小学校の頃はいじめられて、よく泣いてたな。でも、喧嘩が強い俺が何回もボコボコに殴ってやったさ!!まぁ、結局両成敗になってこっぴどく先公に叱られたっけな。まぁ、その度に絆が強くなってたのも事実ざけど。
そんな俺と萩也だけの宝物といえば、昔山の中で見つけた大きな三角形の化石。2人で山に行って迷子になって、萩也が急斜面の一番下まで転がり落ちた時に、目の前にたくさんの三角形の化石があったんざよな。あの後、なぜか最初から帰り道を知ってるかのように葡萄が丘まで帰れたんざよな。今でも、部屋に化石を置いてるけど、ふと見ると・・・あれ!?光ってる!!??
眩しい!眩しい!!うわぁ・・・!!!
俺はしばらく、意識を失っちまってた。