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竜の卵と異世界ライフ  作者: がっぴー
1/8

序章  ~死亡と転生~

初投稿

読書好きとファンタジー好きが昂じて投稿しました。

間違い等多々あると思います。広い心で読んでいただければ幸いです。

 とある秋の夕暮れ時。日課の散歩をしている俺の後ろを、二つのモフモフがついてくる。

 薄茶色の毛皮を身にまとう我が家の愛犬(あいどる)、「藍菜(あおな)(愛称:アー)」と「涼蘭(すずらん)(愛称:スー)」である。

 二年前、捨てられていた彼女たちを拾ったのが出会いだった。(ちなみに二匹ともメス)

 独身貴族の俺に癒しを与えてくれる、我が家の大切な家族だ。

 そんな可愛らしい彼女達がトコトコ追従する人物。俺こと「新城 正人(しんじょう まさと)」は考える。とはいってもその内容は…


 (今日の晩飯どーすっかなー…)


 という至極ありふれたもので、ほぼ毎日考えるであろうその問いに、今日もまたコリもせずに答えをさがすのであった。

 そんな日常の一風景。だが、そんな平和を貪る俺に接近する異質。

 否。それは異質でもなんでもなく、歓喜していようと絶望していようと、退屈であろうと臨時であろうと、何時いかなる時でもすぐそばにあるもので……


 「ワンワンッ!!」


 突然吠えだした藍菜に驚き振り向く。なにせ彼女達は全くといってほど吠えないのだから。 


 「どうし――」


 そういって藍菜の見ている方へ視線を移すと…


 「あ――」


 場所は大通りの交差点。そこで信号待ちをしている俺達の横から、大型バスがこちらに突っ込んでくる。

 速度は法で定められたモノを優に超えている。理解は一瞬。死ぬと。


 人の頭は不思議なもので、危機に直面すると短い時間が長く感じるという。だからだろうか、俺は死ぬまでの数秒で様々な情報を手に入れる。

 意識を手放した運転手。焦りと恐怖に包まれた客席。そして俺に飛び掛かる涼蘭。俺を突き飛ばそうとしたのだろう。だが現実は非情である。涼蘭の体躯では俺を突き飛ばす事はできず、ただ体制を崩しただけ。そんな俺に駆け寄る藍菜。


 世界は合理の塊だ。全ては繋がっていて、一つの結果となる。そして結果は収束し、新たな結果を創る。


 誰が悪いかなんて関係ない。不変であり、絶対だ。それは今、俺に迫る鉄塊が証明している。

 そんなことは…

 

(そんなことは知ってるんだよ!けど…納得はしたくねぇ!)


 納得して、受け入れてしまえば、目の前の家族はどうなる?

 

(せめて…コイツ等だけでも!)


 しかし世界の合理に俺の思いは与されない。

 そして、激痛を伴い俺の意識は呆気なく途絶えたのだった。



------------------------



 ずいぶんと長く眠っていた気がする。体が重い、というより動かない。目は開けているはずだが光が入ってこない。俺はどうなった?生きているのか?藍菜と涼蘭は?無事なのか?ここは?病院?いや、背中にゴツゴツした感触。地面か?事故直後?普段聞こえる喧噪が聞こえない。鼓膜も破れたか?だが痛みは感じない。一体どうなっている?


 数多(あまた)の疑問に押し潰されそうな俺に…


 (……ん?……ほぉ…クハハッ…初めての試みだが、うまくいったようだな)


 そんな≪声≫が聞こえてきた。

 声といっても、空気を伝わり鼓膜を震わす声ではなく、体の内部から響いてくるような不思議なものだった。

 そんな常識では理解できない現象にでくわし、今まで俺を押し潰さんとしていた疑問はすべて吹き飛んだ。


 (…えっ?はっ!?えっ!?)

 (体にはまだ慣れんか?混乱もしておるようだな。まずは落ち着くがよい)


 再び声が聞こえてくる。なにやら俺に落ち着くよう促しているようだ。

 いやはや。どうやら頭を強く打ったようだ。事故を生き残ったはいいが、幻聴が二度も聞こえてくるとは…。もしや後遺症になっていないだろうか。今後の生活が心配である。


 (……この状況で我を無視するか。しかも我を幻聴よばわりとは…。肝が据わっているというべきか、ただの阿呆か…)

 

 ははは。幻聴が呆れてやがる。こりゃ重症だな。

 それか、実はもう死んでいて、今話しかけているのは天使だったりして。なんか偉そうな話し方だし、神様の可能性もあるな。地獄かもしれないって?俺のような善良な一市民が地獄に堕ちるわけがないのだ。日頃の行いなのである。


 (貴様…。いつまで我を無視するつもりだ?そもそも我は幻聴ではない。

 知を司りし原初の竜。

 世界を彩る『七色の王(ペインカラー)』の一光。

 『純白の叡智(アカシックブラン)』の『バナヴァルム』とは我のことよ!!)


 現実逃避をしていた俺に、幻聴さん(仮)がシビレを切らしたようだ。自己紹介までしてきたよ。


 ……なんとなくだけど理解してたよ。これが現実(リアル)だって。でも、少しくらい現実から目を背けたっていいじゃない。人間だもの。


 それで?竜?バナヴァルム?無視するなとも言ってたが、口が動かなければ会話もできん。


 (会話など念じれば可能よ。さっきからしているであろう?)

 (……ソーデスネ。それで、結局あんたは誰なんだ?さっき竜だとか”七色の王”とかいってたけど?超能力者(エスパー)医者(ドクター)異常思考(サイコパス)ってのは勘弁な)

 (?医者(ドクター)はわかるが、超能力者(エスパー)異常思考(サイコパス)?それは異世界の言葉か?なかなか興味の尽きぬことをゆうではないか!やはり異界人はおもしろい!)


 なにやら俺の言葉に興味を示しだした幻聴さん。しかし異世界に異界人、ね……。

 

 (なぁ、えっと……、バナナルムだっけ?おれは――)

 (バナヴァルムだ。間違えるではない)

 

 訂正された。しかもちょっと怒ってる。

 茶々はよしたほうがいいかな。


 (バナヴァルム。質問がある)

 (本来ならば我が説明してゆく手筈なのだがな。まぁ、大して変わらんだろう。時間もまだある(・・・・・・・)。知っている限りでは答えようではないか。)

 (じゃあ単刀直入に聞くが、おれは『転生』したのか?)

 

 そうバナヴァルムに問いをなげた。しばしの沈黙。そして――


(…………驚いたぞ。貴様、自身が転生したのを理解したのか?どうやって?貴様本当に異界人か?まさか術式が失敗?…いや……しかし……。ならば再度……。だが時間が……)


 俺の問いに驚き、なにやら考え込むバナヴァルム。


 俺が転生を理解した理由だが、簡単なことだ。

 我らが祖国。日本が世界に誇る娯楽の頂点。そう、『聖書(マンガ)』である。(注:個人の感想です)

 独身貴族の俺は、藍菜達を愛で(もふり)ながらも、聖書(マンガ)を読み耽っていた。

 そして今回の場合――


 なんらかの理由で死亡

 ↓

 死んだはずなのに意識を取り戻す

 ↓

 竜とかなんかあり得ないものがでてくる

 ↓

 異世界や異界人とかの呼称


 つまり、物語における『お約束』なのだ!


 最初は奇跡的に生き残り、意識はあるが体が動かない状況のところを、不思議パワーをもった医者が冗談半分で話しかけた(我ながらアホなこと考えるな…)のを警戒したが、エスパーが通じなかったり、異界人という単語。確信した。


 間違いない。


 そう――ここは――


 (異世界だああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!)

 (ぬわっ!?ど、どうした。突然叫びおって。ただでさえ貴様の存在で困惑しているというのに、これ以上我を驚かすではない!)

 (あ、ごめん)


 感動のあまり思わず叫んでしまった。心の中で。


 しかしバナヴァルムにも聞こえたようで、少々驚かしてしまった。

 むぅ。この念話というもの、頭での考えと心で念じるものの線引きが中々難しい。最初からだが、思考がちょくちょくバナヴァルムに漏れてしまっている。何とかしなければ、俺のプライバシーが丸見えになってしまう。

 なんて考えていると――


 (ぐぬぅ…これ以上疑問を抱え込んではキリがないわ。時間も惜しい(・・・・・・)。貴様、これよりは我の話のみ聞くがよい)


 随分とまぁ上からものを言ってくる。ちょっと浮かれすぎたか?仕方ない、少々癪だがその提案に乗るとしよう。


 (別に構わないけど、その前にさっきの質問、答えてくんない)

 (ふん。確かに貴様は”転生”しておる。何故転生したことを理解したのか、それも含め答えてもらうぞ)

 (やっぱ転生してたのね。俺。知ってたけどさ。そうそう、あと一つ質問いい?)

 (構わん)

 (俺と一緒に死んだ奴ってどうなった?)

 (我が召喚したのは貴様のみ。共に死んだ者など知る由もない)


 ……そうか。転生したのは俺だけか。

 つまり、藍菜達は――

 不思議と悲しくはない。ただ、胸を虚無感が埋め尽くす。

 悲しいはずなんだけどな。起き上れば彼女達が駆け寄ってくる気がするせいかな。そんな事はもうないのに。

 なんだかなぁ……。


 (おい。なにを呆けておる。死んだ者の中に番でもおったか?)

 (いや、そんなんじゃぁないんだけどね…)

 (違うならば何だ。呆けていては我が困るのだ。貴様には我の意思を理解してもらわなければならないからな。ほれ、しっかりせんか)


 まったく、人の気も知らないで……。


 仕方あるまい。藍菜達のことは置いとくとして、今は目の前のことに集中するとしよう。なにせ、目も利かず、体も動かないのだ。できる事といえば、バナヴァルムとの念話くらいだ。


 (はいはい。わかりましたよ。話を聞けばいいんだろう。ただし、質問はさせてくれよ?お前の話聞いてるだけで全部理解できるとは思えないからな)

 (構わんぞ。しかし我の話を優先させてもらう。よいな)

 (まぁ、さっきから時間気にしてたしな。できればでいいよ)

 (うむ。では最初に――)


 こうして、突然始まった異世界での、俺の第二の人生の幕は開けた。

私と仕事の気分にもよりますが、週一投稿を目指します。(信用しないで)

間違い等ありましたらご指摘いただけると、幸いです

今後の糧とします


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