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私立高等学校物語  作者: 北野ゆり
7/9

第7話

後半長ったらしく文が続いているので、読みにくいかもしれません。

時は流れ期末テストが終わった。

「全員成績表はもらったなー。」

本崎たちはそれぞれに自分のテスト結果の書かれた紙を見ている。

「今回のクラストップ3を発表する。」

ゴクリと唾を飲む音が聞こえそうなほど緊張感が高まる。

「まず第3位、綾部。」

教室から拍手がわくと同時にささやき声が聞こえる。―まあ、そうだよね―と。おそらく綾部はいつも成績優秀なのだろう。

「次に第2位、橋森。」

教室から再び拍手・・ではなく驚きの声が漏れた。

「えっ1位じゃないの?」

「いつも1位なのに。」

「じゃあ、1位は誰だ?」

教室がにわかに騒ぎ出す。

「お前らうるさい!静かにしろ!」

担任はそんな生徒に呆れた。

「今回の第1位は・・・本崎だ。ついでに学年1位でもある。」

はあー?とかえー?と言う叫び声があがる。その声は驚いているというよりは怒りがこもっていた。

「カンニングしたんじゃないですかぁ〜?」

どこからともなく声がした。担任はその声に怒ることなく、ため息をついた。

「正直失礼だが、俺もそれは疑った。だから、色々調べてみたがそれはないとわかった。」

担任はそこまで言うと、生徒たちを真っ直ぐ見据え真剣な面持ちで言った。

「俺だけでなく、全教師が保証しよう。本崎はカンニングしていない。」

教室が静まり返った。教室に沈黙が流れる。

「別に俺から言わせてもらえば、どっちでもいいですけど?信じられないなら、信じなくても構いませんし。でも、俺はカンニングはしてませんよ。」

沈黙を破ったのは本崎自身だった。

「まー確かに最近教室でずっと勉強してたしなー。そりゃそれだけやれば成績も上がるだろうよ。休み時間おしゃべりばっかしてるやつらより成績上なのは当然だろ?」

本崎の友だちがフォローをしつつ、クラスメイトたちを攻撃した。

「お、おい、赤井。お前、何言ってんだ。」

本崎は赤井の言葉に慌て、小声で言った。今のセリフでは赤井もクラスメイトたちに嫌われてしまうかもしれないからだ。

「俺はお前のダチだぞ?お前の努力を認めねーやつは許さねー。」

赤井は真剣に返した。

「ほら、もういいだろう?終礼始めんぞ。」

担任はそう言って終礼を始めた。教室にはなんとも言えない空気が流れていたが、担任は無理やり終礼を終わらせた。

「本崎。ちょっとこい。」

担任は本崎の所まで歩いてきて言った。担任の言葉には有無を言わせない気迫があった。

「・・・わかりました。」

その気迫に本崎は反論するを諦め、従うことにした。2人はそのまま生徒指導室へやってきた。中に入るなり本崎は口を開いた。

「なぜ生徒指導室(ここ)に?やっぱり、カンニングしたと思ってるんですか?」

「いや、関係ない。とりあえずそこ座れ。」

言われた通り本崎は座った。

「お前を呼んだのは、お前の家庭のことについて話をしたかったからだ。」

「はい?」

本崎は何を言われたのか理解できなかった。

「お前、アルバイトをしてるそうだな。」

「っ!!」

本崎の眉が跳ね上がった。

「やっぱり、本当なんだな。」

その反応で担任は察した。

「お前、お金に困ってるらしいじゃないか。お金はあるんじゃなかったのか?」

「すみません、嘘をつきました。」

「あ、いや、責めてるわけじゃないんだ。」

「?」

てっきり怒られ停学か退学処分を食らうと思っていた本崎は驚いた。

「実はな、アルバイトのこと教えてくれたのは・・橋森なんだ。」

「はあ!?」

本崎はさっきよりも驚き、思わず立ち上がった。―橋森(あいつ) どういうことだ!?言わないって約束させたのに!?―彼は一瞬のうちにそう思った。

「お、落ち着け。橋森は俺にこう言ったんだ。『先生にお願いがあります。今彼は、本崎くんはアルバイトをしています。彼のアルバイトを認めてほしいんです。彼は学費や生活費のためにアルバイトをしているんです。毎日アルバイトをしなければいけないほどお金に困っているんです。だから彼のアルバイトを認めください。そのかわり、彼を次の期末試験で学年1位にしてみせます。だからお願いします。』ってな。だけど、俺はそれは無理だと答えたんだ。そんな特例は認められないとな。それにもし本崎が学年1位を取れなかったらどうするんだとも言った。」

そりゃそうだよなと本崎は思った。本崎自身、学年1位が本当に取れるとは思っていなかったし、だいいち1人でも特例を認めてしまうと今後の学校運営に影響が出てしまいかねない。

「それでも橋森は諦めず再度言った。『必ず学年1位にしてみせます。もし取れなかったら、私が責任を負います。』とな。だが、校則違反を知った以上学校に報告しないわけにいかない。俺がそう言うと『なら、せめて次の期末試験まで待ってください。その結果がよかったら、考えてくれませんか?』って言ってきたんだ。まあ橋森が嘘ついてるわけはないだろうから、それなら期末までは待とうと返答したんだ。」

あいつ何勝手に―本崎の表情が暗くなった。

「結局、お前は学年1位を取った。そこでだ、お前に提案がある。奨学金制度を利用しないか?」

「え!?この学校、奨学金制度あったんですか!?」

「ああ、ある。とはいえ公に公開していないからほとんど知られてないがな。」

「そうなんですか。」

「ただ奨学金制度を利用するには条件がある。」

「条件・・ですか?」

「ああ。1つめは、成績上位を維持すること。今回のように学年1位である必要はないが、最低でも学年10位は維持すること。」

担任そういいながら指を1本立てた。

「2つめは、素行良好であること。」

また担任は指を1本立てた。

「あのー先せー?俺は校則違反をしてるので、素行良好にはならないかと・・?」

本崎は担任の顔色を伺うように言った。

「確かにそうだな。だが、お前の場合、学費だけでなく生活費も困っているのだろう?」

「はい、そうですね。」

「ならば、お前がアルバイトをしていることは秘密にしよう。」

「え!?」

「お前のアルバイトをしていること以外は真面目な生徒だ。幸か不幸かお前がアルバイトをしていることを知っているのは俺だけだ。俺が話さなければ問題はないだろう。」

「そりゃそうですけど・・・」

「ただし、アルバイトの日数は減らしてもらうぞ。最高でも週4日までだ。それが守れれば俺はお前がアルバイトしていることを知らないフリをしよう。」

「つ、つまりまとめると、成績は最低でも学年10位以内にキープしアルバイトは最高でも週4日までに収めれば、奨学金制度が利用出来てアルバイトも続けられ今まで通りの学校生活が送れて、なおかつアルバイトのことは知らないフリをしていただけるということですか?」

「そのとおりだ。悪くない話だと思うが?」

「確かにそうなんですが・・・」

「ただし、成績が落ちたりアルバイトを減らさなければ、即刻学校にお前のアルバイトの件を報告するがな。」

担任はそこまで言うと一旦区切り、

「どうするか?この話乗るか?」

不敵な笑みをこぼした。

あと1話で完結できそうです。2年ほど放置していたものがここまで来ました。いつも読んでくださってありがとうございます。完結まであともう少しお待ちください。

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