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不穏な空気と犬登場

短めかもです><


テスト週間のため更新できませんでした……すみません(泣


「あの、さっきの事はなかったことにしてください」


 体育館裏に返ってくると、意外にも生徒会の三人はまだその場にいた。しかも、なんだか口論をしているみたいだ。三人の間に割って入ると、ルネ君は静かに、しかし威圧的にそういった。


「……何で?」


 反論したのは意外にも四条先輩。その先輩に、ルネ君はにっこりと営業スマイルを浮かべ、


「いや? 彼女と俺が付き合いだしたのは本当に最近ですから。ファーストキスもまだだったんですし、みんなに知られて囃し立てられたり、噂をするのが嫌ですし、何より――風紀委員に入るのが、こいつ(はしだ)の影響だと思われたくないですしね」


 挑発的にそういったルネ君に、黒端先輩は眉毛を上げる。


「……ルネ、お前本当に、」

「やめますよ、生徒会」

「え? 本当に止めるの!?」


 どうやらガセネタだと思っていたらしく、四条先輩は本気でびっくりしている。


「…………明日は初めての委員会活動ですよね」


 早々に会話を言わらせたルネ君は、さり気なく私の腕をつかみ、


「楽しみにしていますよ、()()()()みなさん?」


 今までに聞いたことのないような皮肉交じりの一言を残し、「行くぞ」と引っ張られた。意外と力が強い。


「っちょ、待って!」


 何も言葉を返さずに、ただただ私を睨んでいる黒端先輩にお辞儀をし、腕がちぎれないように早歩きでルネ君に追いつこうと必死になる。


「…………」


 終始、ただ睨むだけの生徒会の皆さんに、私の不安はとても膨れ上がった――。


 ☆ ☆ ☆


「今日は委員会だからなー。さっさと行けよー。このクラスは風紀委員が使うから、掃除早く終わらせろよ、一班」


 帰りの会の後、そう付け足した笠田先生は、生徒会の資料らしきものを持って教室を出て行った。

 憂鬱な気分のまま迎えた委員会の今日。クラスにも少しなじんで、いつもの癖が出ることもなく友達と呼べる人もできた。生徒会顧問だと言う笠田先生も私の事と、生徒会の裏の顔は知らないらしく、私は「ふつうの女子生徒」という位置を手に入れている。それに、昨日あんなに睨んでいた生徒会のみなさん(会長さんを除く)も、何も言ってこない。

 でも……、風紀委員の顧問の小森先生は、昨日からずっと学校に来ていないらしい。


「小森、委員会来ないだろうな」


 隣からくぐもった声がしてびっくりしながら向くと、バックを枕にして机に突っ伏しているルネ君がいた。どうやら私に喋りかけたらしい。……顔は上げないけど。


「……そうだよね、紫織情報だと、病院らしいよ」

「……病院…………?」


 まさか生徒会のやつらに、と呟くルネ君。

 いやいやいや、さすがの生徒会でも教師に手は出さないでしょ。


「……でもその可能性も……」


 真剣な顔でうつむくと、がらっ、と盛大な音を立てて、教室のドアが大きく開いた。

 誰だよ、目立ちたがり屋だなぁ……と思ってその方向を向くと、見たことのない先生が立っていた。

 ふわふわの、明るい色の髪に、人懐っこそうな目。しわの目立つワイシャツの上に長い、同じくよれよれの白衣を着ており、足を骨折しているのか、松葉杖をついていた。


「いやぁー、登校中の歩道橋でまっさかさまに落ちちゃって、入学式に出れなかったとはねー。先生、びっくりしちゃった」


 頭を掻きながら教室をズカズカ入ってくる先生。……まったく教師には見えないが。

 そのまま先生は私たちの前まで来て、にかっと犬のような笑顔を向けた。


「君たちが風紀委員の二人だって聞いたよ、笠田先生に。えーっと、何ちゃんと何くん?」


 相変わらず顔をあげないルネ君の腕をつつきながら、首をかしげる正体不明の先生(?)。

 私が何も言えずフリーズしていると、ゆっくりとルネ君が顔を上げた。うっとおしかったんだろう。そのままじろりと一睨みすると、私に顎で「お前が言え」と急かした。


「…………え、何で私が」

「早く言えって」


 あたふたしている私を見て、先生らしき人物は私たちの名札を見たらしく、戸惑いながらも名前を呼んできた。


「……えーっと、橋田さんと、ブランジェくん?」


 何の反応も示さないルネ君の代わりに、私は戸惑いながらもこくりと小さく頷く。


「へえー。下の名前は?」

「灯織です。こっちはルネ君」


 そっかぁー、と大きめの反応を見せている先生……だと思う、人間……(犬かも知れない)は、自分の名前を自慢げに言った。


「僕は小森(あきら)。風紀委員の顧問で、このクラスの副担任だよ。よろしくね、えーっと……灯織ちゃん、ルネくん」


 ふわりとした人懐っこそうな笑顔で手を差し伸べてくる小森先生に、ルネ君は盛大な舌打ちをしたのだった――。


「…………気が付かないでくれ……ルネ君がめっちゃイラついてること……いや、気が付いてほしいかも……」


 どっちにしろ、この二人は絶対仲が悪くなるな、と思い、私は頭を抱えた。


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