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出会い3

北の森


 マリアスは何かになめられているような感触を覚え、ゆっくりと目を開ける。


「う・・・、う~ん・・・。」


 そこに居たのは小鹿であった。もの珍しそうにマリアスを見つめている。


「きゃっ!!」

マリアスは驚き、その場に立ち上がろうとするが足が言うことを聞かない。見ると、地面に積もる雪が血に染まっている。マリアスの左足から流れ出たものだ。


「いたっ・・。」

段々感覚が戻って来たマリアスは痛みを感じだ。そんなマリアスを見て小鹿は、マリアスの足元に顔を近づけ傷口を舐め始めた。


「あなた、優しいのね・・・。」

そんな小鹿をマリアスは愛おしく思い頭を2、3回撫でた。そして、周囲を見渡す。


(ここは・・・?)

マリアスはあたりを見渡す。しかし、見覚えが無い。そして自分が以前何をしていたかを思い出そうとした瞬間である。


「い、痛い・・。」

物凄い偏頭痛が頭を襲った。心配そうに小鹿がマリアスの方を見る。


「お、思いだせない・・・。どうして私は、此処に・・・。」

マリアスは記憶を失っていた。思い返せばなぜ今自分が左足を負傷しているのか?そして、なぜ鎧姿なのか?全く心あたりが無かった。


「いったい私は、どうしたって言うの?」

右目を抑えながら、気にもたれかかった。


「君・・、分かる?」

小鹿にマリアスは答えが返ってこないのは分かっていたが問いかけた。小鹿はマリアスをじっと見つめるのみで特に変化はなかった。そんな小鹿を再び撫でようと手を差し伸べようとしたときである。



   ガサガサ・・・ガサガサ・・・。


茂みが音を立てて揺れた。そして、小鹿はマリアスの手に触れることなくその場を物凄い勢いで後にした。


「何?」

マリアスは茂みの方を見る。未だに茂みは揺れている。異変を感じたマリアスは、とっさに近くに落ちていた木の枝を手に取った。


「・・・・、ガルルルルる。」


 次の瞬間茂みから何か飛び出してきた。茂みの中から出てきたのは、ホワイトウルフである。


「なによ!?」


ホワイトウルフはマリアスの方を睨みつける。血の匂いを嗅いできたウルフは、マリアスのことを手負いの獲物と認識したようだ。


「まずいわ・・・。痛い!!」

何とか立ち上がろうとするが左足の痛みが激しく立つことが出来ない。ホワイトウルフはどんどん間合いを詰めてくる。


(どうしよう・・・、このままじゃ・・・。)

マリアスは何か手はないかと防衛の手段を考えるが、その方法を思いつきそうになるたびに激しい偏頭痛に思考を阻害される。


「何なのよ、もう!」

マリアスはそのもどかしさから木の枝を地面へ叩きつけた。そして、その場に積もった雪がキラキラと空を舞う。しかし、この行動がウルフを刺激してしまった。ウルフは50m先から、一気に走り出した。


「ガオオオオオオオ!!」


「ちょと待って!!こ、来ないで!!」

マリアスは大声で叫んだ。あたりに人の姿は無く、マリアスは想像しうる最悪の状況を思い浮かべた。








マリアスのいる地点より南に100m


「ちょっと待って!!こ、来ないで!!」



(ん?人の声・・・。それに、声が高いな。)

鹿の群れを探しに森を奥に進んだアルが、誰かの叫び声を聞いた。アルは周囲を見渡し、近くに動物の足跡を見つける。

そして、その先を辿ってゆくとホワイトウルフが誰かに襲い掛かろうとしている姿が、遠くの方に見えた。


「あ、危ない!!」

とっさに手に持った弓を構え、矢を構え的をホワイトウルフへと向ける。アルの眼の色が、茶色の瞳から銀色に変色した。



そして、矢をホワイトウルフに向けて放った・・・。



 


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